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火曜カーデザイン特集/その3 日産キックスに見る造形美 日産キックスに見る造形美「実用的なのにかっこいいデザインの秘密」を解き明かす

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コンパクトでも充分な室内空間ながらスポーティな外観を実現

FFらしい、コンパクトでもたっぷりとした居住空間を持ちながらも、スタイリッシュな造形を実現。

 ところで気になるのは、キックスの全体のフォルムだ。
 サイドから見てわかることは、FFフォルムによってキャビン(室内)が本当は長く、室内重視のパッケージを持っているにもかかわらず、伸びやかでパワー感あるフォルムを作り出していることだ。
 ボンネットの小さいレイアウトながら、フロントとセンターのピラーのブラックアウトによってそれを感じさせないのは定番的手法。加えてフロントノーズをやや高めてボンネットの存在感を強調。前後のドアハンドルを通るキャラクターラインとボディ下部のサイドシルの前傾したブラックアウトのガーニッシュによって、クラウチングスタイルを表現している。
 また、ルーフの後傾化、リヤピラーの部分的なブラックアウトによって、リヤ周りに力が集中したような力感を表現。カラーリングの絶妙さが、フォルムの狙いをより明確化した。
 余談となるが、キックスにはルーフもブラックアウトした、ツートーンも選択可能だが、キックスのデザインのメッセージはどちらかというとノーマルカラーの方が伝えていると思う。

右がルーフもブラックアウトしたツートーン仕様で、右が標準モデル。

メカニカルさと野性味の融合

前後フェンダーに見られる特徴的な造形の違いが、キックスの個性を表現。

 また造形上で特徴的なのは、前後フェンダーの造形の違いだ。
 フロントが極めてシャープなエッジを持ったフェンダーラインを持つのに対して、リヤは緩やかに膨らむブリスタータイプとしている。
 印象としては、シャープなフロント周りに感じられるのは、メカニカルな緻密さで、同様にシャープなヘッドライトとVモーショングリルから始まる先進の造形を受ける形になっている。ヘッドライト上からボンネットサイドに流れるラインも、フェンダーからフロントドアでは深く削り込んだような強いエッジを持つなど同様のテイストとなっている。
 よく見てみると、シャープな部分はグリルからフロントフェンダーを抜け、リヤピラー付け根から上の部分に共通の印象があることがわかる。そしてリヤフェンダーの柔らかな面構成は、ボディの下部分を覆う形だ。
 このふたつのテイストの融合が、繊細な最新の技術と野生の融合を感じさせると思うのだが、どうだろうか。

コンパクトにまとまって見えるキュートなリヤビュー。左右フェンダーの張り出しは、どっしりとした安定感を見せる。

 加えて面白いのが、リヤフェンダーの面を後部でキュッと引き締めることで、コンパクトでつんと持ち上がったテールエンドを演出している。またリヤゲートのオープニングラインも興味深いもので、ヘッドライトのところで一度絞られるが下部でまた広げている。ハード面の制約を避けながらできるだけ広い開口部を求めた結果で、開発者の誠意を感じる部分でもある。
 このシャープな直線的造形と勇気的な造形という真逆の形が、不自然さなく融合できているのは、そのなかでの絶妙な緩急をつけたつなげ方にあるのかもしれない。これはまさに、デザイナーとともに実際にリアルな世界に形を生み出す ”モデラー” の功績でもあるのではないだろうか。

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