排気量894cc、BMWのミドルアドベンチャー|F900 GS試乗記

BMWの人気を象徴するブランドのひとつとして“GS”の存在は既に良く知られている。もちろんその代表格はR1300 GSだが、車体のボリュームやパフォーマンス、そして価格的にもグンと親しみやすいミドルクラスの魅力も見逃せないのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ビー・エム・ダブリュー株式会社/日本自動車輸入組合(JAIA)

ディテール解説

LED式ヘッドランプから続くスクリーン。いずれもステアリングマウントされている。ウインドシールドティンテッド(スモークタイプ)を装備。
倒立式フロントフォークはShowa製φ45mmのフルアジャスタブルタイプ。アンダーブラケット直前にステアリングダンパーが標準装備されている。フロントのダブルディスクブレーキはφ305mmのローターにブレンボ製2ピストンのピンスライド式油圧キャリパーを装備。
水冷DOHC前傾直(並)列ツインエンジンを搭載。エキゾーストパイプ部もカバーするアルミニウム製アンダーガードが装備されていた。
右サイドにアップされた1本マフラーはご覧の通りアクラポビッチのチタン製スポーツサイレンサーを装備。軽量設計では定評のある逸品だ。
試乗車はエンデューロパッケージProを装備。赤いコイルスプリングを備えたリアのモノショックはSachs製のアジャスタブルタイプ。上方右側にあるゴールドのダイアルで圧側減衰(ハイロースピードの2種)が調節できる。
車体左側の油圧リモコンダイアルはプリロードアジャスター。ショックユニット下方のアジャストスクリューで伸び側の減衰調節ができる。
φ265mmのシングルディスクローターにはブレンボ製1ピストンピンスライド式油圧キャリパーを装備。150/70 R-17のタイヤは、メッツェラー製KAROO™︎4を履く。
ブラックのテーパータイプパイプバーハンドルは左右一体構造のクランプで固定されている。鍛造アルミニウム製ライザーを挟むことで、24mm高くセットされた。左右グリップ部にはメタルブラケット付きエンデューロ・ハンドガードが装備されていた。
BMW独自のグリップダイアルリング(Multi-Controller)を備える左側のハンドルスイッチ。下の赤いのはベストポジションにあるホーン、その上がウインカースイッチでいずれも扱いやすい。上はオートクルーズと赤はハザード。中程はメニュー、右はDTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)スイッチ。前方向こう側にディマー&パッシングスイッチがある。
右側のハンドルスイッチはシンプルに三つ。赤いシーソースイッチの下から順に、エンジンキルスイッチ兼始動用のセルスターター。中は走行モード変更スイッチ。同モードは好みにプリセットできる。上はグリップヒータースイッチで、エンジン始動時に作動可能。ヒーター出力は高、中、低の3段階に切り替えることができる。
17項目ものインフォメーションが表示される6.5インチTFT液晶カラーディスプレイを装備。
バイクの詳細情報もわかりやすい。走り始めると前後タイヤの空気圧も表示される。
前後一体式のダブルシートはサブフレーム左脇のキーロック操作で脱着できる。
ホワイトのリアフレームがボルトオンされている。後方にはスマートキー用のループアンテナがある。
従来のハンドルプロテクターとは異なる、エンデューロハンドガードが装備されている。
フロントフォークのトップエンドでプリロードと、左は圧側、右は伸び側にセパレートされた減衰調節ができる。
ギアシフトアシスタントプロ(クィックシフター)を標準装備。シフトペダル位置は調節可能だ。
スマートキー方式が採用されているので、普段の使い勝手はこれをポケットに忍ばせておけば良い。
LED式左右ウインカーが、テール&ストップランプも兼ねている。もちろんウインカーやハザードランプはオレンジ色に光る。

主要諸元

エンジン型式:A24A09B/水冷/4ストローク直(並)列2気筒
動弁型式:DOHC 1気筒あたり4バルブ
ボアxストローク(mm):86x77
排気量(cc):894
最高出力(kW/rpm):77 (105 PS) /8,500
最大トルク(Nm/rpm):93/6,750 
圧縮比:13.1:1
点火:電子制御式インテークパイプインジェクション / デジタルエンジンマネージメントシステム
噴射制御:BMS-X。電子スロットル式
エミッション制御:クローズドループ制御式三元触媒コンバータ EURO 5
最高速度(km/h):200 以上
燃料消費率(km/L)/ WMTCモード値:22.73(1名乗車時)

燃料タンク容量(L):14.5(予備約4)
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
潤滑方式:ドライサンプ
エンジンオイル容量(L):約3.0
オルタネータ(W):416
バッテリー:12V/9Ah、メインテナンスフリー

クラッチ:湿式多板(アンチホッピング機能付)
ミッション:常時嚙合式6速リターン
駆動方式:チェーンドライブ
1次減速比 / 2次減速比:1.821/2.765

フレーム:シェル構造スチール製ブリッジタイプ
サスペンション(前/後):テレスコピックφ45mm倒立式フォーク/アルミキャストダブルスイングアーム式
サスペンションストローク(前/後mm):230 / 215

全長(mm):2,270
全幅(mm):945
全高(mm):1,395
軸距(mm):1,600
シート高(mm):870
車両重量(kg):219
車両重量(kg):224(日本国内届出値)

トレール(mm):119.8
キャスター(度):28.0
ホイール:クロススポーク式
リム(前/後):2.15-21/4.25-17
タイヤ(前/後):90/90-21 M/C 54T/150/70-17 M/C 69T
ブレーキ(前/後):φ305mmフローティングダブルディスク/φ265 mmシングルディスク
ABS:BMW Motorrad ABS

生産国:ドイツ

試乗後の一言!

心踊る冒険心を胸に、遠くまで出掛けてみたくなる。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…