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「数字より心地よさにコストを掛けた」ホンダ新型フィットはコンパクトカーの新たな地平を切り拓いたか?

  • 2020/03/31
  • ニューモデル速報
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注目のe:HEVには ステップドAT風制御も

 注目のe:HEVの作動原理は従来のi-MMDと同様だ。フルパワー時を含めて基本的にはエンジンは発電に専念して、モーターが駆動するシリーズハイブリッドとして作動するが、低負荷巡航時のみ、駆動輪とエンジンが直結されるアレだ。

 面白いのは、1.3ℓのCVTとe:HEVのどちらも、アクセルペダルを大きく踏み込んだ全開(か、それに準じる)加速時に、エンジン回転をあえて上下させるステップドAT風の制御をするところだ。CVTのステップド制御は最近のハヤリでもあるが、それをe:HEVにも取り入れたのは新しい。理屈ではエンジンをおいしい一定回転域に張りつけるのが理想である。それでも新型フィットがエンジン回転をあえて上下させるのは、エンジン音の上下と加速感のズレを減らして、ドライバーとクルマが「心地よく」一体になれることを意図したからだろう。

 e:HEVの瞬間的なパンチ力は1.6〜1.8ℓエンジン相当といった印象で、個人的にはもう少しビビッドな加速レスポンスを期待したいところではある。ただ、新型フィットの欧州仕様は全車がe:HEVになるそうで、約180㎞/hというこのクラスの電動車では屈指の最高速を達成しているのも自慢だ。また、以前のi-MMDではエンジン直結となった瞬間にそれなりの切り替え感があったものだが、今回はそれもほとんど体感できない。エンジンとモーターの心地よい協調マナーはこれまでよりハッキリと進化している。

 新型フィットのグレード名はこれまでの記号的なものから「ベーシック」、「ホーム」、「リュクス」、「ネス」、「クロスター」といったアパレル的コーディネートによるバリエーションを、パワートレーンや駆動方式を問わずに自由に選べるのが新しい。いわば「心地よいクルマ選び」だ。この中では「ネス」が従来のスポーティグレードに準じる存在だそうだが、それもあくまでシャシーやパワートレーンなどで旧来的な「走り」を表現したものではないのが新しい。実際、体感的な操安性は専用大径タイヤとなる「クロスター」も含めて、グレードごとに走りのキャラクターが分けられているわけではないようだ。

新型フィットのハイブリッド(手前)は、オデッセイなどに搭載されている発電用と走行用のふたつのモーターを使用するタイプに変更になった。併せて、ホンダではこのタイプのハイブリッドを「e:HEV」と呼ぶように。そしてガソリンエンジン(奧)は1.3ℓに一本化された。新しい1.5ℓ e:HEVは、エンジンで98㎰、モーターで109㎰を発揮。燃費(最良値)は、WLTCモードで29.4㎞/ℓ、JC08モードで38.6㎞/ℓという数値だ。

しなやかさ際立つ走り e:HEVはさらに重厚

 新型フィットは走りもまさしく「心地よい」と表現するのが妥当だろう。タイヤの銘柄やサイズも基本的には先代と変わっておらず、今回はその限られたタイヤの性能を引き出すことに留意したという。その走りは少し前までの、どんな車種・グレードでも姿勢変化が小さく俊敏に走って曲がったホンダとは明確に異なり、路面の凹凸をしなやかに吸収しながら、横Gが入るとたおやかにロールして路面に吸いつく。田中LPLは今回の開発で強く意識した競合車の一台にフランスのシトロエンC3の車名を挙げていたが、新型フィットの乗り味には「さもありなん」と思わせるものが確かにある。

 ……といった部分は新型フィットすべてに共通する味わいだが、その上でe:HEVは1.3ℓより明確に静か、かつ重厚だ。それはパワートレーンの音だけでなく、エンジンが停止した時のロードノイズも1.3ℓより好印象。これと比較すると、1.3ℓは少しばかりエンジン音が目立つが、身のこなしが圧倒的に軽快である。ちょっとした郊外路や山道でパリッとした操縦性を楽しみたいなら断然1.3ℓである。

 タイヤは「ベーシック」と「ホーム」が15インチ、それ以外が16インチ(「クロスター」のみ専用サイズ)が標準となるが、16インチだからといって明確に安定性や限界性能が高まるわけではない(笑)こともあって、個人的には15インチの濃厚な接地感や軽快な回頭性に好感が持てた。また、e:HEVの16インチのみにVGR(可変ステアリングギヤレシオ)が装備されるのだが、操舵量が少ないVGRは肉体的な負担が減る一方で、接地感やリニアリティでは非VGRの方に軍配が上がる。

 というわけで、新型フィットを軽快に振り回したい人に個人的オススメのひとつは、1.3ℓの「ホーム」である。走りは「ベーシック」も同様だが、レザーステアリングやニーパッドなどの新型フィット自慢の心地よさは「ベーシック」では味わえないからだ。

 SUV風味の「クロスター」は車高の分だけ上下動やロールが大きくなるが、そのぶん引き締められたフットワークの恩恵で、躍動的な操縦性はある意味で最もスポーティである。コーナーで気合を入れるとロールはさらに大きくなるのだが、専用タイヤのおかげもあるのか、大舵角まできっちりと追従するステアリングには感心する。新型フィットならではの心地よさと、ホンダならではの俊敏の両立……をご所望なら、「クロスター」は悪くない選択だと思う。

 ところで、新型フィットでは電動パーキングブレーキ(EPB)を全車標準として、このクラスでは贅沢な渋滞追従可能な全車速対応アダプティブクルーズコントロール(ACC)を備えるのも大きな自慢である。聞けばACC走行での車線維持やブレーキ制御にまで違和感のない心地よさに配慮したという。今回の試乗コースではそれを試すことはできなかったが、この種の先進安全運転支援システムが、いよいよ使い勝手や味わいにまで踏み込んできたのは「時代だなあ」というほかない。

 そういえばEPBの全車標準化が、新型フィットの発売を当初予定より遅らせた原因のひとつであることは事実ではある。ただ、その対応のために、もともと上級モデル用だった四輪ディスクブレーキが全車適用になったというのだから、長い目では、結果的には悪くない話だった思う。

メータークラスターを廃したインパネと、2本スポークステアリングが乗り込んだ瞬間に開放感を感じさせる。極細Aピラーによる視界の広さもそれを強調。グレードによって異なる助手席アッパーボックスの仕上がりは、これまでにない上質感を与えてくれる。
座った瞬間にしっかりした剛性の高さを感じられるシートは、人の骨格を研究してつくったという新設計のボディスタビライジングシート。後席座面の厚みもたっぷりしており、長時間過ごすほどに違いが際立ってくるはず。写真の「LUXE」では、新型フィット唯一となる本革表皮が与えられる。
2本スポークステアリングの右側スイッチには全車速対応ACCのスイッチが。ACCには車線維持支援機能も備わる。また自動ブレーキは自転車にも対応するなど先進安全装備は上級車並に。
EPBの採用でスッキリしたシフトまわり。そのスペースを活かしたテーブルコンソールを標準装備する。「LUXE」にはアームレスト付きコンソールボックスがオプション設定される。

モーターファン別冊・ニューモデル速報 ニューモデル速報 Vol.593 新型フィットのすべて

試乗インプレッション「数字よりも大切なこと」

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