スウェーデンの次世代モビリティ技術は日本の「Society 5.0」とホットな関係となるか?
- 2018/04/26
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MotorFan編集部
去る4月23日、ANAインターコンチネンタルホテル東京において在日スウェーデン大使館商務部主催による『THE FUTURE OF TRANSPORT--スウェーデンの次世代革新技術で実現するSociety 5.0(ソサエティ5.0) --』と題したセミナーが開催された。
『THE FUTURE OF TRANSPORT--スウェーデンの次世代革新技術で実現するSociety 5.0(ソサエティ5.0) --』は今年(2018年)、スウェーデンと日本が国交樹立してから150周年という大きな節目の年に際し、スウェーデンから交通の分野での次世代ソリューションを提供する企業を中心としたスピーカーを招聘し、未来の輸送でもあるe-モビリティ(電動化)、コネクテッドカー、自動運転などをテーマに、日本が抱えている高齢化と深刻な人手不足といった社会問題にも対応しうる最先端の技術や解決法を紹介するもの。
また、両国の主要産業であるトランスポートの分野において、スウェーデンの革新的な技術が経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を目標とする日本社会にどのように貢献できるのか意義ある意見交換の機会にしようという狙いもある。
つまり、より住みやすい未来社会実現のために、日本企業とスウェーデン企業とのコラボレーションが生まれる機会を創出しようということだ。
このセミナーには、折から国賓として来日されていたスウェーデン王室のカール16世グスタフ国王陛下、シルヴィア王妃陛下もご臨席され、また、スウェーデン政府のイブラヒム・バイラン政策調整・エネルギー担当大臣が開会の挨拶に立たれるなど、国をあげてバックアップしている行事という印象を受けるものだった。
さて、このセミナーのテーマともなっている「Society 5.0」だが、これは日本の内閣府が掲げている「第五期科学技術基本計画」の基本指針のひとつで、日本が目指すべき未来社会の姿とされている。
セミナー冒頭の、内閣府大臣官房審議官、科学技術・イノベーション担当の黒田亮氏の説明によれば、具体的には「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)」=「超スマート社会」とされており、これは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く5番目の社会であるため「Society 5.0」と呼称するとのこと。
そしてこの「Society 5.0」で実現する社会のカギが、
①全ての人とモノがつながって様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで多くの課題や困難を克服するIoT(Internet of Things)
②それらの情報をオンデマンドで提供するための人工知能(AI)
③少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題克服に有効なロボットや自動走行車などの技術
というわけだ。
スウェーデン政府が車両のコネクテッド技術などに基づいて次世代モビリティを設計するために立ち上げた国家戦略プログラム『ドライブスウェーデン』のプログラムディレクターであるヤン・ヘルオーク氏による同プログラムの概要説明、ボルボ・グループの開発部エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高技術責任者ラーシュ・ステンクヴィスト氏と同グループのUDトラックス開発部門統括責任者ダグラス・ナカノ氏による基調講演「ボルボ・グループのイノベーション」を皮切りに、特に輸送・流通・交通分野において「Society 5.0」の実現に向けて大きな期待を持てる次世代技術を持った、以下の大手スウェーデン企業がそれぞれプレゼンテーションを行なった。
各社プレゼンテーションの後は、東京大学生産技術研究所教授・須田義大工学博士をモデレーターに迎えた「Society 5.0実現にむけての課題」と題したパネルディスカッションで4時間にわたるセミナーは締めくくられた。
狭い国土の中で世界的にも異常と思えるほど「電車(鉄道)」という、すでに部分的には自動化(無人化)さえも達成しているeモビリティが発達した日本と、今回、あるスウェーデン企業側のプレゼンターが口にした「滅多に電車(鉄道)を利用することがない」というスウェーデン(いや、スウェーデンに限らず諸外国と言ってもいい)とでは、eモビリティや自動運転に対して日常の市民生活レベルで温度差がある点は否めないと思う。
現状、日本はeモビリティと自動運転に「電車(鉄道)」以上のレベルを求めているのに対し、諸外国では、まずは自動車を「電車(鉄道)」のように使いましょうという考え方にあるという差異があるのは確かだろう。
何しろ東京などの都市部では「電車(鉄道)」というeモビリティが異常発達しているため、移動のための内燃機関自家用車が不要とさえ言えるコミュニティとなっていると言っても過言ではない。日本や日本社会が求めているのは「その先」の話なのだ。
無論、2020年までの期限内に「Society 5.0」が実現する可能性は高くはないと考えられる。しかし当たり前ながら、その実現化のスケジュールは国際協調によっていくらでも早めることは可能であろう。
そこにはスウェーデン企業という選択肢が間違いなく存在する。
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