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プジョー508の開発コンセプトをひもとく「トラッドではない、着崩し自在なジャケット」

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走りの楽しさのベンチマークを目指して

 プジョーのプロダクト・ディレクター、ローラン・ブランシェは「プジョーにおいて、ドライビング・プレジャーは必須の要素となっています。さらに新型508の狙いは、模範的なハンドリングを実現するだけでなく、このセグメントの中でドライビング・プレジャーのベンチマークとなることなのです。そのために、最新のEMP2プラットフォームとプジョー・iコックピット(PEUGEOT i・Cockpit R)を最大限駆使しました」という。

 原来プジョーにとってその特徴は、「ネコ足」と言われるしなやかな乗り味。そ
の快適さや運転の楽しさは、最大の魅力とされてきた。その特性は時代なりに進化してきたが、さらなる進化が果たされたのだという。

 サスペンションは、フロントがストラット式で、リヤがマルチリンク式を採用。プジョーのハイエンドモデルがFF化されたのは、1989年登場の605からだったが、当時のリヤサスペンションはダブルウイッシュボーン式を採用。その後継となった607でもダブルウイッシュボーン式を継承した。ある意味プジョーの技術的ハイライトはリヤサスペンションにあるともいえ、205から始まるトレーリングアーム式はバネをコイルではないトーションバーを横置きとし、ダンパーは限りなく水平に近く寝かせることで、広くスクエアな荷室を実現に貢献。

 併せて406ではトレーリングリンクを持つマルチリンク式を採用した。

 さらに407からは新たなフェーズへ。一歩進めてマルチリンク式を採用した。しかも注目はその構造で、サブフレームは左右にわたる、チューブ状の筒となっている。この内側にアームを組み込み、さらにコイルバネとダンパーもセットする。もうお判りだろう。フラットでスクエアな荷室を構成し、なおかつこれまでにない高剛性をも手に入れるサスペンションなのだ。

 当初のトレーリングアーム時代からのアイデアが活かされ、さらにその時代からの悩み=横剛性の確保が見事に実現されたのである。このサスペンションは先代の508そして新型でも採用され、ハイエンド・プジョーの定番の足となった。

 そしてさらに注目なのが、ボディ骨格。すぐにわかるところはフロントドアとリヤドアの仕切りとなっている、Bピラーだ。このサイズがかなり太い。そうして見るとフロント側のAピラー、リヤ側のCピラーもかなり太い。これらがボディ剛性のアップに貢献しているのはいうまでもない。それでいてこのボディを構築するEMP2というプラットフォームは、従来よりも70㎏も軽量化されているという。

プジョー必須の高いハードウェア性能も実現

 こうしたキャビンと併せながら、用意されたのはファストバックとステーションワゴンという2種類のハッチゲートを持つボディ形態だ。プジョーにとって5ドアのファストバックというスタイルは、極めて例が少ない。現代から時代を振り返ってみても30年以上前の1985年に登場した309にまで遡る。異端ともいえたこのモデルだが、後席を畳んだ時のその収納力は驚異的。前述のトレーリングアーム時代から深くスクエアな荷室は、高い収納能力を誇示した。さらに406以降では、現代に到るまでセダンにも6対4分割式のトランクスルー構造を持たせている。それどころか、406クーペや607クーペにまでその構造は継承され、想像以上の高い荷搬性能はプジョーの大きな特徴となっている。

 この考え方が、最新の508に単なるセダンにとどまらずリヤゲートを持つファストバックを採用させた。5ドアハッチバックというスタイル自体は30年ぶりということになるのだが、ここにきてプジョー開発陣がまったく自然に登場させてきたのには、こんな経緯があったからだと思う。

 そしてさらに前述した太いBピラーの謎。ここ一連のプジョーを見るとピラーの太さはトレンドとなっている。その中で剛性アップはわかるが、なぜそこまでに508で意識されたのか。その答えが、セダンとしての王道の考え方にあると思う。先代の508は普通に4ドアセダンだったが、ファストバックとなってもそのセダンとしての"質"は確保したい。それが静謐さである。一般的にハッチゲートがあり居住空間と荷室が分離されていないクルマでは、暗騒音が抑えがたく車の質を下げてしまうことになる。しかし508では圧倒的にボディ剛性を高めて、元から荷室の暗騒音を抑え込むことで、セダンとしての質をさらに高めている。

 また、日本仕様のエンジンは1.6ℓ直列4気筒ガソリンターボと2.0ℓ直列4気筒ディーゼル・ターボの2種類。大排気量ガソリンエンジンに対して、振動・騒音面で不利になるものの、徹底した騒音対策が施される。

 アクティブ・サスペンションも、基本的にスポーツ、標準、コンフォートと切り替え式だが、単にサスペンションだけでなく、ステアリングの重さ、アクセル特性、変速特性までをも制御する。

 このモードは508をある時はスポーツカーに、そしてある時は快適なセダン、そしてかつてのふんわりとしたフレンチ・リムジンという3つの顔を1台の車で持ち併せさせた。

 世界的な大きな進化の中で、クルマはより実用性一辺倒という画一的な方向に進まざるを得なくなっている。その中にあってサルーンとして、静かで豊かな空間や、安定した走り心地を実現。ダイニングの椅子は何かの目的のために座る、効率の良いツールだ。対するリビングのソファは、体を休めたり空間を楽しんだりというように目的はまったく異なる。

 プジョーというジャケットを選ぶ意味とは、"移動する"という目的に縛られない安堵感を常に提供してくれる点、そして新しさに恐れずトライし、次の価値へと誘うアバンギャルドな魅力。そして決して主張しない、隠された実用性の高さ。伝統的な技術、考え方に裏打ちされながらも、まったくトラッドではない着崩し自在なジャケット、それが新型508なのである。

i-Cockpitを具現化したインテリア

インテリアに関しても、まずDセグメントの中で最も個性的と言えるのがプジョー。i-Cockpitなど、他にない考え方を貫き、独自のフィロソフィに溢れる。

荷室容量の拡大

期待以上の使い勝手も魅力のひとつ。後席を倒した荷室拡大術は、クーペでも備わっていたのがプジョー。508の格納はシートバックを倒すワンアクションとなり、ファストバックであっても自在に使い倒せる。

モーターファン別冊 インポートシリーズ vol.69 プジョー508のすべて

最新技術を完備するファストバックとワゴン
妥協なき乗り心地の良さと、走る楽しさを実感

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