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SUBARU テックツアー ボーイング787「中央翼」体感フライト スバル製中央翼を持つボーイング787を「体感」するテックツアー開催

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さて、いよいよ中央翼である。
スバルが製造するボーイング787の中央翼はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製。中央翼は、文字通り機体の中心に位置するもので、左右の翼と前後の胴体を繋ぐ要の役割を負っている。
「中央翼は、飛行機のなかで一番ごっつくて、一番難しい部分です。すべての荷重が入ってくる部分です。設計は最後、そして部品出荷は最初という非常に難しい部品なんです」と若井さんは説明する。

「長さ約9m、幅約6m、高さ約4mにもなる巨大で複雑な構造をしていますが、精度は0.1mm、厳しい部分だと0.03mmです。内部は燃料タンクになっています。中央翼とは、万一飛行機が不時着しなくてはならなくなった場合でも、絶対に安全でなければなりません。燃料が前方の壁に9Gもの加速度でぶち当たります。そのため、内部を細かくわけたりさまざまな工夫をしています。中央翼は、飛行機で一番安全な場所なんですよ。もちろん、飛行機はとても安全な乗り物です」

ライバルのエアバス社のA380の中央翼、ドライセルで内部は燃料タンクになっていないという。これはスバル製ではない。A380の垂直尾翼がスバル製である。

787-8を下から見る。
これはスバルが作成したCG。中央翼はここにある。
ボーイング787-8にスバルBRZが格納され輸送された。クルマはこうやって載せる(もちろんガソリンは抜く)。

ボーイング787の中央翼は、東レのトレカ・プリプレグT800という素材を使って作られる。愛知県の半田工場には、直径約6m×奥行き約10mという巨大なオートクレーブがあって、そこで中央翼は造られるわけだ。
カーボン製の中央翼は、大きさと精度が桁外れというだけではない。カーボン部品とアルミ合金を接合すると電位差腐食が起こる。そこでその間にチタン製の部品を挟むことになるのだが、チタンは高価なだけではなく加工も難しい。
「チタンは社内に世界最大の加工機を開発して作りました。航空機の開発とは、設備の開発することでもあるんです」(若井さん)

787の中央翼をスバルは2007年の初号機以来、すでに累計650機以上造ってきた。毎月安定的に12機を生産し、現在では14機まで生産ペースは上がっているという。現在の主流は、787-8型から787-9型、787-10型へ移行している。

機内ではスバルの吉永社長からのメッセージビデオが流された。
787-8の主翼越しに見える夕陽。機内では、SUBARU航空宇宙カンパニー技術開発センター研究部長の齋藤義弘氏とJALエンジニアリング技術部システム技術室機体技術グループ グループ長の盛崎秀明氏、日本航空 機長の靏谷(つるや)忠久氏のプレゼンテーションも行われた。

さて、帰りの旭川空港である。
本来は最新の787-9(ダッシュ9)型機のはずだったが、都合で787-8型機となった。通常は国際線に使われている機体で、787が旭川空港へ就航するのは初めてということで、地元も大いに歓迎ムードだった。
席を決めるために、クジをひく。私がひいたのは、「26-G」である。
「おおっ、ああっ」
おおっというのは、まさに「中央翼真上」の席だということ。
ああっというのは、もうちょっと若い番号なら、ビジネスクラス、あるいはプレミアムエコノミーの席に座れたのに、という気持ちを表している。

座っている席のすぐ下が、スバルが造ったCFRP製中央翼だ。もちろん、「体感」はできない。しかし、日本をはじめとした世界最高の技術が詰まっている最新鋭機ボーイング787の機内はとても快適だった。

お土産に頂いたボーイング787型機の模型です。

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