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連載コラム「酷道を奔り、険道を往く」Vol.5 トンネルだと5分、旧道だと最大10時間! 【安房峠を越えて(酷道険道:長野県/岐阜県)】マツダ・ロードスター

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安房峠の次は平湯峠へ

 安房峠から20分ほどで平湯温泉に到着し、安房トンネルを抜けてきた新道と合流する。平湯は古くから奥飛騨エリア有数の温泉として知られてきたが、上高地や乗鞍にマイカー規制が敷かれてからは、ここにクルマを駐め、観光バスやタクシーに乗り換えるというスタイルが確立したため、交通の要衝と役目も担うことになり、より一層の賑わいを見せるようになった。ただし残念ながら「湯ったり飲んびり」な旅は当ページの主旨にそぐわないので先を急ぐ。

 しばらく国道158号線を西に走ると、今度は県道485号線との分岐点が現れる。まっすぐ行けば平湯トンネルだが、左に曲がれば例によって旧道である。交差点から覗き見るだけでも木々がうっそうとしているのがわかり、なかなかここを左折しようという気にはならないだろう。

 だが、安房峠の旧道を走ってきた猛者なら心配ご無用だ。比較論に過ぎないが、あちらほど急峻でも狭隘でもなく、見通しのいいコーナーも多い。それに、この県道485号線は、一応は乗鞍スカイラインへのアクセス路のひとつにもなっているのだ。

 とはいえ乗鞍スカイラインはマイカー乗り入れ禁止だし、入口付近まで行ったところで、そこからバスやタクシーに乗るのは難しい。そしてバスやタクシーは平湯トンネルの西側からアプローチすることが多いようだから、いずれにせよこの県道485号線は交通量が少なく、存分に酷道険道ムードを味わえるのだ。

 走行ペースに影響を与える度合いは、道幅やコーナーの曲率よりも見通しの良否のほうが大きいかもしれない。安房峠よりも心なしかアクセルの踏み込み量が大きくなり、コーナー手前ではヒールアンドトーを駆使しながらシフトダウン……助手席のカメラマンから「いいねぇロードスター」の声が挙がる。

 今回の伴侶に選ばれたロードスターは、最もベーシックな「S」というグレードで、LSDもリヤスタビライザーもアンダーフロアの補強ブレースも備わらない。ただ、結局のところ自分がいま走っているのは一般道であって、出せるスピードにも限度がある。そんな状況のなかでは、素のロードスターならではのわかりやすい挙動がとてつもなく快感だ。

 もちろん、けっして上級グレードの高いパフォーマンスがサーキットでなければ活かせないわけではなく、一般道でもソリッドな乗り味に酔いしれることはできるはずだ。ようするに、それぞれに楽しみ方があって、優劣ではなく個性だということである。

平湯峠は岐阜県道485号線と乗鞍スカイラインの交差点でもある。乗鞍スカイラインは2003年よりマイカー規制が敷かれていて、観光バスやタクシー以外での通行が禁止されている。そして11月から5月中旬までは冬季閉鎖となる。

時は金なり───だからこそ時間を掛ける贅沢を楽しむ

ドライブイン「赤かぶの里」にて、飛騨高山地方の名物のひとつ、高山ラーメンを食す。麺はやや縮れ気味で口に運びやすく、スープはあっさりしている。クセがなく、素朴で親しみやすい味だ。
 我々のように撮影を挟まなければ、おそらく10分ほどで平湯峠に到着する。左折すれば乗鞍スカイラインだが、前述の通り一般車両は通行できない。そして真っ直ぐに進むと、そこからは乗鞍スカイラインから続く県道5号線となり、もはや酷道険道の影はない。平湯峠から5分ほどで国道158号線に復帰する。ここで今回の酷道険道ドライブは終了だ。

 筆者のように酷道険道を走ることのみを目的としてわざわざ安房峠と平湯峠に行くような物好きはなかなかいないとは思うが、もしいたとしても走りまくるばかりでなく、昼食ぐらいは地元のおいしいものを召し上がっていただきたい。

 高山方面に少し走ると赤かぶの里というドライブインがあって、飛騨牛や高山ラーメンが味わえる。もちろん名物の赤かぶの品揃えも豊富で、試食して選ぶことが出来るのでオススメだ。

 帰りは長野自動車道の松本インターチェンジを目指し、すべて新道を通ってみた。安房峠旧道に足を踏み入れてからここまで、撮影を含めて約3時間が経っていたが、復路はわずかに20分足らずであった。

 時は金なりとはよく言われるが、だからこそ、時間をかけて楽しむということはとんでもなく贅沢なことだ。サーッとトンネルをくぐっていたら絶対に出会えなかった景色と体験を、安房峠と平湯峠は味わわせてくれたのだ。

《かつての難所にあえて挑む面白さ》1997年末に開通した安房トンネルと湯の平トンネルを通れば、安房トンネル入口から平湯温泉まではものの5分。旧道だと約30分も掛かってしまうが、木漏れ日の中を貫く道程には情緒が溢れ、峠には絶景が広がる。苦労して行くだけの価値はあるだろう。平湯トンネルを迂回する県道485号線も気持ちの良い峠道だ。長野自動車道の松本ICから安房峠トンネル東側入口まで約1時間。東海北陸自動車道の飛騨清見ICから平湯トンネル西側入口まで約50分。

マツダ・ロードスターS

▶全長×全幅×全高:3915× 1735×1235mm ▶ホイールベ ース:2310mm
▶車両重量: 990kg ▶エンジン形式:直列4 気筒DOHC
▶総排気量:1496cc ▶ボア×ストローク:74.5× 85.8mm ▶圧縮比:13.0
▶最 高出力:96kW(131ps)/7000rpm 最大トルク:150Nm/4800rpm
▶トランスミッション:6速MT
▶サスペンション形式:Ⓕダブ ルウィッシュボーン Ⓡマルチリ ンク
▶ブレーキ:Ⓕベンチレ ーテッドディスク Ⓡディスク 
▶タイヤサイズ:195/50R16 ▶ 車両価格:249万4800円

Vol.1「酷道険道は日本の宝である!【顔振峠から秩父へ(酷道険道:埼玉県)】」はこちら!

Vol.2「恐怖! クルマで渡れる驚きの吊り橋!【井川湖、そして接岨峡へ(酷道険道 :静岡県)】」はこちら!

Vol.3「フィアット・パンダで本格ダート林道を走ってみる【中津川林道へ(酷道険道:埼玉県)】」はこちら!

Vol.4「日本のトンネル技術が敗退!? 険しく長すぎる国道152号線を完全走破!【酷道で南アルプス越え!(酷道険道:静岡県/長野県)】」はこちら!

Vol.5「トンネルだと5分、旧道だと最大10時間! 【安房峠を越えて(酷道険道:長野県/岐阜県)】」はこちら!

Vol.6「東京都にもこんな酷道険道が!【陣馬街道から多摩源流の里へ(酷道険道:東京都/神奈川県/山梨県)】」はこちら!

Vol.7「房総半島は素堀りトンネルの宝庫!【房総トンネル紀行(酷道険道:千葉県)】」はこちら!

Vol.8「酷道を知りたければ299を走れ!【酷道にして王道──国道299号線(酷道険道:埼玉県/長野県)】」はこちら!

Vol.9「落ちたら死ぬ!!『最凶酷道───国道157号線(酷道険道:福井県/岐阜県)』」はこちら!

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