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丸わかりMotoGP2020/最高峰クラス参戦4シーズン目を迎えたKTMの飛躍を振り返る。

  • 2020/01/03
  • 伊藤英里
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第4戦チェコGPで優勝を飾ったビンダー

 2020年はKTMにとって、飛躍のシーズンだった。KTMライダーの合計で数えると、10度の表彰台を獲得。その中には、3つの優勝も含まれている。2017年からMotoGPクラスへの挑戦を開始したKTMの2020年シーズンを振り返る。
TEXT●伊藤英里(ITO Eri)
PHOTO●KTM/Polarity Photo、MotoGP.com

 KTMがMotoGPクラスにフル参戦を開始したのは、2017年シーズンのことである。2020年は、MotoGPクラスに参戦を始めて4シーズン目。2019年シーズンまでにKTMが表彰台を獲得したのは、2018年シーズン第19戦バレンシアGP。一時中断されるほどの強い雨の中でのレースとなり、再開したレースでポル・エスパルガロ(Red Bull KTM Factory Racing)が3位表彰台を獲得した。これが、KTMにとってMotoGPクラス初の表彰台。しかし、続く2019年は表彰台を獲得することなくシーズンを終えた。

 そして迎えた2020年シーズン。ルーキーライダーのブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)が、第4戦チェコGPで優勝を果たした。ビンダーにとってMotoGPクラス初優勝となったのはもちろんのこと、KTMに同クラス初の勝利をもたらしたのである。MotoGPクラス参戦開始から4シーズン目。ついにKTMライダーが表彰台の頂点に立った。

KTMにとって最高峰クラスの初優勝はルーキー、ビンダーによってもたらされた

 さらにその2戦後、第6戦スティリアGPでは、KTMのサテライトチームであるRed Bull KTM Tech 3のライダー、ミゲール・オリベイラが優勝を果たす。MotoGPクラス参戦2年目のライダーであるオリベイラにとって、クラス初優勝だった。オリベイラはさらに、最終戦となった母国グランプリのポルトガルGPでも優勝を飾り、今季2勝を挙げている。

オリベイラが優勝を飾った第6戦スティリアGPでは、エスパルガロが3位に入りKTMライダーが二人、表彰台に立った

 2017年にKTMがMotoGPクラスへの挑戦を始めた当初からファクトリーチームに加わり、共に歩んできたエース、エスパルガロは今季、優勝には手が届かずに終わった。しかし3位表彰台を5度獲得し、KTMの今季の成績がフロックではないことを証明した。

エスパルガロは今季、5度の3位表彰台を獲得した

 2017年、2018年、2019年シーズンの成績からすれば、間違いなく、今季はKTMにとって飛躍のシーズンだった。今季のKTMのMotoGPマシン、RC16は、フレームの形状が変化した。それまでのスチールパイプのトレリスフレームは、パイプの形状が平らに変わっていた。最高速も伸びた。ライダーのコメントからも、マシンの進化がうかがえる。

 ビンダーは第4戦決勝レース後の会見の中で、2019年シーズン直後のテストと、2020年シーズン開幕前に行われたテストのインプレッションを比べ、開幕前に乗ったRC16は「(2019年シーズン直後のテストのバイクとは)違う世界のようだった。以前のバイクよりもずっと、乗りやすかった」と語った。KTM2年目のオリベイラも「乗りやすくなったし、スムーズになったと感じている」と、第6戦決勝レース後の会見で述べていた。

 その背景には、テストライダーのダニ・ペドロサの存在が大きい。2019年、KTMのテストライダーに就任したペドロサは、2018年シーズン終了後に引退するまで、MotoGPライダーとして、長らくホンダのファクトリーチームで活躍してきた。チャンピオンを嘱望されてきたトップライダーの一人である。残念ながら、現在、テストライダーのペドロサに取材できる機会は少ない。ただ、KTMのモータースポーツディレクターであるピット・バイラーは、第4戦後に行われた取材会の中で、ペドロサの貢献について「ダニは(これまでとは)少し違った方向性を与えてくれました」と言及していた。

優勝、表彰台獲得のポテンシャルを発揮したKTMのMotoGPマシン、RC16

 ついに優勝、表彰台争いを何度も繰り広げるまでになったKTMは、2020年シーズン途中でコンセッション(優遇措置)を外れた。コンセッションを受けるメーカーは、シーズン中のエンジンのアップデートやレギュラーライダーによるテストなど、優遇を受けることができる。これは優勝や表彰台の獲得によって2015年シーズンからポイントが累積していき、一定のポイントに達するとコンセッションの適用外となる。KTMは優勝と3位を獲得した第6戦で、この適用を外れた。

 また、2021年シーズンはこれまでエースとしてKTMをけん引してきたエスパルガロがホンダのファクトリーチームに移籍となる。2021年シーズンはビンダーとオリベイラ、奇しくも今季優勝を挙げた二人の若きライダーがファクトリーチームでのチームメイトとなるのである。

 2020年シーズン、表彰台争いを幾度も繰り広げたKTM。コンセッション適用外となり、新たな体制で挑む2021年シーズンは、どのような戦いを見せるだろうか。

※ライダーの所属として記載のチーム名は2020年シーズンのもの。

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