〈試乗記:アウディA4〉1.4TFSIと2.0TFSIクワトロ……それぞれの価値
- 2019/12/14
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MotorFan編集部
2.0ℓクワトロとの違いは高回転域だけ
1.4ℓターボで快活に走れるのかという心配は無用である。110kW(150㎰)/5000~6000rpmと250Nm(25.5㎏m)/1500~3500rpmを生み出す1.4ℓ直噴ターボはまさしくダウンサイジングユニットらしく、低回転から非常に扱いやすく、実用域では十分以上に俊敏だ。いっぽうで高回転域でのパワーの盛り上がりと弾けるような鋭い吹け上がりにはやはりちょっと欠ける。フルスロットルでは4000rpmから回転の伸びが緩やかになり、低いギヤでは5700rpmぐらいで自動シフトアップする。回転計のレッドゾーンは6250rpmからだが、そこまで目一杯使う設定ではないようだ。それに対して252㎰を発揮するクワトロのエンジンは6750rpmのリミットぎりぎりまで猛然と吹け上がる点が大きな違いであり、トップエンドでもパワーが落ち込むことはない。
もっとも2.0TFSIと1.4TFSIとの違いは、高回転域での伸びとトップエンドのパワーだけと言ってもいい。一般道では交通の流れをリードするように元気よく走ってもせいぜい4000rpmまで、普通はもっと手前でトントンと気持ち良くシフトアップしていくから、ピークパワーの差を意識する機会は少ないはずだ。そもそも、アバント1.4TFSIの車重は1490㎏(セダンはさらに40㎏軽い)で、2.0TFSIの1580㎏よりほぼ100㎏軽く、今回同時に試乗したクワトロよりは140㎏も軽いために、実用域での軽快感は優るとも劣らない。スルッと滑らかに動き出す身のこなしの軽さは印象的であり、またSトロニックも1.4ℓターボの特性に合わせて設定されているようで、発進時や極低速での軽い加減速時に時折気になるDCTのクラッチ断続によるギクシャク感もほとんど意識しなかった。我慢するどころか、この1.4TFSIが最も扱いやすいモデルかもしれない。
高い室内のクオリティは1.4ℓグレードでも同じ
自他ともに認める、隙のないインテリアの緻密なフィニッシュは1.4TFSIでも変わりがないことはもちろんである。廉価版はクオリティをやや落とす、などという安易な手法を取っていてはアウディの暖簾に疵が付くというもの。いまやインテリアのクオリティは世界中のメーカーから目標とされているのである。
いつだったか、スバルの試乗会に同社のエンジニアが比較実験車のA4クワトロを持ち込んだことがあった。その際に、エアコンやMMIのダイヤルだけでなく、コンソールの12Vソケットのカバーにまで、時計の竜頭のローレット加工のようなギザギザがきっちり刻んであるところに、他の社員が呆れたような声を上げていたものだ。感心するというより、そこまでしなくちゃいけないのかという、驚きの声だったように思う。シガーライターソケットのカバーなどどんなものでもいいじゃないか、と考えるメーカーもあるだろう。だがアウディはそうは考えない。どんなに小さな部品でも一事が万事、プレミアムブランドとはそういうものなのである。頭のてっぺんから爪の先まで忽ゆるがせにしない。細部まで注意が行き届いたエステティックな完璧主義は、ベーシックグレードでもまったく違いはない。
ただし、自慢のバーチャルコックピットやマトリクスLEDヘッドライトは1.4TFSIだけでなく全車にオプション設定であることに注意されたい。安全運転支援システムも基本的なものはもちろん標準装備されるが、レベルによってはオプションとなり、この車には69万円のセーフティ・パッケージ(グレードによって各種あり)が装着されていた。S4でもすべては含まれない。
若いカスタマーを惹きつけるために、どうしても各メーカーはスポーティさを強調するが、飛ばすことがスポーティではない。上質な軽快感や隙のないインテリアの仕上げ、スイッチ類の滑らかで確実な操作感など、他にも“スポーティ”と感じさせる項目は無数にある。奇をてらわないスタイルも、それが地味だとしたら地味で結構というものだ。プレミアムセダンは常に正攻法である。
AVANT 1.4TFSI Sport
A4の大きな魅力である緻密な作り込みを感じさせる上質なインテリアは1.4TFSIでも変わらない。装備面での大きな違いは、オートエアコンが3ゾーン式ではないことくらいだ。1.4TFSI Sportには写真のアトリウムクロス・スポーツシートが備わる。ホイールはSportが写真のYデザイン5スポークアルミ、1.4TFSIは16インチアルミが標準だ。
AVANT 1.4TFSI Sport
全長×全幅×全高:4735×1840×1435㎜
車両重量:1490㎏
エンジン:水冷直列4気筒1.4ℓターボ
最高出力:110kW(150㎰)/5000-6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5㎏m )/1500-3500rpm
トランスミッション:7速DCT
価格:507万円
2.0TFSI quattro
2.0TFSI系グレードには3ゾーンオートエアコンや電動シートが標準装備となる。撮影車両はオプションのSラインパッケージを装着しており、専用ステアリングやスプリントクロス/レザーのシートが備わる。A4のラインナップでは最もパワフルな2.0ℓターボは252㎰、370Nmのパフォーマンスと15.5㎞/ℓの燃費を達成する。
2.0TFSI quattro
全長×全幅×全高:4735×1840×1435 ㎜
車両重量:1610㎏
エンジン:水冷直列4気筒2.0ℓターボ
最高出力:185kW(252㎰)/5000-6000rpm
最大トルク:370Nm(37.7㎏m)/1600-4500rpm
トランスミッション:7速DCT
価格:597万円
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