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新型日産スカイライン「プロパイロット2.0」で現実の道路事情と著しく乖離した速度規制のあり方も浮き彫りに。道路交通行政関係者は全員体感すべし! 新型日産スカイライン試乗…「プロパイロット2.0」のライントレース性能はADASで初めて人間を超えた! 新設定VR30DDTT型3.0ℓターボは良い意味でターボらしくない感触

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「プロパイロット2.0」のシステム構成(前側)
「プロパイロット2.0」のシステム構成(後側)

 では、今回の目玉の一つである最先端の先進運転支援システム(ADAS)「プロパイロット2.0」の仕上がりはどうか。

日産がついに「プロパイロット2.0」で手放し自動運転を実現する! 今秋、まずは新型スカイラインから

ZFの三眼カメラ「トライカム」
 技術的な詳細は上記記事に詳しいので概要のみお伝えすると、従来の「プロパイロット」が単眼カメラのみで自車周囲の状況をセンシングして加減速および操舵アシストを行っていたのに対し、「プロパイロット2.0」はZF製の三眼カメラ「トライカム」と、インパネ中央に設置される「ドライバーモニター」、GPSのほか、フロント中央のミリ波レーダー、前後バンパー両端の準ミリ波レーダー、ドアミラーなど四方に配置される「アラウンドビューモニター」用広角カメラ、前後合計12個のソナーも装着。

インパネ天面中央に装着される「ドライバーモニター」の赤外線カメラ
 さらには3D高精細地図データ(HDマップ)を組み合わせ、ナビで設定したルートと連動させることで、HDマップがある高速道路における同一車線内でのハンズオフ(手放し走行)を可能にした。また、「プロパイロット2.0」で走行中、ドライバーが警報に反応せずシステムが車両を緊急停止させると、専用のオペレーターに自動接続する「プロパイロット緊急停止時SOSコール」も搭載している。

「プロパイロット2.0」の操作スイッチ。右上の矢印が「車線変更支援」のスイッチ
 操作方法はいたって簡単だ。従来の「プロパイロット」とほぼ同じく、ステアリング右側にあるプロパイロットボタンを押し、「CANCEL」ボタンを押し下げれば、メーター中央のディスプレイやHUD(ヘッドアップディスプレイ)表示が緑色になり、ハンズオンでの加減速・操舵アシストが起動。

1.HDマップがカバーする道路上
2.中央分離帯がある
3.車速が制限速度内に収まっている

 などの条件を満たしていると、ディスプレイ表示が青色になり、ハンズオフでの走行が可能になる。

ハンズオフ走行時のメーターディスプレイ表示
ハンズオフ走行時のHUD表示
プロパイロット2.0を起動し、ハンズオフでドライブしてみた。安心感は非常に高い。ただし、高速道路の一般的な流れは制限速度より速い場合が多い。制限速度内でないとハンズオフできないのは、少し違和感があった

 恐る恐るステアリングから手を放してみると、それまで車線の若干右側を走っていたところ、即座に修正舵が入り、車線にピッタリ真ん中へ。その後路面のうねりや凹凸、バンク角のついたカーブを物ともせずに車線中央を維持し、かつ周囲の車両や速度制限の切り替わりにも素早く的確に反応しながら走行し続けた。

ハンズオフ走行のイメージ。よそ見や居眠りを「ドライバーモニター」が検知すると即座に警報が鳴る
 ディスプレイ表示が青色である限り、周囲の状況にしっかり目を配ってさえいれば、アクセル・ブレーキペダルやステアリングに触れる必要はない。むしろクルマ側の制御に完全に委ねてしまった方が、スキルが低い、または疲労困憊のドライバーが運転するよりも遥かに安心できる。

 ADASは急速に進化し、その制御技術も徐々に自然なものへと改良されているが、このプロパイロット2.0は従来のADASとは次元が異なる。「初めて人間を超えたADAS」と表現しても決して言い過ぎではない。

 でもだからこそ、「車速が制限速度内に収まっている」という起動条件の存在が悔やまれてならない。そして、道路状況に合わせて適宜「プロパイロット2.0」を停止しなければ、自車のみならず周囲のクルマをも、かえって危険にさらすことになる。なぜならば、余りにも正確に、速度制限標識に合わせて車速を制御するため、工事区間や合流分岐とその前後では他のクルマとの速度差が大きくなりすぎるからだ。

「車線変更支援」の使用を促すディスプレイ表示
「車線変更支援」の使用中のディスプレイ表示

 実際に今回の試乗でそれを最も強く体感したのは、中央自動車道富士吉田線上り・大月ジャンクションとその手前。1km以上手前から「車線変更支援」の起動とハンズオンへの復帰を促され、ナビで設定したルートの通り車線変更、ハンズオフ走行に復帰すると、間もなく制限速度が80→60→50km/hへと低下し、車速もその通りに下がって行く。だが他のクルマはジャンクションの中に入り、タイトなコーナーの入口へ進入するまで車速を落とさないのが一般的。後ろへピッタリと張り付かれたり、やがてしびれを切らした後続車に追い抜かれるといった場面が何度かあった。

 筆者が運転免許を取得して23年、これほどまでに制限速度通りに走ることがむしろ危険だということを体感し、心の底から恐怖を覚えたことは一度もない。「プロパイロット2.0」の恩恵にあずかろうとすればするほど、昨今社会問題となっている重大なあおり運転や追突事故を誘発するばかりである。

 国土交通省や警察などの道路交通行政に携わる人は、全員漏れなくこのスカイラインハイブリッドに乗って「プロパイロット2.0」を試し、いかに日本の制限速度の設定ロジックが現実の道路交通事情と著しく乖離しているかを、身をもって知ってほしい。心の底からそう願わずにはいられなかった。

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