「開拓車の新たな挑戦」クロスオーバーSUVというジャンルを開拓したトヨタRAV4! 五代目となる新型は、市場に新たな刺激を与える存在となり得るか? トヨタRAV4をホンダCR-V、スバル・フォレスター、日産エクストレイルと徹底比較!【ライバル比較インプレッション】
- 2019/05/12
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青山 尚暉
人気カテゴリー車だけに機能と性能は拮抗するが……
ここで揃えた4車は先進安全支援機能も充実。中でも最新のトヨタセーフティセンスを全グレードに標準装備するRAV4が一歩リード。サイド&カーテンエアバッグに加え、ニーエアバッグまで標準化しているのはRAV4とフォレスター。後退時支援機能にブレーキ制御まで付くのはRAV4のみ。ブラインドスポットモニターはRAV4、CR-V、アイサイトセーフティプラスを標準装備するフォレスターに備わる。
では、各車の走行インプレッションをお届けしよう。まずはRAV4の「アドベンチャー」グレードだ。運転席からの視界は各方向、文句なくルーミー。「アドベンチャー」専用シートのデザインセンス、掛け心地もベストと言えるものである。
出足のトルクは2.0ℓNA、171㎰、21.1㎏mとはいえ、エコモードでさえ十二分。トルク感が高まるのは3000rpmからだが、穏やかながらも伸びやかな加速を披露する。フルデジタルメーターのリングが赤くなるスポーツモードでは専用シフトスケジュール、4WD固定、ステアリングの重さアップに制御され、トルクは2000rpmあたりから沸き上がり、加速力、ドライブフィールの骨太感が高まる。エンジンを高回転まで回した時のノイズは最も近く感じられるものの、クルージング中であれば車内の静かさはSUVらしからぬレベルにある。
RAV4を走らせ、まず感動できるのが19インチオールシーズンタイヤを履いた乗り心地だ。ソリッド感と快適感のバランスが見事で、荒れた路面、段差、穴などを乗り越えてもボディはミシリともせず、ボコボコした低級音も皆無。カーブでの車体の傾きも最小限の、フラットでスムーズな乗り味に満足できる。
そして、オンロードでは山道で威力を発揮するダイナミックトルクベクタリングAWDの存在が頼もしい。それはスポーツモードでより鮮明になり、曲がりのシーンで一般的な4WDであればリヤ全体から押し出される感覚があったりするが、左右輪を別々に(0〜100配分)制御するダイナミックトルクベクタリングAWDは左旋回なら右後輪からの駆動をアシストしてくれる。
曲がりやすさ、安心感は抜群で、クルマがスムーズかつ積極的に曲がってくれる、狙ったラインをトレースしやすい積極的なアシストに、気持ち良さ、痛快ささえ感じられる。SUVにして、全体的なクルマの動きは非常に滑らかで、ストレスのない上級感ある運転感覚に支配されるのが、この新型RAV4なのである。
水平対向2.5ℓNA、184㎰、24.4㎏mユニットを積む常時AWDのフォレスターの走行性能も素晴らしい。本格SUVらしいストローク感とカーブなどでの姿勢変化最小限の安心感に満ちたロール感、フラット感を見事に両立しており、路面を問わない快適感がある。エンジンフィールは水平対向ならではの濃厚で滑らかさを極めたもので、それは乗り味の上級感にも直結する。
SIドライブのインテリジェントモードでもトルクは十分で、アクセルレスポンスも優秀。高回転でもうるさく感じないノイズコントロールも素晴らしい。全域の走りの質感、静粛性の高さでは依然、クラストップレベルだ。シンメトリカルAWD&Xモードによる走破性の高さも悪路や雪道で信頼に足るポイント。最小回転半径5.4mの小回り性による扱いやすさも魅力だ。
CR-Vは正直に言って、HVモデルが優秀だ。エンジン+モーターの出力(145㎰+184㎰)は文句なく、フルHVならではの静かでウルトラスムーズかつ質の高い走り、軽快感よりしっとりした落ち着き感を重視した操縦性が光る。一方、リアルタイムAWD、190㎰、24.5㎏mを発揮する1.5ℓガソリンターボはECONがONだと低速トルクが不足気味。重過ぎるパワーステアリングの操舵感とともに、走りやすさに影響する。荒れた路面で発生する下まわりからのボコボコ音や、低速域のこもり音も残念な部分。CR-Vは予算が許せば、ハイブリッドで乗ってほしいと思える。
悪路走行に定評あるインテリジェント4×4搭載のエクストレイル20Xiのパワーユニットは2.0ℓNA、147㎰、21.1㎏mという控えめなスペック。とはいえ走りは終始軽快で、ステアリングは軽く扱いやすく、カーブでさっと向きを変える走りやすさが心地良い。下り坂でしっかりと減速制御してくれるCVTの賢さも秀逸だ。
ただし、エンジンはスムーズに回るものの、3500rpm以下のトルクが細く、勢い中高回転を使いがち。よって車内のノイズレベルは小さくない。2013年12月のデビュー年次もあって、路面が荒れるとフロアがブルブルし、ボコボコ音も発生する。ナビ画面の小ささと合わせ、時代を感じさせる部分だろう。
こうして4車に接し、走らせると、後席の居住性ではCR-Vが、シート&ラゲッジフロアの撥水性能によるタフな乗車・積載性、使い勝手ではエクストレイルに見るべき点あり。が、乗り心地、トルキーなエンジンによる走りやすさ、悪路走破性など総合商品力ではRAV4、フォレスターに軍配を上げたい。さらにコネクティッドカーとして通信機能、トヨタセーフティセンスによるサポート力、安心感まで含めると、なるほど、最新のRAV4が一歩先を行く。
新型RAV4はダート、モーグル、急登坂・降坂性能まで試したが、本格クロカン性能やオン・オフを問わない曲がりやすさ、その優位性を最大限に味わうには、RAV4の中でもダート路の急旋回でもカウンターを当てずグイグイ曲がる突出したオールロード性能を誇る、ダイナミックトルクベクタリングAWD付きが理想。そう、クロカン性能を強めた新型RAV4の真打ちはここで試乗した「アドベンチャー」と「G Zパッケージ」となりそうだ。
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