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12月23日に受注終了! スバルWRX STIを振り返る〈第一回:試乗記〉

  • 2019/12/04
  • ニューモデル速報
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快適さと楽しさがハイレベルに達したS4

 WRX S4に乗り換えると、エンジンやタイヤなどのノイズがグッと下がっていい意味で平和になった。非日常から日常へ戻ってきたとでもいえばいいだろうか。サーキット走行をも得意とするWRX STIの荒々しさに比べると、ストリートにフォーカスしたWRX S4は平和なだけではなく、乗り始めた瞬間から身体に馴染み、ワインディング・ロードでもより安心感が高くてリラックスして楽しめる。それは、現行WRXになってからリヤ周りがガッチリとしてスタビリティが高まったことを実感しやすいからだ。アクセルペダルをスッと踏みこむと、リヤに荷重が移ってスムーズにリヤタイヤを路面に押しつけていける感覚が強い。WRX STIのスタビリティにケチを付けるつもりはないが、よりパワフルでグイグイと曲がりたがる性格に比べるとWRX S4のほうが懐が深く感じられるのだ。

 ハンドリングのシャープさではもちろんWRX STIに譲る。だが、旋回のフィーリングは素直でAWDの制御も自然でむしろ好ましい面も多い。コーナーへ向けてステアリングを切り込んでいくと、スッと外側に荷重が移るとともに曲がる力が発生していくプロセスがわかりやすくドライバーに伝わってくるのだ。

 タイトコーナーで立ち上がりへ向けてのアクセルオンも、アンダーステア方向へ陥らないようタイミングを見計らう必要はあるものの、VTDのAWDシステムは制御が自然な感覚で一体感が高い。

 ブレーキはアイサイトを搭載するため、電子式パーキングブレーキの用意がないブレンボ製の採用は見送られているが、踏力のコントロールをきっちり反映してくれるのはWRX STIと同様。もちろん、微細なコントロール領域や制動力などで差はあるが、ワインディング・ロードの走りでは十二分な性能だ。

 エンジンはWRX STIとは違ってFA20型。同じ水平対向2.0ℓターボでも、こちらは世代が新しく直噴を採用し、低・中回転域でのトルクが充実している。それでも高回転域のキレの良さだってなかなかのものだ。一般的な走行シーンを想定した走りでは2000rpmも回せばほとんどをこなしてしまうが、いざアクセルを強く踏みこんで5000rpm以上を使い始めると、サウンドは迫力を増し、300㎰のパワーで力強く突進していく。WRX STIのほうが最高出力で上回っているのは確かだが、アップダウンやツイスティなコーナーも多いコースでは、常にギヤ比が適切なCVTの効果もあって平均的な加速は速く思えるほどだ。

STIよりややマイルドなS4のサスペンション設定は、GT-Sではストリート仕様、GTではプレミアム感重視といったところ。

 スポーツドライビングにとってCVTはあまり歓迎されるミッションではないといわれているが、WRX S4のそれはネガを見事に克服している。CVTの悪癖はエンジン回転が先にあがってあとから速度が乗ってくる、いわゆるラバーバンドフィールだが、それはステップギヤ制御によってほぼ解消。ある程度以上のアクセル開度になるとATやDCTなどステップギヤと同じようにギヤ比が固定されてシフトアップを繰り返すようになる。ゴムの伸びきったようなフィーリングがなくなりダイレクト。少なくとも加速側では文句はない。アクセルから足を離した時の減速感では本当のステップギヤよりもダイレクト感がちょっと薄れる面もある。

 世界一スポーティで優れたCVTであることは断言できるが、ツアラーとして見た場合、少しだけ注文がある。高速道路を淡々とクルージングするような走りではトルクはそんなに必要ないのだが、WRX S4は有り余るトルクがアクセルペダル開度のごく浅いところで発生してしまうので、全閉のところまで右足を持ち上げることが多いのだ。もうちょっとだけ初期の反応をなまして、少し踏みこんだ、右足の力が楽な開度のところでクルージングできれば、ロングドライブで疲労感が和らぐだろうと思えるのだ。SやS♯のモードでは敏感でもいいが、Inteligentはもっと鈍くしてもよさそうだ。右足の楽な踏み込み具合には個人差があるので、一概にはいえないが。

 そんな細かなところに注文を付けたくなってしまったのは、WRX S4がツアラーとしての資質も高いからだ。スムーズなストローク感とほどよいダンピングでしなやかなサスペンションは、良くできた欧州プレミアムカーに匹敵するようなフラットライド感がある。路面変化の多い高速道路やワインディング・ロードでも、乗員のブレがないから疲れが少ないだろう。アイサイト・ツーリングアシストも標準装備されているので、ロングドライブには持って来いのモデルでもあるのだ。

 D型となってWRX STIとWRX S4はそれぞれに進化するとともに、キャラクターの棲み分けがわかりやすくなったともいえる。WRX STIはよりマニアックなスポーツギヤへと進化し、WRX S4は飛び切りにスポーティかつツアラーの資質を伸ばしたからだ。こうなってくるといいとこ取りというか中間的な存在になるWRX S4のMTなんかがあればさらにいいなどと妄想もしたくなる。いや、アメリカでは販売されているのだから(トランスミッションのトルク容量の事情でエンジンがディチューンされているが)、これはない物ねだりではないのだ。

眼光鋭い、個性的な佇まい。スポーツカーに抗せる、希少な1台である。

モーターファン別冊・ニューモデル速報 Vol.554 新型WRX STI/WRX S4のすべて

スバルならではの“走り”進化論、ふたたび!
極められた独走の美学

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