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マツダ MAZDA3のSKYACTIV-Xは、まだファーストステップ。エンジニアに訊いた“SKYACTIV-Xの次のステップ”とは?

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SKYACTIV-Xエンジン搭載のマツダ3セダン

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいとこ取りをしたのが、ガソリン圧縮着火を点火プラグがつくる膨張火炎球を利用して制御するSKYACTIV-Xである。ガソリンとディーゼルのいいところ取りをしたのだから、燃費性能をはじめすべての側面で両者を上回っていてほしい。ところが実際は、既存のディーゼルとガソリンの中間的な特性に留まっているところもある──。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota)

SPCCIを突き詰めていけば、さらにリーンにできる

SKYACTIV-X エンジン形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCスーパーチャージャー+Mild Hybrid エンジン型式:HF-VPH型 排気量:1997cc ボア×ストローク:83.5mm×91.2mm 圧縮比:15.0 最高出力:180ps(132kW)/6000rpm 最大トルク:224Nm/3000rpm 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:プレミアム

 MAZDA3に載って12月5日に発売されるSKYACTIV-Xは、ガソリン圧縮着火エンジンのファーストステップであることを差し引いて考える必要がある。洗練の余地、効率向上の余地は大いに残っており、それはマツダの技術者も自覚している。先の姿は見えており、「その実現手段を具現化しているところ」と、開発に携わる井上淳氏(マツダ株式会社 パワートレイン開発本部 エンジン性能開発部 第2エンジン性能開発部 アシスタントマネージャー)は説明する。

「良く走る。楽しく走る。そうして走った結果、燃費も良かったねと。すでに、(ファーストステップでさえ)かなり燃費のいい領域を広げています。(箱根・十石峠の試乗会場周辺を)実際に走ったデータの比較をしていますが、従来の2.0ℓ(SKYACTIV-G 2.0)に比べて2割くらい燃費がいい。このあたりは(アクセルペダルを)結構踏み込んで高回転側を使うので、従来の高圧縮比エンジンだと燃費がどうしようもなくなる運転シーンでさえ、しっかり燃費が出ている。私たちの狙いはあるレベル実現できていると思っています」

 確かに、井上氏の言うとおりだ。しかし、過渡で踏み込んだときにもう少し、頼もしくなるような押し出し感が欲しいとも感じた。その点については開発者側も重々承知しているし、道筋は見えていると話す。

2017年8月時点の資料によると、現行SKYACTIV-GよりSKYACTIV-Xの効率の良さがわかる

「最終ステップに向けた道筋につながる技術をやっと手に入れた段階です。もう1ステップ上に行かなければなりません」

 エンジンの熱効率を高める方法は大まかにいって2種類あり、容積比(カタログ上の表記は圧縮比)を高めることと、比熱比を高めることだ。比熱比を高めるとは、空気と燃料の質量の比である空燃比をリーンにしていくことを意味する。燃料に対して空気の比率を高めていくわけだ。

 そうして空燃比を大きくしていくと混合気は薄くなるので、着火しにくくなる。着火しにくくなった状態の薄い混合気を、主に圧縮によって高温高圧の状態にし、自己着火させるのが予混合圧縮着火だ。圧縮着火が成立する筒内の圧力と温度の範囲は非常に狭く、制御が難しい。筒内圧センサーによって燃焼状態をモニターし、点火プラグによる膨張火炎球によって自己着火をコントロールするのが、マツダ独自のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)である。

「点火プラグで安定的に着火できる技術を確立しました。この方式を突き詰めていけば、さらにリーンにできる。武器を手に入れたので、さらにブラッシュアップしていきたいと考えています」

 井上氏はそう説明する。ガソリンと空気が過不足なく燃焼する空燃比を理論空燃比といい、その比率はおよそ14.7だ。これを空気過剰率に置き換えるとλ(ラムダ)=1になる。数字が大きくなるほど空気の比率が高くなる(よりリーンになる)ことを意味する。λが2を超えると燃焼温度が2000K(ケルビン。1727℃)を超えなくなるので、NOxは発生しない。λが2より小さい場合はNOxが発生するため、高価な後処理装置が必要になる。

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