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好事家を唸らせるホットハッチという存在 スズキ・スイフトスポーツをホンダ・フィットRS、日産マーチニスモ S、アバルト595と徹底比較!「ライバル車比較インプレッション」

  • 2019/07/20
  • ニューモデル速報
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シャシーの基本性能でもトップクラスの実力を備える

 こうしたエンジン特性に加えて、シャシーを含めたクルマ全体の味わいでも、剛性感に富み、身のこなしの安定感も冷静沈着な新しさがあるのはスズキとホンダの2台だ。

 新型スイフトはこのスポーツに限らず、先代より明らかにリヤタイヤがしなやかに接地するのが特徴である。ただ、前後バランスを含めて専用に仕立て直された新型スイフトスポーツは、ロール剛性が引き上げられたリヤの安定感が際立つ。

 標準スイフトではリヤサスが動き過ぎて、フロントの接地感が少しばかり薄くなっていたきらいがあるが、スイフトスポーツにそうした印象はほとんどない。加えて、今回の試乗車が履いていたコンチネンタル・スポーツコンタクト5のグリップ力もあってか、ステアリングレスポンスは俊敏で、しかも大舵角まで強力に効く。タイトな山坂道でも荷重移動によるタックインなどをことさら意識せずとも、ステアリングで思うがままに走れるし、フルバンプ付近でも安定性を失わないフトコロの深さにも感心。また、高速での直進性、上下動をほどよく抑制したフラット感も、いかにもモダンである。

 フトコロの深さ、ドシッと腰の据わった安定性はフィットも負けていない……どころか、絶対的に余裕のあるホイールベースやサスストロークもあって、基本キャパシティはスイフトより明確に大きい。深くロールしてもしなやかさを失なわず、高速では上下動がピタリと収まる。

 ただ、タイヤ銘柄もほどほど(ダンロップSPスポーツ2030)のフィットRSは、シャシーチューンも特別にスポーティな仕立てではない。同クラスの最新欧州車に引けを取らない快適性や高速安定性はスイフトより一枚上手の部分もあるが、小気味いい機動性やクリップを射抜く鋭さには欠ける。それは「フィットの最上級モデル」としてはアッパレのデキでも、これが「ホットハッチか?」と問われてしまうと、正直なところ「RS」の名から想起する遊び心や刺激にはとぼしい。

 この2台はお世辞やヒイキ目なしに高度なシャシーで、スズキはあらゆる路面を正確にトレースして、ホンダは豊かな基本キャパシティですべてを包み込むようにクリアしていく。これに対して、アバルトと日産は、もう、走っているだけで上を下へのドンチャン騒ぎである。

 絶対的なサスストロークが豊富とはいえないアバルト595は時に細かく、時に激しい上下動にさらされる。そして、マーチ・ニスモSの車内は絞り出すようなエンジンノイズとロードノイズに常に満たされており、路面からの突き上げは時折身構えるほど鋭い。路面のあちこちが荒らされた今回のスズキ竜洋テストコースでのアバルトとニスモは、さしずめ「じゃじゃ馬ならし」の気分だ。

 ただ、アバルトもニスモも、その限界のあるベース設計を、ギリギリで破綻しないスポーツテイストに仕立てたセンスは巧妙である。

 ディメンションにもストロークにも限界があるアバルトは、強力なターボパワーを受け止めるためにシャシーはどうしても締め上げざるを得ないのだが、硬い割にはサス作動は滑らかだ。さらに、そうした硬いアシに穏当なタイヤ(取材車はコンチネンタル・エココンタクト5)を履かせることで、最低限の乗り心地を確保しつつ、同時に適度にグリップを逃がすことで危険な挙動に陥らせない。絶妙なサジ加減である。

 ニスモSにしても、ベースのマーチは良くも悪くも安価なゲタグルマに過ぎず、基本的なボディ剛性もホメられたものではない。しかし、BSポテンザRE 11の限界は掛け値なしに高く、そんな超ハイグリップで角ばった武闘派タイヤを、マーチでギリギリで履きこなすチューンは見事というほかない。そのぶん乗り心地にシワ寄せがきているのは事実だが、そのグリップ力を活かした鋭い旋回、突き上げは盛大でも走行ラインはギリギリで乱さず、タイトコーナーを積極的に攻めたくなる正確性も失わない。そして私ごときがオイタをしても恐怖を感じないリヤスタビリティも確保されている。

 アバルトもニスモも冷徹に観察すればツッコミどころ満載なものの、シツコイようだが、この種のクルマのキモはそこではない。アバルトもニスモも、そのブランドネームからして大人には甘酸っぱいし、全身が刺激に満ちた格好の回春剤ではある。

日産マーチニスモ S(5速MT)

タイ生産の大衆向け小型ハッチバックボディに、国内工場でNISMOがチューニングした1.5ℓエンジンをスワップするという、マニア垂涎の「ファクトリー製改造車」。いわゆるチューニングカーとしての味わいは独自の魅力を持つ。

直列4気筒DOHC/1498㏄ 
最高出力:116㎰/6000rpm
最大トルク:15.9㎏m/3600rpm 
JC08モード燃費:―
車両本体価格:184万2480円

200万円以下で手に入る極められた独自の世界観

 こうして、それぞれに魅力(とツッコミどころ)がある4台だが、その中で新型スイフトスポーツが飛び抜けているのは、繰り返しになるが動力性能である。その魅力は加速性能や最高速(国内仕様は当然のごとく180㎞/hでリミッターが効くが)といった客観数値にとどまらない。空前のトルク・ウエイト・レシオによる鋭い加減速レスポンスと、それによる小気味良い旋回コントロール性こそが最大のキモである。

 新型スイフトスポーツのハンドリングの仕立てはまさに現代の正攻法で、剛性感と正確性に富む。これを1tに満たないボディで……と考えると素直に感心するが、新型スイフトスポーツはそこに刺激たっぷりの動力性能のトッピングが加わるのが新しい。新型スイフトスポーツは冒頭の3条件にもうひとつ加えた「コンパクトハッチ、スポーツ、200万円、そして素直に速い!」という4条件がそろった現時点で唯一無二のクルマといっていい。もともと国産車では貴重な立ち位置だったが、この新型でさらに独自の世界観を極めた感がある。いや、そんな細かい情緒やコジツケはともかく、200万円以下でこれだけ高い動力性能を持ち、しかもそれを見事に御しきるシャシーが手に入るとは、素直に魅力的なホットハッチである。

アバルト595(5速RMT)

1960年代の先代500の時代から、マイクロコンパクトなフィアット500にABARTHチューンのハイスペックエンジンを積む595は、ホットハッチの始祖とも言える存在。今回の試乗車はRMTだが、5速MTもラインナップする。

直列4気筒DOHCターボ/1368㏄ 
最高出力:145㎰/5500rpm
最大トルク:21.4㎏m/3000rpm 
JC08モード燃費:12.6㎞/ℓ
車両本体価格:309万9600円

モーターファン別冊・ニューモデル速報 ニューモデル速報 Vol.559 新型スイフト スポーツのすべて

これまでの1.6L自然吸気エンジンから、スイフトスポーツ初の1.4L直噴ターボエンジンへとスイッチし、大幅なトルクアップを実現。加えてワイドトレッド&ワイドフェンダーの3ナンバーボディとなりながら1tを切る軽量ボディで、”史上最速のスイフトスポーツ”の称号に相応しい速さを身に着けました。

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