〈試乗記〉DNGA第一弾のダイハツ・タントは、軽自動車の走りを変えた!
- 2019/09/06
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岡本 幸一郎
DNGAの恩恵は運転席の視界や乗り心地にも現れる
ドライビングポジションを取ると、もともと良好な視界がさらに心なしか良くなったように感じられた。これは、パノラマ電車のように見晴らし感を演出するためにこれまでどおりフロントウインドウガラスが競合車に比べてかなりラウンドしているというタントならではの特徴に加え、新型では従来型に比べて剛性に関係のない最前方のピラーを11 ㎜細くしたことや、低く抑えたダッシュボードによるものが大きい。加えてベルトラインの高さも、しっかり感を視覚的に演出するには高くした方が良く、実際にそうしている競合車もあるのはご存知のとおりだが、タントは周囲の見やすさを重視してあまり高くしていない。
センターメーターの採用はこれまで通りだが、新型はトップマウント方式のメーターフードをそのまま延長して横長な形状とされた。開発関係者によると、これはセンターメーターの延長上との認識という。基本的な情報を映し出すのはセンターで、運転席前はあまり表示がない。ただし、自動運転系は、やはりドライバーの目の前にあった方が良いとの判断からこのようにされたわけだ。
表示機能も充実していて、メーターの左端はTFTの強みを活かし、好みによりメーター照明色の変更やオープニング・エンディングのエフェクト表示のほかにも、エアコンをいじったときにポップアップさせたり、微低速時のハンドルの向き、2種類の時計、安全安心キャラクターの表示など、様々な設定を行なうことができる。タコメーターを表示させることも可能で、あえて選んだユーザーのために、グラフだけでなく回転数を数字でも表示するという珍しい機能もある。また、新型タントはターンシグナルの音色が従来のブザーではなくスピーカーで出すようになった。これは3種類選択可能で、フランス車のような可愛らしいリレー音を選ぶこともできる。
キルト柄をモチーフにした新感覚のインテリアも目を引く。それをドアトリムでは樹脂で表現したり、シート生地も併せてコーディネートしているのは見た目にも印象的だ。
カスタム系のフロントシートは、タントらしくベンチシートの良さを損なわない範囲で若干ホールド性を高めたパッド形状とされており、座った印象も標準系とは異なる。
前席に比べてややヒップポイントを高めに設定した後席のクリアランスもかなりのもの。筆者が座って頭上はコブシふたつ以上もあるのは圧巻。また、切り立ったサイドウインドウにより横方向の余裕もある。
ただし、乗り心地の快適性は前席の方がだいぶ高く、後席は振動や音がやや大きめ。14インチ仕様と15インチ仕様では印象が異なり、それぞれ一長一短あるが、前述の足まわりの違いもあって15インチの方が振動の振幅が小さくて収束も早く、カーブで身体が横に揺すられる感覚が小さいことも確認できた。
駐車場では、「スマートパノラマパーキングアシスト」も試してみた。
カメラで駐車枠の白線を検知するタイプは軽自動車初とのことだが、シンプルで使いやすいことが印象的で、設定も簡単で、出先で初めて止めるような状況でも強い味方になってくれそうだ。切り返しの回数をあらかじめ伝えてくれるほか、より狭いエリアで駐車できるモードが選べるのも助かる。
また、前車追従式クルーズコントロール=ACCが渋滞時を含めた全車速追従になったほか車線中央付近を維持する機能が追加されたのも大歓迎だ。「先進技術をみんなのものに」と考えるダイハツらしく、パノラマモニターに少し加えただけの低コストでこれらを実現したことも念を押しておきたい。
「新時代のライフパートナー」をキーワードに、すべての世代のユーザーのニーズに応える良品廉価な商品を目指したという新型タントは、まさしくそのとおり、日常生活のあらゆるシーンでこれまでにも増してありがたみを実感させてくれるクルマに進化していたように思う。
誤発進抑制機能は前進に加えて後退時のブレーキ制御まで行なってくれる。また、カスタムでは対向車を検知すると自動でその部分だけ遮光するアダプティブドライビングビームを軽初採用。
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