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【試乗記:ホンダ・クラリティ PHEV】モーター走行だけじゃない! エンジンも力強くてビックリ

  • 2019/08/08
  • ニューモデル速報
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モーターにも劣らぬ力強さのエンジンドライブモード

 その思いをさらに助長するのが、SOCが減ってハイブリッドに移行し、エンジンドライブモードを試したときだった。約70㎞/hを超えた高速域であまり負荷が高くない状態でエンジン駆動に移行。驚いたのはそれなりの加速をしてもエンジン駆動が続くことだった。他のi-MMD搭載車は加速させるとサッと外れてエンジン発電・電気モーター駆動に移るがクラリティPHEVは粘る。実は電気モーターがアシストに加わるのだが、ここにも電気系を強力にした恩恵が効いている。だから「エンジン駆動はあんまり力がないな」という感覚はなく、電気モーター駆動時のトルキーさと変わらぬ高速走行がいつでも堪能できる。

 一般的に電動化が進むと、エンジンのように走りのキャラクターを分けることが難しくなると言われているが、ホンダはすでにひとつの回答をクラリティPHEVで見せている。賢く最高効率を追求しながら高速域での伸びやかさを実現しているのだ。

 わざわざエンジンドライブモードを持たせたのはもちろん効率のため。電気モーターは投下されたエネルギーでタイヤをどれだけ回せるかの効率がエンジンの二倍以上は高く、しかも0rpmから最大トルク(タイヤを回転させる力)を発揮させられるのが大きなメリット。エンジンは最新のガソリン直噴ターボでも最大トルク発生値は1500rpmほど、NAでは3000〜4000rpmは回さねばならず、0rpmからアイドリングまではまったく使い物にならない。だからトランスミッションでたくさんのギヤを刻んで美味しいエンジン回転域を使ってクルマを走らせる。だが0rpmからきっちり使える電気モーターならば1ギヤで済み、実際にクラリティは3車種ともそうなっている。

 過去に燃費と速度の関係を調べるべく、さまざまなクルマをテストコースに持ち込んで燃費テストをしたことがある。20㎞/hから120㎞/hまで10㎞/h刻みで一定速走行時の燃費を計測したところ、エンジン車のほとんどは60㎞/hが最も燃費が良く、それ以下でもそれ以上でも悪化した。速度が上がればクルマは大きな仕事をすることになり、走行抵抗も増えるので悪化するのは納得いくが、低速方向での悪化はちょっと不思議な気もする。だが、考えてみれば単純な話で60㎞/h付近は最も高いギヤでエンジン回転数が低いところを使えているが、速度が下がればギヤが低くなるからエンジンが回っている割に距離が伸びない=燃費が悪いということだ。対する電気モーター車は、20㎞/hが最も電費が良く、速度が上がるごとに悪化。1ギヤなので仕事とエネルギー消費が素直な関係になる。クラリティPHEVは電気モーターとエンジン、それぞれの特性を活かし、総合的にエネルギーマネージメントを考慮してモードを切り替えていくのだ。

 ECONよりもNORMAL、それよりもSPORTとなっていくほどにアクセル操作に対する反応は鋭くなる。それを実現するためにエンジンが早めに掛かるようになるが、それもまた違った快感がある。エンジン・サウンドがそこそこに刺激的で持てる力を振り絞っているフィーリングになるからだ。スパーンと最高回転の5500rpmまで回ると、ドライバーの血流もちょっと速くなる気がする。

 ハイブリッドドライブモードでの一般的なペースの走行で、エンジン音が耳につくようなことはない。始動は至ってスムーズでシュルシュルと知らぬうちに掛かり、その後も2000rpm+αぐらいの静かな領域で使うのがほとんどなので、気にならないのだ。

 電動車ゆえ、減速エネルギーを電気に変換する回生がもちろん行なわれるのだが、その強さを切り替えられるのが面白い。通常、Dレンジで走っているときはエンジンブレーキ相当の自然な減速感だが、ステアリングのパドルで4段階の調整が可能。高速巡航時や下り坂でちょっと強めの減速が欲しいとき、ワインディングをスポーティに駆け抜けるときなどに有効。ドライビングの一体感を高めてくれるアイテムだ。

