内燃機関超基礎講座 | ディーゼル覇権の歴史 DEを高度に作り上げた日本・ドイツ・イタリアの技術
- 2021/02/18
- Motor Fan illustrated編集部

近年の伸張著しいディーゼルエンジンは、日本とドイツ、そしてイタリアの三国による技術革新によって発展を遂げてきた。本稿では、ディーゼルエンジンの筒内直接噴射というタイミングから、進化の道程と三国の覇権の歴史を追ってみる。
ディーゼルエンジンは、CO2低排出として欧州を中心に大勢を占めている。かつては、汚い/うるさい/重いとして嫌われていたが、急速な技術革新によって、一気に主流に躍り出ているのはご存じのとおりである。
立役者は、コモンレールをはじめとした燃料噴射システムの高度化。そしてターボチャージャーによる過給。圧縮によって高温高圧となった空気に、いかに燃料を噴くか、どのように燃やすかという追究によって生まれた、現代のディーゼルには決して欠かせないデバイスである。
ディーゼルは高出力を追求すると高温燃焼によるNOxが、燃え残りが生じればPMが発生する宿命がある。かつてはNOxとPMの発生がトレードオフとされて、自動車メーカーはいずれかの処理に軸を置き、燃焼室を設計していた。しかし近年のトレードオフ関係は、NOxとCO2。後処理装置の進化に支えられ、ディーゼルの作り方も変化を迎えている。現代のディーゼルは、規制を受けて今後、どのような方向に進んでいくのだろうか。
1986:世界初の直噴ターボディーゼル

少々意外、といってはイタリアに失礼だが直噴式のディーゼルエンジンを市販乗用車に最初に搭載したのはフィアットだった。当初からターボ過給を備えた意欲作である。当時のDセグメント車・クロマに設けられたTD i.d.(Turbo Diesel iniezione diretta:直接噴射の意)が該当グレードで、ボッシュのシステムを用いていた。直列4気筒のSOHC直打式8バルブで排気量は1929cc、吸排気バルブ間にインジェクターを配置する構造。最高出力は70kW(95ps)/4200rpmを発揮していた。


- 1/5
- 次へ
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
水平対向と星型とロータリーエンジン特集

スバル新型レヴォーグの新1.8ℓ水平対向4気筒ターボCB18 vs マツダ...
スバルの1.8ℓリーンバーンターボ「CB18型」とはどんなエンジンか...

1.8ℓ直噴リーンバーンターボ! 次期スバル・レヴォーグから始まる...

内燃機関超基礎講座 | 星型エンジン、その複雑で精緻な構造

内燃機関超基礎講座 | 直噴技術がロータリーエンジンを救う? DIS...

いま再びマツダの水素ロータリーエンジンへの期待「REは水素燃料...
ホンダエンジンの技術力は凄い|内燃機関超基礎講座特集

内燃機関超基礎講座 | V型5気筒という奇妙なエンジンの理由[ホン...

内燃機関超基礎講座 | ホンダが作った「本当のアトキンソンサイク...

内燃機関超基礎講座 | NA時代のタイプRが搭載していた2.0ℓエンジ...

内燃機関超基礎講座 | ホンダ F1 エンジンのコンロッド 高い燃焼...

内燃機関超基礎講座 | ホンダ初代NSXのエンジン[C30A/C32B]虎...

内燃機関超基礎講座 | ホンダのユニークな気筒休止システム[VCM...
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chapter2...

マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善手法...

マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエンジン...

ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態

林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えてくだ...

マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレインだ...
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひとつ...

3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)ってな...

スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッチ付...

ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感があるのか...

ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
