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海上自衛隊:サブマリンハンター「P-3C哨戒機」、多様で長時間の任務に応え飛び続けるロングセラー機

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海上自衛隊哨戒機P-3C。

海上自衛隊は艦艇だけを使う組織ではなく航空機も保有・運用している。運用する機体には固定翼機と回転翼機(ヘリコプター)があり、双方合わせて約175機を保有している。海自はフネだけでなく、ヒコーキも多用する組織だ。その固定翼機も大小さまざまなものがあるが、まずはP-3C哨戒機だ。
TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

パトロール中のP-3C操縦室。不審な船舶などを発見すれば降下し、詳細に観察する。なにか特異な行動があれば必要な措置に移る。P-3Cの日常的なパトロールが日本領海の保安に貢献している。

P-3C哨戒機は米ロッキード社(現ロッキード・マーチン社)が開発した。ターボプロップエンジン4発で飛ぶ。初飛行は1958年と古く、ロッキード社の旅客機L–188エレクトラをベースに改造してつくった。旅客機だから機内は広く、多数の座席は不要だからスペースにはかなりの余裕がある。哨戒任務に必要な機器類やその他の装備品などを多数搭載できるものだ。

機内が広いというのは都合がいい。哨戒飛行とはつまり、海上をパトロールするためのフライトだから、おおむね長時間になる。パイロットや各種オペレーターで構成されるチームは大所帯だから、機内の広さは彼らにとって歓迎するポイントだ。休憩時間にはゆったりできるスペースがあり、そこで食事もとれる。こうしたメリハリが付けられる機内環境というのは、1回のフライトが長時間になりがちな哨戒機搭乗員にとってはメリットだと思われる。

コックピットではFE(フライトエンジニア、機上整備員)が防振機能付の双眼鏡で洋上を監視する。肉眼での観察・確認作業も重要なものだ。

取材でP-3Cに乗せてもらうと、この言わば汎用スペースの座席とテーブルを取材陣の居場所として使わせてくれることが多い。撮影機材などをここに置き、必要なカメラを持って機内を移動、操縦室から見える景色を撮影したり、外部観察用の窓から撮影したりする。機内を、身をかがめることなくフツーに歩いて移動できるというのは楽だ。こういうとき旅客機ベースのメリットを感じる。

機上武器員がソノブイを投下器へ装填する。潜水艦を音波を使って見つける装置だ。長時間の哨戒飛行ともなると予備も含め数十本のソノブイが用意されるという。

使い勝手の良さからかP-3Cはベストセラー機となり、哨戒機として世界各国で使用されるようになる。哨戒任務のみならず、輸送や救難任務、各種の観測機としてなど、潜在的な汎用性の大きさが光り、各種業務に使われるようになる。多くの派生型も生み出され、全体に長く現役を続ける機体となった。

海自はP-3Cを1978年より調達開始。1983年以降は川崎重工がライセンス生産を行なった。海自でのP-3Cの主務は、まずはパトロール。洋上を監視し、日本領海に近づこうとするなどの不明潜水艦の探知、相手の分析、機雷や爆弾を使った攻撃までを行なう。投下式ソノブイによる潜水艦の探知のほか、搭載した空対艦ミサイルや魚雷、対潜爆弾などを必要な状況ならば投射する攻撃手段も持っている。

海自第5航空群(那覇基地)はP-3Cによる尖閣諸島のパトロールを欠かさない。日中中間線付近なども含め、広く、東シナ海の警戒と保安に努めている。写真/海上自衛隊

海自でのP-3Cの派生型には、電子戦データ収集機EP-3、画像情報収集機OP-3C、電子戦訓練支援機UP-3D、試験評価機のUP-3C、これら4モデルがある。素地に持つ汎用性や拡張性の高さが多くの派生型を生み出しているわけだ。

しかし40数年間も使い続けているP-3Cは全体に老朽化している。維持整備も手間がかかるようになっていると思う。洋上飛行を行なう哨戒機だから、フライトごとに海水の塩をかぶる。帰投後は基地に設置された専用設備のシャワーで機体洗浄を行なう。そもそも防錆処理も完璧に行なっているメカだが、経年劣化も当然あるだろう。結局は全体にヤレてくる。決まった使用年数から退役も行なわれる。

後継機である4発ジェットエンジンの国産機・P-1哨戒機は開発が遅れ、いきおい現場部隊への配備にも影響が出た。そこでP-3Cの機体に延命措置を施し、しばらくの間は現行の哨戒飛行任務に就かせ、P-1哨戒機の配備数を増やしながら順次交代させるものと思われる。P-3Cの4発のターボプロップエンジンが放つ独特の低い排気音に魅力を感じるプロペラ機ファンならば、今からできるだけ生の姿に接する機会を持っておきたいと思う。

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