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ポルシェが電動化攻勢の新たな一歩としてバッテリーセルの工場に投資。カスタムセルズ社をジョイントベンチャーのパートナーに

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6月21日、ポルシェは電動化攻勢の新たな一歩としてカスタムセルズ社をジョイントベンチャーのパートナーとして、新会社のセルフォース・グループGmbHに数千万ユーロの大規模な投資を行うと発表した。この投資によりポルシェは、電動モビリティの分野で技術的なリーダーシップとしての役割をさらに加速させていく。カスタムセルズ社は同日、ポルシェのヴァイザッハ開発センターで高性能バッテリーセルの生産を開始することを発表した。

「私たちは最も強力なバッテリーセルの開発において世界的な競争の最前線に立つことができ、ポルシェ特有のドライビング体験と持続可能性を結びつけることができます」(ポルシェ AG オリバー・ブルーメ会長)

このたびの発表において、ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会会長は次のように述べている。
「バッテリーセルは未来の燃焼室です。ポルシェの新しい子会社として、セルフォース・グループは高性能バッテリーセルの研究・開発・製造・販売を推進するために尽力します。
このジョイントベンチャーにより、私たちは最も強力なバッテリーセルの開発において世界的な競争の最前線に立つことができ、ポルシェ特有のドライビング体験と持続可能性を結びつけることができます。私たちはこのようにしてスポーツカーの未来を形作ります」

ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会会長(写真左)とバーデン=ヴュルテンベルク州のヴィンフリート・クレッチマン首相(写真右)

新しいベンチャー企業は、ポルシェが83.75%の過半数の株式を保有し、テュービンゲンに本社を置く。この学園都市は、ヴァイサッハの研究開発センターやシュトゥットガルト=ツフェンハウゼンのポルシェAG本社の近郊に建設予定のバッテリー工場の候補地にも挙げられている。従業員数は、両社が共同で提供していた当初の13名から、2025年までに80名まで増加すると見込まれている。ドイツ連邦共和国とバーデン=ヴュルテンベルク州は、約6000万ユーロ(約79億円)の資金をこのプロジェクトに提供する。

カスタムセルズ社のトーゲ・テーネッセンCEO

カスタムセルズ社のトーゲ・テーネッセンCEOは、このようにコメントしている。
「私たちは、最も要求の厳しいアプリケーション向けに顧客固有のバッテリーセルを開発することを目的として、カスタムセルズを設立しました。これを今まさにポルシェと一緒に実現することができます。計画されている生産工場の目標は、年間に最低でも100MWhの容量を達成することです。これは自動車1000台分の高性能バッテリーに相当します」

新会社の発足にあたっては政界からも要人が駆けつけた。写真は左からマイケル・シュタイナー氏(ポルシェAG研究開発担当取締役)、ボリス・パルマー氏(テュービンゲン市長)、トーゲ・テーネッセン氏(カスタムセルズ社CEO)、ヴィンフリート・クレッチマン氏(バーデン=ヴュルテンベルク州首相)、オリバー・ブルーメ氏(ポルシェAG取締役会会長)

そして、ポルシェの研究開発部門を担当している取締役であるマイケル・シュタイナー取締役は、次のように述べている。
「ポルシェは、1931年にシュトゥットガルトにエンジニアリングおよび開発の事務所として設立されました。今日にいたるまで、私たちの高性能スポーツカーの心臓部である技術を購入することはできません。私たちはそれを自身で開発しているのです。
だからこそ、将来の主要技術であるバッテリーセルを自分たちで開発して構築することが理想にかなっているのです。この新しいハイテクを最も競争の激しい環境であるモータースポーツで最初にテストすることも同様に論理的です。私たちのフル電動スポーツカーであるタイカンは、ル・マンで優勝したポルシェ919ハイブリッドによってサーキットから重要な開発とその主要な技術的特徴を受け継ぎました」

新しい高性能セルの化学的性質は、陽極材としてシリコンに依存している。この材料を使用すると、現在の優れた市販のバッテリーと比較して、電力密度を大幅に高めることが可能になる。バッテリーは、より小さなサイズで同じエネルギー量を供給できるとともに、新しい化学的性質により、バッテリーの内部抵抗が減少。これにより、エネルギーの回生中により多くのエネルギーを吸収すると同時に、急速充電の性能が向上する。また、セルフォースのバッテリーセルの特徴として、高温への耐性が向上していることが挙げられる。これらはすべてモータースポーツで高く評価されている品質だ。さらにサーキットでの使用では、必ずしもバッテリーが氷点下の温度で機能する必要はなく、また長年にわたる多くの充電サイクルについて安定している必要もない。こうした目標は、この新しいセル技術ではまだ達成されていないという。

次世代リチウムイオン電池セルの開発パートナーには、世界をリードする化学メーカーのBASFが選ばれた。共同研究の一環としてBASFは、高速充電と高エネルギー密度を可能にする高性能セル用の高エネルギーHEDTM NCMカソード材を独占的に提供する。フィンランドのハルジャバルタにあるカソード材の一次製品製造施設とドイツのブランデンブルク州シュヴァルツハイデにあるカソード材製造施設では、BASFは2022年から業界有数となる、低カーボンフットプリントのバッテリー材料の生産が可能になる。

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