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トヨタグループの底力:トヨタと他の赤字自動車会社とではどこが違ったのか? 危機対応能力の高さを支えているの背景を分析する

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アイシン精機が担当するエンジンのピストン。最小限の機械加工で使えるよう、形状や製造工程を工夫している。しかし精度は極めて高く、個人的に調べた製造原価は某ドイツ製ピストンの3割安だった。これこそ現場力の最たるものだ。

トヨタ自動車が発表した2021年度第一四半期(2020年4〜6月)連結業績は、最終利益1588億円を確保した。本業である自動車製造販売で得た営業利益も139億円の黒字だった。世界の自動車メーカーが軒並み赤字に陥るなかでトヨタは危機対応能力の高さを示したと言える。しかし、これはトヨタ自動車だけの「強さ」ではない。エンジンなどを生産する豊田自動織機、電装品を受け持つデンソー、機械系部品を担当するアイシン精機、ステアリングのジェイテクトなどのサプライヤーと、完成車メーカーであるダイハツおよび日野がそれぞれにトヨタ自動車本体の危機対応に協力したからにほかならない。これはグループの総力である。
TEXT◎牧野茂雄(MAKINO Shigeo)

21年度Q1、1台当たり営業利益はいくらだったか?

営業収益4兆6007億円、 営業利益139億円、 税引前利益1182億円、 当期利益1588億円 と、大幅な販売台数減少のなかでも 黒字を確保した。

2021年度第1四半期(以下Q1)は営業収益(売上高)4兆6008億円。2020円Q1比では40.4%減、営業利益139億円、同98.1%減、税引後利益1494億円、同76.3%減、そして最終利益(親会社の所有者=つまりトヨタ自動車に帰属する利益)は1588億円、同74.3%減だった。なお、トヨタは2021年度から従来の米国会計基準ではなくIFRS(国際財務報告基準)へと移行した。

細かく見てみる。まず売上高のうち製品販売のぶんは4兆699億円で、これは2020年度Q1(2019年4〜6月)より3兆1077億円少ない。金融事業の売上高は5309億円であり、これは2020年度Q1比でわずか2.4%減にとどまった。

車両販売台数は115.8万台で2020年度Q1より116万台少なかった。半分をわずかに下回る実績だ。このうち子会社であるダイハツと日野のぶんは12万台で、2020年度Q1に比べると10.3万台少ない。半分までは落ち込んでいないが46.2%という大幅減である。

Q1の連結販売台数は前年同期に対して50%となる115万8千台だった。これは、主に新型コロナウイルス感染拡大にともない、 各地域で販売が減少したことによるものだ。また、トヨタ/レクサス販売台数は、 前年同期に対して69%となる170万6千台だった。

つぎに国内と海外の販売台数を見る。ダイハツと日野も含めた2021年度Q1のトヨタ・グループとしての販売台数は国内が38.5万台だ。2020年度Q1に比べて30.6%減、台数では17万台減。海外での販売は77.4万台、2020年度Q1比で56.1%減、台数では98.8万台もの減だった。連結決算に含まれない海外生産会社のぶんも合わせると、2021年度Q1の販売台数は184.8万台、2020年度Q1比で31.8%減、台数では86.1万台の減少だった。

製品売上高から売上原価、販売費、一般管理費などの諸経費を引いたものが営業利益であり、今年度Q1のトヨタは4兆699億円の売上高に対し売上原価3兆7263億円、金融費用3251億円、販売費と一般管理費5355億円だった。金融事業も含めた売上高4兆6008億円に対する営業利益は139.2億円。単純に製品売上原価を販売台数で割ると、1台当たりの販売原価は351万円になる。また、営業利益139.2億円を販売台数で割ると、1台あたりの営業利益は自動車ローンなど金融利益も含めて1万2000円だ。

2019年3月31日で終了した2019年3月期の連結決算では、トヨタ自動車の製品売上高は28兆1053億円だった。これを単純に4分の1にすると、四半期の製品売上高平均は7兆263億円になる。金融収益も含めた売上高30兆2257億円に対し営業利益は2兆4675億円だから、これを世界販売台数である898.5万台で割ると単純平均の販売1台当たり営業利益は27万4000円になる。2021年度Q1は1台当たり営業利益1万2000円だから、黒字のトヨタといえども非常に苦しい状況であることがわかる。

営業利益の増減要因は、為替変動の影響で750億円の減益、 原価改善の努力で100億円の増益となった。販売面での影響は、主に新型コロナウイルス感染拡大にともなう販売台数の 減少により、8100億円の減益となった。諸経費の増減・低減努力は750億円の増益となった。この結果、為替・スワップ評価損益等の影響を除いた営業利益は7250億円の減益となった。

売上高営業利益立は2020年度Q1が9.6%だったのに対し2021年度Q1は0.3%へと大幅減だった。このなかにはドルとユーロに対し円が強くなったことによる為替差損が750億円含まれている。これをほぼまるまる諸経費の低減努力で補ったが、販売台数の減少とともに「売れたクルマ」の商品構成の変動も利益を押し下げた。利益率の高いモデルが2021年度Q1は売れなかった、ということだ。それと、これはトヨタの決算数字のなかに必ず登場する項目だが、原価低減努力で100億円をセーブしている。

いかに有事とはいえ、トヨタとしては惨憺たる四半期決算だった。しかし、世界の自動車メーカーが発表した2020年暦年の第2四半期(日本での2020年度第1四半期と同じ2020年4〜6月)決算は、こんなものではなかった。最終損益で日産が2855億円、ダイムラーは2461億円、VW(フォルクスワーゲン)は1976億円、FCA(フィアット/クライスラー)は1277億円、ホンダは808億円……と、軒並み赤字だった。トヨタの4〜6月は、他者から見れば「上出来の業績」なのだ。

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