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内燃機関超基礎講座 | スバル・リニアトロニックハイブリッドの構造

  • 2020/11/18
  • Motor Fan illustrated編集部
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2013年に『XV』に搭載されて登場したスバルのハイブリッドシステムは、CVTとモーターを組み合わせる。その構造と働きはどのようなものか。
TEXT:高橋一平(Ippey TAKAHASHI)

いわゆる“中容量リニアトロニック”をベースに、駆動用モーター(モータージェネレーター)を内蔵するかたちで追加したリニアトロニックハイブリッド。2つのプーリーをチェーンで連結するバリエーターなど、変速機構の大部分は中容量リニアトロニックと共通だが、モーターの追加により全長が100mmほど長くなることからミッションケースを新造(全長は大容量リニアトロニックと同等)。また、EV走行時の作動油圧確保のため、オイルポンプはエンジンに加え、モーターからの駆動力も用いる“ツインドライブ”とされ、アイドルストップからの再スタート時には高圧電動オイルポンプ(100V駆動)が用いられる。モーター出力は10kW、最大トルクは65Nm。

スバルのハイブリッドシステムは、スバルファンの期待を裏切らない実に同社らしいこだわりに満ちたもの。なんといっても特徴的なのは電動パワートレーンを内蔵したトランスミッション。ベースとなったのは250Nmまでの入力トルクを許容する、“中容量リニアトロニック”と呼ばれるCVTで、駆動用モーター(発電も可能なモータージェネレーター)をプライマリープーリー後方に内蔵する。


モーターとプーリーの間には断続機構はなく直結の状態だが、インプットシャフトとプーリーの間にCVTがもともと持っている前進/後退切換用のクラッチを使うことで、エンジンを切り離したEV走行が可能。また、セカンダリープーリーの出力軸にはハイブリッド仕様専用の機構となる「出力クラッチ」が追加されており、これにより停車時にエンジンでモーターを回して充電することも可能となっている。

エンジン走行:モーターを用いずにエンジンのみで走行する場合。プライマリープーリーに直結される駆動用モーターも一緒に連れ回されるため、抵抗が生じないよう、モーターにもわずかながら駆動電圧が印加される。
EV走行:モーターのみを用いるEV走行時は、インプットシャフトとプライマリープーリーの間の前進/後退切換用クラッチでエンジンを切り離す。プーリーから先のパワーフローはエンジン走行時と同じで、4WD走行も可能。
モーターアシスト走行:エンジンの出力にモーター出力をアドオンして走行している状態。プライマリープーリーを回転させようとするエンジンの力をモーターのトルクでアシストすることで、強力な加速力とレスポンスを得ることができる。
車両停止時の充電:停車時にバッテリーの充電量が不足している場合には、エンジンでモーター(モータージェネレーター)を回して発電を行なう。点線で囲まれた部分の出力クラッチを解放することで、駆動系は切り離された状態となる。

目指したのは「Funtodriveを実感できるハイブリッド」ということで、モーターのパワーアシストは、トルク感を強調する制御が行なわれ、燃費を抑えながらもスバルらしい“走り”を演出。JC08モードで20km/lという燃費を達成している。電動パワートレーンのレイアウトを工夫することで、重心高がベース車並みに抑えられている点も、このシステムを特徴づける要素のひとつだ。

ラゲッジスペース下に搭載される駆動用バッテリーユニット。内部には84個のニッケル水素バッテリーセル(5.5Ah/個)が収まっている。総容量は0.6kAhで、電圧は約100Vだ。
アイドルストップからの再スタートに用いられるISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)と、常に必要な方向に張力を振り分ける、振り子式ベルトテンショナー(左)。

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