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連載コラム「酷道を奔り、険道を往く」Vol.3 フィアット・パンダで本格ダート林道を走ってみる【中津川林道へ(酷道険道:埼玉県)】フィアット・パンダ4×4

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未舗装路ゆえの緊張感

 道幅はクルマ一台がやっと通れるほどで、対向車を発見したらどちらかが広い場所で待機する必要がある。ただしまだ路面は舗装されている。そしてこまどり荘という宿泊施設を通り過ぎると、唐突に未舗装路が始まる。

「おお、来ましたねぇ」「う〜ん、来ましたねぇ」と、わかったようなわからないような言葉を助手席のカメラマンと交わし、車内に緊張感が漂い始める。ガタガタという衝撃と、ホイールハウス内にカラカラと響く巻き上げた砂利の音は、未舗装路などほとんど走る機会のない現代の軟弱ドライバーをビビらせるには十分である。

 とはいえ、必要以上に緊張する必要はない。アフリカやロシアや中央アジアなどに行けば未舗装路など当たり前で、それでもみんなフツーに走っている。アメリカやオーストラリアだって、ちょっと郊外に出れば未舗装路だらけ。日本にしても、つい30年くらい前までは都内でも未舗装路は珍しくなかった。

 だが注意しなければならないのは、日本において今ドキ舗装されていないような道は交通量が極めて少ないため、何かあっても他人に助けを求めることがかなり困難であること。携帯電話もつながりにくい場合が多い。「パンクしたらJAFを呼べばいい」なんて安易な気持ちは禁物だ。パンクしないように、脱輪しないように、ガス欠しないように、とにかく不動の事態に陥らないよう、細心の注意を払って走ることが肝要だ。仲間と複数台で連なって走るのもひとつの安全策だろう。

情緒に溢れる古道を、一歩一歩ゆっくりと踏みしめる

 そんなわけで制限速度の15km/hを、とくに遵法精神を発揮するまでもなく無意識のうちにしっかりと守り、ギヤは1速か2速で淡々と走り続ける。

 そうそう、今回の伴侶であるフィアット・パンダ4×4は6速MTのみの設定である。シフトチェンジはコクコクッと決まり、左ハンドルがベースのAセグメントFFハッチバックにもかかわらずペダルレイアウトにも無理がない。3つのペダルに加え、しっかりフットレストまで配置され、ストレスなくドライビングが楽しめる。

 2気筒ユニットは低回転域ではパタパタと微笑ましくも存在感のある鼓動を伝え、高回転域ではブォーンと勇ましいサウンドを奏でる。小さくてブン回せて楽しい、というだけでなく、もはやこれは滑らかすぎて手応えの希薄な昨今の6気筒や8気筒よりも「官能的」とすら言えるのではないか? 

 考えてみれば、オートバイの世界じゃドゥカティやハーレーダビッドソンなどの2気筒はむしろありがたがられているではないか。

中津川林道の制限速度は15km/h。非現実的な制限速度が当たり前の我が国だが、この15km/hという速度は極めて現実的だ。すれ違うクルマがほとんどなく、携帯電話もほぼ繋がらないため、パンクをはじめとしたアクシデントには十分に注意したい。

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