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ホンダ・フリードハイブリッドモデューロX | より雑味が少ない盤石の走りへ進化。だがワインディングではベース車と同じi-DCDの恩恵と弊害が明確に露見する ホンダ・フリードハイブリッドモデューロX 新旧比較試乗インプレ…変更箇所は少ないが効果は絶大なマイナーチェンジ。開発者の飽くなき“完璧”への執念すら感じる

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ホンダ・フリードハイブリッドモデューロX

そして、最も肝心な走りは、どのように進化したのか。ベース車と同様に「違う仕様もテストしたが、空力の進化を加味してもサスペンションとホイールはそのままがベストだった」(関係者)とのことで、マイナーチェンジ後もこの2つは従来より変更されていない。

前期型のフロントマスク
後期型のフロントマスク

だがその分、フロントエアロバンパーとグリルが大きく変わっている。マイナーチェンジ前は「X」の字をグロスブラックの加飾と開口部で表現していたが、マイナーチェンジ後はベース車のデザインコンセプトがシンプルな方向に180度転換されたのに伴い、ボディ色で「X」の字を象るデザインに変更されている。しかしながら、そのためにかえってデザイン要素が増え、より一層濃い顔つきになったのはいかがなものか。…大多数の購入ユーザーは真逆の印象を受けるのだろうが。

マイナーチェンジで追加された「エアロフィン」
ともあれそれ以上に注目すべきは、バンパーサイドおよび下面だろう。まずサイドは、バンパーサイドに溜まる空気をスムーズに剥離させるため、サイド部を切り立たせた形状となっているのは、マイナーチェンジ前とほぼ変わらない。そこに、新たにカナード形状の「エアロフィン」を追加することで、ホイールハウスから発生する乱流を抑え、旋回性を高めている。

前期型のフロントエアロバンパー下部
後期型のフロントエアロバンパー下部

下面は劇的に変更されており、マイナーチェンジ前はバンパー下部中央に設けられた「エアロガイドフィン」で空気の流れを真っ直ぐに整え、ゴム製の整流板でホイールハウス内の内圧を低減していたが、マイナーチェンジ後はバンパー下部中央に設けられた2つの大きな凹凸の「エアロスロープ」と、両サイド各7本の小さなフィン「エアロボトムフィン」に変更された。

左が後期型、右が前期型のリヤまわり

なお、専用形状のサイドロアスカート、ディーラーオプションと同一形状のテールゲートスポイラーは従来と変わらず、ディフューザー形状となっている専用リアロアスカートはボディ同色のサイド部のみが見直されている。

これら空力の進化は大きく、マイナーチェンジ前の車両に見られた直進安定性の心許なさは、最早全く感じられない。そのうえ旋回時も、ヨーの立ち上がりは素早く、ロールは入り・戻りとも穏やかかつリニアになっており、すべての挙動から雑味が減りスッキリした印象を受けた。

フロントサスペンションはマクファーソンストラット式。車高はベース車と変わらず
リヤサスペンションはトーションビーム式。ダンパーは白、スプリングは赤で塗装されている

こうした違いは、箱根のワインディングに持ち込むと、絶大な安心感をドライバーのみならず同乗者にももたらしてくれる。ブレーキング時には挙動が乱れにくく、かつ旋回時には路面のRやバンク角に沿って、ドライバーの意思を先読みするかのように自然に曲がっていく。

しかも、コーナーへの進入速度がやや高すぎたり、コーナーの奥がタイトで旋回中にブレーキを踏まざるを得なくなったりしても、あるいは大きなギャップを乗り越えても、リヤタイヤがブレイクする予兆すら感じさせないのだ。

剛性バランスにも配慮した専用のアルミホイール。タイヤは185/65R15 88Sのダンロップ・エナセーブEC300を装着
ただし、タイヤのグリップ自体は低く、ボディ・シャシー・空力的にはまだまだ余裕が感じられるうちからフロントタイヤが滑り出し、アンダーステアの兆候を見せる。とはいえその時点で横Gは相応に大きくなっており、サイドサポートの小さなシートが身体を支えきれなくなること、また横転のリスクが増大することを考えると、むやみにグリップの高いタイヤに交換することは避けた方が無難だろう。

1.5L直4アトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンとi-DCDを搭載するエンジンルーム
最後に、ベース車と共通のハイブリッドシステム「i-DCD」と、ADAS「ホンダセンシング」についても触れておきたい。

ハイブリッド車はガソリン車に対し60kg重くなっているが、160Nmを発するモーターのトルクはその車重増を補って余りあるほどで、発進加速や高速道路の合流加速、ワインディングの上り坂をほどほどのペースで走る際には、極めてスムーズに1430kgの背高ボディを引っ張ってくれる。

だが、7速DCTは低いギヤでギクシャクしやすく、モーターの滑らかさを台無しにしてしまうのが玉に瑕。また、上りのワインディングを速いペースで走り続けると、比較的短時間でバッテリー残量計が残り1目盛りにまで落ち込み、エンジントルクの大半が充電に回されるため、速度を維持するのが精一杯になってしまう。

しかもその落差が激しいため、ワインディングを気持ち良く走り続けたいなら、燃費に目をつぶってでもガソリン車を選んだ方が良さそうだ。なお今回の燃費は、外気温35℃という猛暑にも関わらず、高速道路で19.5km/L、ワインディングで12.7km/L、トータル約400km走行後は17.7km/Lだった。

ステアリングホイールの右スポークにあるホンダセンシングの操作スイッチ
ミリ波レーダーと単眼カメラで構成される「ホンダセンシング」は、ACCの加減速制御を改善したというものの、依然として加速のタイミングは遅く、一方でその後の速度の上げ方は急激だ。それ以上に、事故防止と疲労軽減のうえでより重要な、渋滞追従機能が備わらなかったことこそ、むしろ問題だろう。

また、他社ではLTA(レーントレースアシスト)に相当するLKAS(レーンキープアシスト)は、操舵アシストの精度が粗く左右にフラフラしがちで、最新のホンダ車に対し大きく見劣りする。いずれも同乗者がいる際は車酔い、いなくとも周囲の車両との事故を誘発しかねず、早々にスイッチをオフにした。

このように、フリードモデューロXが今回のマイナーチェンジで受けた変更点は、決して多いとは言えない。だが、それらの効果は極めて大きく、ドライバーがより運転に集中でき、極上の乗り心地とハンドリングを楽しめるよう進化している。

 ホンダアクセスはメーカー直系の会社だからこそ、サードパーティーよりもむしろチューニング上の制約は多いことだろう。だがその制約の中で、より“完璧”に近いものを作り上げようという、開発者の飽くなき執念すら感じさせる仕上がりを見せてくれた。

■ホンダ・フリードハイブリッドモデューロXホンダセンシング(キャプテンシート仕様)
全長×全幅×全高:4290×1695×1710mm
ホイールベース:2740mm
車両重量:1430kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1496cc
エンジン最高出力:81kW(110ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:134Nm/5000rpm
モーター最高出力:22kW(29.5ps)/1313-2000rpm
モーター最大トルク:160Nm/0-1313rpm
トランスミッション:7速DCT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:185/65R15 88S
乗車定員:6名
WLTCモード燃費:───km/L
市街地モード燃費:───km/L
郊外モード燃費:───km/L
高速道路モード燃費:───km/L
車両価格:325万6000円

ホンダ・フリードハイブリッドモデューロX

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