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先見性を見出す次世代EV、そして欧州の底力にびっくり | 1999年 第33回東京モーターショー後編【東京モーターショーに見るカーデザインの軌跡】

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1999年に開催された第33回東京モーターショー。様々な話題を振りまいた20世紀最後のショーだったが、今回はカーデザイナー荒川氏が最も注目したナンバーモデルを紹介。

いまでも最先端!ニッサン・ハイパーミニ

完全EVのニッサン・ハイパーミニはカットモデルも展示された。後ろに見えるのは、ニッサン・ティーノハイブリッド。

1999年、世紀末も押し迫る11月3日まで開催された第33回東京モーターショーのテーマは、「未来発走、くるまが変わる、地球が変わる。」であった。まさしくそのテーマにぴったりあわせてきたのがニッサン・ハイパーミニだ。
前回の1997年、第32回でコンセプトモデルを発表し1999年の秋に発売した。しかし、数百万円と高額なのと充電設備のインフラも限られていて、メディア以外で実物には都内でもお目にかかれず私はこのショーで初めて見ることができた。
カッコよかった! 素晴らしい。コンセプトモデルと比べると、ヘッドランプがちょっと普通になってしまったが、それでもヨーロッパメーカーの実験モデルやベンチャーの市販車と比べても個性的なフォルムで先進的であった。

ハイパーミニは、マイクロカーとしてヨーロッパで第二次大戦後の復興期に大量発生し、経済発展とともに消えていった可愛らしい虫自動車たちを思い起こさせる。
1999年頃はゼロエミッションが叫ばれEVを市場に投入しようと各メーカーが本格的な研究に乗り出したが、いちはやくリチウム電池による動力システムの安全性と量産化を超軽量超小型で実現したニッサンは賢かった。

かつては経済性優先、今は環境優先でどちらも「小さいことは良いことだ」に結びついたわけだが、大きく違うのは経済と違って人口増加によるCO₂問題は元には戻らないという不可逆的な現実がある。
EVがそうした未来への切り札であることをいち早く確信したニッサンは、ハイパーミニによって「EVのニッサン」として市場の主導権を握ったのであった。

斬新なクーペ? ミニバン? ルノー・アヴァンタイム

極めて個性的なルノー・アヴァンタイム(写真は2002年モデル)

次に取り上げたいのがヨーロッパ勢の頑張り具合だ。
まずは ルノー・アヴァンタイム。意味は“未来”とそのものずばりの名前で、後方から見ると絶壁頭を連想させるこれまで見たことのない不思議なカタチで、長大なホイールベースとDLO(デイライトオープニング=ガラス開口部の形状)が巨大で優雅で印象的だった。しかし斜め前から見るとフロントグリル形状やそこに流れ込む折れ線や複雑なヘッドランプ周りのデザインが妙に日本車的で、あまり前衛的には感じられなかった。

その後2001年にそのままのカタチで発売になり翌年日本にもお目見えした。当時気鋭のWebサイトで連載記事を書いていた私はルノーの広報から試乗車を借りて1週間ほど乗る機会に恵まれた。乗り出してしばらくした時の驚き、アッと驚く! なんてものではなかった。まるで異次元の乗り心地であった。ボディの軽さが際立ちパワーは天井知らずであった。それもそのはずボディパネルはほとんどがFRP製、超ロングホイールベースによる滑らかな乗り心地とクイックなステアリングによる機敏な走りは、クルマの大きさとのギャップが夢の世界にいざない、こんな魅惑的なクルマは他にないと思えた。
しかもサイドウインドウを全て下ろすと巨大なガラスサンルーフも全開になり、低速で代官山の山手通りを走ればまるで「華麗なるギャツビー」の1930年代デューセンバーグ・フェートン(リヤ席がある布製オープン)に乗っているようだった。

3リッターDOHCエンジンは一瞬でBMWを抜き去り、不思議なほどソフトなのに腰がある走行感覚は以前に乗ったことがあったルノーV6ターボそっくりで、今でも忘れられない思い出である。
ちなみに製作はルノー傘下でFRP技術を得意とした今は無きマトラ社だ。先ほどのアルピーヌ社製ルノーV6ターボもFRPボディであり、乗り心地がそっくりなのはルノーがクルマ造りの匠の技を持っている証拠なのではないだろうか。
残念なことに2年間で生産を終了してしまい、日本では200台を少し上回る台数しか販売されなかった。ほとんど手作りに近いFRPボディは生産コストが見合わないのは明らかだ。とても惜しいクルマであった。

シトロエンC3コンセプトの魅せる可愛さ

シトロエンC3コンセプト。
こちらはその後に登場したC3市販モデル(2004年型)。コンセプトの魅力を市販モデルに見事に落とし込んでいる。コンセプトの方がカッコよかった、という後悔がない満足度も見事。

もう一台は、やはりフランスのシトロエンC3コンセプトだ。
EUという夢の構想が民間にも浸透し、特に需要の大きいBセグメント(ワーゲンのポロやC3クラス)でのプジョー・シトロエングループ内のフロア共通化や後の2008年にはフォードKaとフィアットパンダ、FIAT500 のフロア共同開発、さらにはサプライヤーの集約化が進み、オペルやルノーなども同じ部品を調達するようになり以前と比べ著しく合理化が進んだのである。
そうした環境で先陣を切って登場したのがシトロエンC3であった。

モーターショーで初めて見たとき、めちゃくちゃ前のめりで丸くてかわいいデザインに驚かされた。まるで“だんご虫”みたいなシルエットだったが決してマンガではなかった。
インテリアも普段着感覚でいながらお洒落度抜群で、エクステリアの躍動感とあいまってまるで最新のスニーカーのようなクルマであった。
ヘッドランプ、テールランプ、バンパーなど細部のデザインが見事にボディ全体とマッチしていて、“さすがシトロエン、お洒落にまとめてきたな”というのが第一印象であった。

2014年頃このC3ベースのフルオープンモデル、プルリエールを中古で購入し5年ほど可愛がったが、慣れれば安心してぶっ飛ばせるクルマでその走りのしたたかさに感動した。ただのコンパクトファミリーカーなのに、スポーツと称する国産車とは比べ物にならない走りの洗練さと安定感があった。しかし最後はフォルクスワーゲン・ポロと同じタイプのセミオートマチック・トランスミッションのコンピュータが真夏の38.5℃で壊れてしまい悲しい思いをしたが、屋根が根こそぎ取れてしまうという、こんな楽しいクルマには二度とお目にかかれないだろう。実に良い体験をした。

こうしたクルマの先駆けが一斉に登場し新時代の幕開けになったのが 第33回東京モーターショーであった。

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

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