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陸上自衛隊:水は最重要戦略物資!キレイな飲料水を作り出す「浄水セット」 自衛隊新戦力図鑑 2020

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3タイプの濾過器を搭載する浄水セットの本体。車載型なので高機動。走破性を活かして水場に接近可能。高機動性は平時の災害支援などでも光る特性だ。

自衛隊には日本の技術力なり裏打ちされた「浄水セット」がある。浄水セットとは「あらゆる自然水(淡水や海水)の細菌、化学物質などを濾過して飲料水にする器材」のこと。どんな状況でも飲料水を確保できるのは、非常に重要なことなのだ。
TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

 水は人間にとって必要不可欠なもので、最重要の戦略物資でもある。燃料となる石油やハイテク機器の素材となるレアメタル以上に、これから先の世界で最重要資源となるのが水だ。とくに清潔な飲料水の確保は最優先事項。また今年も豪雨や台風などの水害を心配する季節になり、しかも「コロナ禍+自然災害」ともなれば不安は倍加する。そのなかで心強いのは日本が持つ高い水浄化技術だ。その一端が「浄水セット」として陸上自衛隊にあるのは安心材料になる。

 浄水セットとは「あらゆる自然水(淡水や海水)の細菌、化学物質などを濾過して飲料水にする器材」のことだ。陸自後方支援連隊補給隊などに装備されている。
 水処理装置には長毛濾過器、限外濾過器、逆浸透濾過器の各種装置があり、現在はこの処理装置を積んだ「逆浸透型」と、改良を加えた「逆浸透2型」が併用されている。つまり装置類一式を3トン半トラックに積載しているのが浄水セットという装備で、移動した先で水処理の作業を行なうのが仕事だ。

左の写真、手前が貯水タンクで、奥が浄水セットの本体だ。貯水タンクの丸さ具合が愛らしい。
これは演習時のもので、トラックには幌が装着され、全体は迷彩ネットでカモフラージュされている。

 浄水作業に必要な装備を3トン半トラックに車載しているので機動性は高い。トラックの走破性を活かせば足場の悪い取水点にも入って行ける。豪雨や台風などで水のトラブルを抱えた離島へ民間航路のフェリーで運び込むにも、ようは大型トラックのサイズだからフツーにできる。加えて、3トン半トラックならC-130H輸送機に車両ごと搭載可能だから外国への長距離移動も行なえる。東ティモールやイラク派遣にも投入され、PKOや人道復興支援などで給水活動にあたったこともある。実際、その用途として自衛隊が定めているのは『国内の各種事態(島嶼における事態を含む)および国際平和協力活動において飲料水等を取得するために使用する』となっている。

揚水ポンプで川から取水しているようす。水面からの高さが18mまでなら、1分間に150ℓもの水を汲み上げることができる。
左のペットボトルは川から汲み上げた原水、右は濾過しキレイになった飲料水である。当然だが雑菌や濁りも無い。3.5トン/毎時という高い浄水能力を持つ。

 浄水セットなどの需品器材や化学・衛生器材などは支援器材と呼ばれ、大規模災害時には被災地で文字通り直接的に我々国民を支援してくれるメカとなる。本装備を運用する隊員ともども頼もしい存在だ。

貯水タンクから清水を取り出すための配水給水装置もある。ポンプで送り出し、末端は水道の蛇口になっているから家庭の設備と同じように使える。

自衛隊新戦力図鑑 2020

2019年に刊行し、好評を博した『自衛隊新戦力図鑑』の2020年版が7月16日に発売されます。
今回は「新小銃20式5.56mm小銃」や「9mm拳銃SFP9」などをとりあげるほか、新鋭護衛艦の新運用法と海防戦略についても掘り下げます。

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