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虚飾を排したクラシックスタイルはいまでは新鮮に映る
マットモーターサイクルズが生み出すモデルの多くが1960年代の英国車をモチーフとしています。トラディショナルと呼ばれるデザインのバイクは、基本形ともいえる造形なので時流に影響されにくい。したがって、世代を越えて長く乗り続けられる良さがあるのです。そんなマットモーターサイクルズのバイクの中でもスタンダードと呼べるモデルがサバスです。ビギナーにも最適な125と、もう一段階レベルアップしたライダーにちょうど良い250の2クラスが用意されています。 サバスは基本的にオンロードモデルに分類されると思いますが、ワイヤースポークホイールに極太のブロックタイヤを履かせていたり、ヘッドライトガードを装着するなど、スクランブラー的な要素も併せ持っています。 曲面で構成された燃料タンクにサイドカバー、意匠を凝らしたデザインのシート、そしてショートタイプの前後フェンダーにショートマフラーが、クラシカルでシンプルなフォルムを構成しています。 全身からカスタムテイストは漂っていますが、ベーシックなロードモデルに仕上げられているので、親しみやすさを感じます。一方で、エンジンや足回りなどをブラックアウトしているので、精悍さも表現しています。いまの時代は男女で分けちゃいけないのですが、サバスには男らしい雰囲気が漂っていると感じます。
過不足ない市街地走行を実現してくれる性能のエンジン
DRK-01を除いてマットモーターサイクルズの250㏄モデルのエンジンには、空冷SOHC2バルブ単気筒が搭載されています。スペックは最高出力13kW、最大トルク18Nmという数値です。同クラスの日本製バイクと比べるとかなり控えめなエンジン性能です。しかしサバスは先陣を切って飛ばすバイクじゃありません。街をスムーズに移動したり、移りゆく風景を眺めながら郊外をのんびりツーリングするのに向いているバイクです。そうした用途を考慮して走りだすと、アクセルにスムーズに追従するパワーフィーリング、車の流れをリードできる発進加速を実現しているので、市街地を走っていてパワー不足を感じることはありませんでした。トルクを強く実感する回転域はとくにありませんが、多用する低中速域で要求する加速性能は発揮してくれるので、不満には思いませんでした。
レスポンスは俊敏じゃないし、高回転の伸びも多くは期待できないので、たとえば峠道をスポーティに走りたいというライダーには向いていません。実際に上りが続く峠道では思うように加速できず、イライラがつのるかもしれません。でもコーナリングを楽しみながら風景も眺めながら峠越えをするような使い方には十分に対応してくれます。
バイクで走る喜びに浸る。そんな根源的なライダーの欲求にはちゃんと応えてくれるエンジン性能だと思います。
路面をしっかりとらえる極太タイヤが手応えあるハンドリングを生む
シート高が810㎜あるので平均的な体格のライダーだと両足のつま先が着く程度の足つき性です。しかし車重は130㎏に抑えられているし、車格も250㏄クラスとしてちょうど良いサイズなので、取り回しも含めて不安はまったくありません。自然な上体を生んでくれるポジションも好感が持てます。
走り出してまず感じるのが、乗り心地の硬さです。これはマットモーターサイクルズのどのモデルにも当てはまるのですが、前後サスペンションの作動性が硬めだからです。ストローク量自体は問題ないと思うので、スプリングをソフトなものに換えるなど、なんらかの対策を施したほうが乗りやすくなるはずです。また快適性も高まるので、より親近感を持てるようになると思います。
ハンドリングにクセはなく操作性は悪くありません。ただし、やや粘りのある操縦性を見せます。おそらくこれは、前後120/90-18という太めのブロックタイヤによる影響だと思います。仮にフロントタイヤがワンサイズ細ければ、軽快なフィーリングになるはずです。でも個人的には、この粘りは安定感があって良いとも感じます。
ブレーキの効きもまったく問題ありません。サバスは前後シングルディスクブレーキを採用していて、ABSも標準装備しています。エンジン性能や車格、車重を考えれば十分なブレーキシステムです。今回は市街地を中心に走行してみたのですが、ゴー&ストップが多い状況にも制動力に不足は感じませんでした。あえて注文を付けるとするなら、ブレーキレバーがちょっと遠く思えたので、レバーアジャスト機構を採用してほしかったと感じました。それともうひとつ、すっきりしていて見た目にはかっこいいショートフェンダーですが、雨天時の走行などでは水や泥の跳ね上げが多く、汚れてしまうのが難点です。まあこのあたりは好みで左右されるところでしょうけど。
昨今のバイク事情を見ると、かつてのような性能至上主義はやや影をひそめて、自分のライフスタイルに合ったジャンルのバイクが選ばれているようです。レトロなモデルが人気を集めているのもそのひとつです。そうした観点からすれば、このサバス250も多くのライダーから注目される存在だと思います。
ディテール解説
主要諸元
排気量 249cc(0.249L)
トランスミッション 5速リターン式
最大出力 13 kW (17.2 hp)
最大トルク 18Nm
シート高 810mm
全長 X 全幅 X 全高 2060mm x 760mm x 1150mm
車両重量 130kg
フューエルタンク 13L
エンジン 4-ストローク シングルシリンダー
燃料供給方式 フューエルインジェクション
規格 ユーロ5
タイヤ・ホイール(前後) 18インチ
ブレーキ ABSブレーキシステム
エキゾースト 左出し