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なにかを否定するのは理解が足りないから。人間も外交も同じ〈メルセデスAMG GTに乗って4ドア・クーペに開眼する〉試乗記:メルセデス・ベンツのスーパースポーツ

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阪神ファンでも、巨人の選手に握手してもらったらファンになる

 だが空恐ろしいと感じたのは、尋常ならざる旋回性能である。どう見てもヘビー級のハイスピードクルーザーなのに、タイトなコーナーでもクルッと回ってしまうのだ。これはGT63に標準装備され、GT53にはオプション設定されている「AMGリア・アクスルステアリング」という4輪操舵システムのおかげだろうと思って車載の仕様書を見てみると、なんと付いていない。

 つまり車体そのものの素性の良さだけで、この旋回性能を引き出しているのである。

 しかもただ旋回スピードが速いだけではない。サスペンションの沈み込みやタイヤが路面を掴んでいる感触がしっかり伝わってくるから、安心して踏んでいけるのだ。

 そしてこれは今までの経験からくる「想像」だが、こうしたクルマはたいてい長時間、長距離のドライブでも疲れにくい。ただひたすら快適なだけのラグジュアリーサルーンより、AMG GTのようにインフォメーション性の高いスポーツカーのほうが安心感が高まることで緊張がほぐされるのだ。さらにはクルマと対話ができることで、運転という行為に常に前向きでいられるから、飽きたり眠くなる可能性が低くなる。

 こればかりは実際にロングドライブに連れ出してみないとわからないが、優れたグランドツアラーである期待が一気に高まってきた。

 さて、ここまで読み進めてくれた方の多くが、「なんだか話の辻褄が合わない」と感じていらっしゃるのではないだろうか? 4ドアクーペ否定派が毒舌を振るうはずだったのに、結局は美辞麗句のオンパレードではないか、と。

 ……そうなのですスミマセン。

 なにかを否定するのって、たいていは実際に触れたことがなかったり、理解が足りなかったことによるものがほとんど。「見た目は気に食わなかったのに、話してみたらいいヤツだった」とか、「とくに興味のない女優だったけれど、本物を見たらハンパなく美人で一気に惚れてしまった」とか、よくある話でしょ。阪神ファンだって、巨人の選手にバッタリ会って握手なんてしてもらったら、コロッとファンになってしまうもの。中国人や韓国人が日本に来て、日本好きになってくれるのも似たような話だ。

 これだけ快適で、やたらめったら速くて、運転も楽しくて、それであの巨大なラゲッジスペースを見せられたら、そりゃあお金があれば買うよコレ、と思ってしまったのが正直なところである。

 そうなると「4ドアクーペというスタイルそのものも悪くない」「ルノー25やサフラン、シトロエンXMやエグザンティアみたいな、フランス伝統の5ドアセダンみたいで味があるじゃないか」なんて思えてくるのだから、もはや記者にはポリシーのポの字もないらしい。そもそもフランス車のファストバック風5ドアには肯定的だった、というのがダブルスタンダードではないか。

 結論。

 クルマの善し悪し、好き嫌いというものは、カテゴリーで判断できるものではない。そのクルマそのものが魅力的かどうか、それがすべてである。

 というわけで、AMG GT53はお金があったら買いたいクルマの有力候補に上がってきてしまった。でもね、やっぱりこれを2ドアにしたらもっと素敵だと思うんですけれど(しつこい)。

メルセデスAMG GT 53 4MATIC
全長×全幅×全高:5050×1955×1455mm
ホイールベース:2950mm
車両重量:2080kg
エンジン形式:直列6気筒DOHCターボ
排気量:2996cc
ボア×ストローク:83.0×92.3mm
圧縮比:10.5
最高出力:320kw〈435ps〉/6100rpm
最大トルク:520Nm/1800-5800rpm
燃料タンク容量:80L
トランスミッション:9速AT
駆動方式:F・AWD
乗車定員:5名
タイヤサイズ:Ⓕ265/40R20 Ⓡ295/35R20
※試乗車はAMGダイナミックパッケージを装着(Ⓕ275/35R20 Ⓡ315/30R21)
WLTCモード燃費:10.3km/L
市街地モード燃費:7.3km/L
郊外モード燃費:10.6km/L
高速道路モード燃費:11.9km/L
車両価格:1623万円

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