テクノロジーをことさらにひけらかすのでなく、上質なぬくもりを感じさせるインテリア。一般的なレバーを廃した未来的なシフトスイッチと、温かみを感じさせるウッド調のシフトパネル加飾とのコントラストはクラリティならではの佇まい。

ホンダ車の中でも俊逸なシャシーの仕上がり

 パワートレーンばかりに目がいきがちだが、シャシー性能も大いに注目すべき出来映えだ。ボディ剛性が高く、サスペンションがスムーズにストロークする。後ろ足がしっかりと地面を捉えて安定感が高いゆえ、ステアリング操作に対して俊敏にノーズを動かしても全体の動きに無理がない好ましい循環にある。快適な乗り心地とファン・トゥ・ドライブが高い次元で両立されているのだ。

 ステアリングフィールも秀逸で、中立付近がわかりやすく微舵領域の反応がいい。高速ロングドライブでも疲れが少なそうな特性だ。クラリティFUEL CELLも基本的には同様だが、大容量バッテリーと燃料タンクを床下配置したことで重量バランスが良くなり、舵の効きの確実性や安定感が増した。正直に言って、いまのホンダ車のなかでシャシー性能だけみても、最もいいクルマに仕上がっていると思えるほどだ。

 EVやFUEL CELL以上に複雑なパワートレーン/ドライブトレーンを持つPHEVは、クラリティが当初から見せていたセクシーさが際立っていた。エンジン/モーターの最高効率を目指すとともに、電動車の味わいを奥深きものにして乗る者を虜にしてやるという造り手の情熱に、知らず知らずのうちにほだされているからだろうか? 環境対応車の試乗では冷めた気分になることもしばしばだが、今回ばかりは心にポッと灯りが点ったように暖かい気持ちになったのだった。

FCVから大きく変わったのがラゲッジスペースの拡充。容量はアコードPHEVを大きく上回る512ℓを確保し、9.5型ゴルフバッグが4個積載可能。さらにトランクスルー機構も備わる。
薄型IPUと電動パワートレーンの最適配置により、上級セダンにふさわしい、大人5名がゆったりくつろげる広大なスペースを得た。6ライトキャビンにより、室内の開放感も上々。

■寸法・重量
全長(㎜):4915
全幅(㎜):1875
全高(㎜):1480
室内長(㎜):1950
室内幅(㎜):1580
室内高(㎜):1160
ホイールベース(㎜):2750
トレッド(㎜)  前:1580 後:1585
車両重量(㎏):1850
定員(名):5
■エンジン
型式:LEB
種類:直列4気筒DOHC
ボア×ストローク(㎜):73.0×89.4
総排気量(㏄):1496
圧縮比:13.5
最高出力(kW[㎰]/rpm):77[105]/5500
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):134[13.7]/5000
燃料供給装置:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
燃料タンク容量(ℓ):26(レギュラー)
■モーター
型式:H4
種類:交流同期電動機
最高出力(kW[㎰]/rpm):135[184]/5000-6000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):315[32.1]/0-2000
駆動用主電池 種類:リチウムイオン電池
■トランスミッション
形式:―
変速比 前進:― 後退:―
最終減速比 第一:2.454(電動機駆動)0.805(内燃機関駆動) 第二:3.421
駆動方式:FF
パワーステアリング:電動式
サスペンション 前:ストラット 後:マルチリンク
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤ・サイズ:235/45R18
最小回転半径(m):5.7
JC08モード燃費(㎞/ℓ):28.0
EV走行換算距離[JC08モード](㎞):114.6
車両本体価格:588万600円

モーターファン別冊・ニューモデル速報 ニューモデル速報 Vol.573 ホンダ クラリティPHEVのすべて

圧倒のEV走行距離114.6km!運転の楽しさと高級サルーンの快適性を両立

ドライビングインプレッション
ライバル車比較試乗
開発ストーリー
メカニズム詳密解説
デザインインタビュー
使い勝手徹底チェック
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