N-BOXは走りと安全装備、スペーシアはデザインが劇的に進化 【ホンダN-BOXvsスズキ・スペーシア試乗インプレ】価格差は税別10万円。だがそれ以上の価値がN-BOXにはある
- 2018/04/12
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遠藤正賢
N-BOXは高速道路、スペーシアは街乗り向けの予防安全装備が充実
近年はスポーツカーを除き必須アイテムとなっている予防安全装備は、ダイハツが12年12月、先代ムーヴのマイナーチェンジに伴い「スマートアシスト」を初設定したことをきっかけとして軽自動車にも爆発的に普及し始めるが、ホンダは初代N-BOXに対し13年12月に「シティブレーキアクティブシステム」を追加するのみ。
スズキが初代スペーシアに対し13年8月に「レーダーブレーキサポート」、15年5月に「デュアルカメラブレーキサポート」を設定し、性能の進化と機能の充実を図ってきたのと比較すると、当時のホンダがニーズの急変に鈍感かつ対応に消極的だったことがうかがえる。
だが、両車が二代目に移行すると、その状況が大きく変わる。N-BOXは単眼カメラとミリ波レーダー、ソナーセンサーを組み合わせ、下記の機能を実装した「ホンダセンシング」を全車標準装備(NA車にレスオプション設定あり)する。
・衝突軽減ブレーキ<CMBS>
・誤発進抑制機能
・ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
・LKAS<車線維持支援システム>
・先行車発進お知らせ機能
・歩行者事故低減ステアリング
・路外逸脱抑制機能
・標識認識機能
・後方誤発進抑制機能
・オートハイビーム
またディーラーオプションで、リヤクロストラフィックアラート(RCTA)に相当する後退出庫サポート、ブラインドスポットモニター(BSM)に相当する後方死角サポート、車線逸脱警報に相当する車線キープサポートをセットにした「リアカメラ de あんしんプラス」を設定している。
対するスペーシアは、単眼カメラと赤外線レーザーレーダー、超音波センサーを組み合わせ、下記の機能を全車に標準装備(全車にレスオプション設定あり)。
・衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」
・誤発進抑制機能
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・ハイビームアシスト
・後退時ブレーキサポート
・後方誤発進抑制機能
・リヤパーキングセンサー
そのほかメーカーオプションで、フロントガラス投影式ヘッドアップディスプレイ(HUD)、標識認識機能[進入禁止]、全方位モニター、左右確認サポート機能を設定している。
両車で決定的に異なるのは、N-BOXにはACCのほかLKASなど操舵アシスト機能、BSMやRCTAがあり、スペーシアにはHUDと全方位モニター、左右確認サポート機能が用意されている点。N-BOXは高速道路向け、スペーシアは街乗り、それも入出庫や交差点への進入など極低速域向けの機能が充実しているのだ。
「軽自動車、それも背高ワゴンで高速道路なんて……」と考える人は多いだろうが、だからこそN-BOXで高速道路を走る人にとってはACCやLAKS、BSMの備えは大きな助けになる。特にNA車でACCを使用し高速道路を巡航すると、アクセル操作に強い意志と力を込める必要がなくなるため、極めて大きい疲労軽減効果を得ることができた。
また、N-BOXのLKASは、車線を逸脱しそうになった時にのみ車線内に留まるよう操舵を補助するのではなく、常に車線中央を維持するよう自動的に操舵を行う、日産「プロパイロット」やスバル「アイサイト・ツーリングアシスト」と同じ、同一車線自動操舵機能となっている。
これがやや過剰にアシストする傾向にあるため、横風が弱い時はかえって直進を維持しにくくなる。アシストの介入がもう少し弱く穏やかになれば、高速道路の走行をより安全かつ快適にするものとして、大いに役立つようになるだろう。
対するスペーシアの全方位モニターと左右確認サポート機能は、車庫入れが苦手な人や、道が狭い住宅街を走る頻度が高い人には必須のアイテムと断言していい。運転が得意な人でも、あれば格段にリスクが減るのをすぐに体感できるはずだ。しかし惜しむらくは、これが全車7万円強のメーカーオプションで、さらにディーラーオプションの対応ナビ(15~17万円弱)を装着しなければならないことだろう。
また、N-BOXはフルLEDヘッドライトが全車標準装備なのに対し、スペーシアはカスタムのみ標準装備で、標準仕様はロービームのみLEDのものが上級グレード「ハイブリッドX」にのみオプション設定となっている。
衝突安全装備においてもカーテンエアバッグが、N-BOXは標準仕様の安価なNAグレード(Gホンダセンシング、G・Lホンダセンシング)にオプション設定、それ以外のグレードに標準装備されるのに対し、スペーシアは最上級の「カスタムハイブリッドXSターボ」にのみ標準装備し、それ以外のグレードにはオプション設定すらないのは大いに疑問。
側面衝突時にボディの潰れしろが皆無に等しく、かつ横転しやすい背高軽ワゴンにおいて、頭部への衝撃を緩和するカーテンエアバッグの有無は事故後の生死を分けかねないため、最低でも全車にオプション設定することをスズキには強く望む。
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