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内燃機関超基礎講座 | DLCとは何か。タペットを低摩擦高耐久化する表面処理

  • 2020/07/28
  • Motor Fan illustrated編集部
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未処理のバルブリフター(上段)はシルバーだが、DLCコーティングが施したもの(下段)は表面が黒味を帯びている。

直打式のカムトレーンを低フリクション化する策として、タペットに施すDLC。日産は直打式エンジンが多いことからこれを用いることが多い。F1などにも見られるこのコーティング、果たしてどのようなものなのか。

 DLC(Diamond Like Carbon:ダイヤモンド・ライク・カーボン)とはダイヤモンドに類似した炭素材料のこと。炭素材料は原子間の結合状態によって様々な結晶構造をとることが知られているが、DLCは立方晶の結晶構造をとるダイヤモンド結合と六方晶の結晶構造をとるグラファイト結合の両者が混在するアモルファス構造をとる。その特徴は高硬度、低摩擦係数、耐磨耗性などだが、これらの特性は各種擦動部品にはもってこい。DLCをコーティングしてやれば、磨耗に強く摩擦係数が低く、潤滑性に優れる部品を作れるわけだ。

 DLCコーティングは真空チャンバーの中に蒸発源として炭化水素ガスを導入、直流アーク放電プラズマ中で炭化水素イオンを生成させ、負電圧をもった被コーティング材にその電圧に応じたエネルギーで炭化水素イオンを衝突、固体化させて成膜させる手法(炭化水素イオンプレーティング法)が一般的だが、これでは膜中に水素が含有されてしまう。水素は撥油性があるため、常にオイルと接するエンジン内部部品には不都合だ。

水素フリーとすることでオイルとの結合性を向上させると共に、オイル添加剤の見直しで強固な超低フリクション皮膜の形成が可能となった。
コーティングにナノメートルレベルの薄さで形成された皮膜は、従来エンジン比較で部品間の摩擦抵抗を約40%低減。

 そこで日産では炭化水素の代わりに水素を含まないグラファイト(黒鉛)を蒸発源に使用することで膜中から水素を除き、オイルとの密着性を高めた世界初の「水素フリーDLCコーティング」技術を2006年に開発した。この水素フリーDLCコーティング膜に特殊オイルを組み合わせて超低フリクション皮膜を形成、摩擦係数0.07という、エンジン部品向けとして過去最良の摩擦低減効果を実現している。

 バルブリフターだけでなく、ピストンリングやピストンピンなどに適用可能で、これらすべてにコーティングを施した場合、従来より摩擦損失を25%低減させ、燃費を3~4%改善する効果があるという。

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