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  • 2019/12/16
  • ニューモデル速報
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骨太なSTI、清冽なS4

 突き抜けるように回すこともできるが、実はスマートに電子制御されている感覚が付きまとうこの2台のターボエンジンに比べると、WRX STIに積まれている伝統のEJ20型フラット4ツインスクロールターボは圧倒的に豪快で骨太な印象だ。

 ピークパワーとトルクは308㎰/6400rpmと43.0㎏m/4400rpm、従来通りトランスミッションは6速MTだけ、パワーステアリングもSTIのみ電動式ではない。今どきあまり例のない8000rpmのレブリミットまで爆発的に吹け上がるが、自らシャープに軽く回りたがるというより力ずくで絞り出す印象。ほんのちょっとラフなビートが感じられるのがむしろ懐かしい。同じく、回転計の左半分ではスロットルレスポンスに遅れがあるのが、今となってはクラシックなターボの雰囲気だ。“どっかんターボ”というほどではないが、即応するレスポンスを期待するなら4000rpmぐらいから上をキープしておかなければならない。

 WRX S4のエンジンは対照的だ。レヴォーグにも搭載されているFA20型2ℓ水平対向4気筒直噴ツインスクロールターボは、300㎰/5600rpm、40.8㎏m/2000〜4800rpmを発生、スバルがスポーツリニアトロニックと呼ぶステップ変速制御付きCVTと組み合わされている。300㎰と40㎏mは、スポーツモデル用2.0ℓ4気筒ターボの基準値のようになっているが、それよりも新世代のユニットであることを実感させるのは、軽く静かにすっきり回るフィーリングである。

 今回のマイナーチェンジでは、エンジンには手が加えられていないというが、静粛性や乗り心地を向上させるための広範な改良の効果か、以前より静かに、かつ清々しく吹け上がる。こちらの苦手はCVTによるレスポンス・ラグというか、スロットルに対する“ツキ”が鈍いことだ。おとなしく走っている際には気にならないし、ステップ変速制御付きでマニュアルのようにシフトできるとはいえ、やはりちょっと戻したり、踏み増したりといった微妙な操作には即応してくれないのがもどかしい。モーターを一新したという電動パワーステアリングの自然なフィールも素晴らしく、乗り心地も以前のわずかなザラザラ感が消えてスッキリ爽やかになっており、全体的に明らかに洗練度が上がったS4の唯一の弱点といえるだろう。

VOLKS WAGEN GOLF R Variant

モデルチェンジを重ねるごとにサイズがどんどん大きくなり、いまや車幅などは1800㎜に至る。走ってみると、欧州車でよくいわれる「タイヤが地面に吸い付くような」とはこのことかと思わせるものが、このゴルフには確かにある。

直列4気筒DOHC直噴ターボ/1984㏄
310㎰/5500-6500rpm
40.8㎏m/2000-5400rpm
JC08モード燃費:13.0㎞/ℓ
車両本体価格:569万9000円

スルリと曲がり、ガッチリ止まる

 ターンインの際のシャープなステアリングレスポンスを重視し、スパスパ軽くノーズが向きを変えるのがCLAとゴルフRだとしたら、WRXはSTIもS4もリニアなハンドリング志向だ。CLAとゴルフRにはブレーキングによって軌跡を引き戻すシステムが備わり、たとえタイヤのグリップ状態に無頓着な人が無理矢理パワーをかけても車のほうが賢くコントロールしてくれるが、自分ですべてを采配しているダイレクトな感覚にはやや欠ける。

 その点STIは頼もしい。タイプSには新たに19インチタイヤが装着されたが、これまでの“ガッチガチ”から“カッチリ”ぐらいに洗練されたのは明らかで、しかも以前よりずっとターンインが容易でスルリとコーナーのインに寄せられる。従来型はセンターデフのLSDにトルクカムを組み込んでわずかにイニシャルトルクをかけていたが、新型ではそのカムを省いて簡潔な電磁多板クラッチ式に変更、そのおかげでターンインしやすくなっている。コーナー入口から出口にかけて巻き込むように曲がる感覚は顕著で、従来型に慣れている人は切れ込み過ぎると感じるかもしれない。もちろんDCCDはマニュアル操作できるのも特徴なので、とにかくトラクション命という向きはオートモードではなくそちらをどうぞ。

 新しいWRX STIに本物の迫力を加えているのは、標準装備のブレンボ製ブレーキだ。モノブロックの6POT(リヤは2POT)にドリルドローターなんて、ポルシェかアウディかと二度見するような贅沢パーツだ。こういう高性能コンポーネントを使おうとすると、どうしても社内からそれでどれだけ余計に台数が売れるのか、コストをかけただけの効果があるのかという横槍が入るのがまあいつものことだが、スバルにはそれを押し通せる風土があるということだろう。もちろん効果は明らかで、試乗コースも時間も限られていたため、耐フェード性などまでは分からなかったものの、制動力やその立ち上がり、コントロール性など、実に頼もしく有難いブレーキだ。

 これだけでもSTIを考える価値があるというものだ。

 見違えるように洗練されたが、スバルWRXには依然としてドライバーがせっせと関わる汗の匂いがする。それこそ、いまどき珍しい魅力ではないだろうか。

Mercedes-AMG CLA 45 4MATIC

車高を低く、前後のガラスを寝かせたスタイルを持つことから4ドアであってもクーペの扱いとなり、諸元表上では「CLACoupe」となる。写真のシートは、AMG 仕様への専用オプション・AMGアドバンストパッケージに含まれる「AMG パフォーマンスシート」だ。

直列4気筒DOHC直噴ターボ/1991㏄
381㎰/6000rpm
48.4㎏m/2250-5000rpm
JC08モード燃費:12.6㎞/ℓ
車両本体価格:773万円

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