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最高気温は36℃(気象庁発表)の猛暑日、天気は快晴で蒸し暑い、絶好のテスト日……
モーターファンBIKESでは毎年恒例となった、「蒸し暑い夏にバイク乗車時、少しでも暑さを凌げるアイテムはないか?」を探求する、灼熱時の実験・体感テスト企画。2024年も編集部が「これだ!」と目を付けた、選りすぐりのアイテムをご紹介しよう(2024年は5点をテスト)。
第三弾となる今回は、新素材の「PVA(ポリビニルアルコール)」を採用した画期的なクーリングベスト。このベストはバッテリー・保冷剤・薬品・氷などを一切使わず、水だけで冷却効果を発揮するのがポイント。バイク乗車時にも使用してみたところ、“意外な”涼しさを発揮した。
【実験データ】 ・テスト日:2024年7月5日(金)の日中 ・場所:千葉県八千代市/京成線「勝田台駅」近辺 ・当日の天気:晴れ ・最高気温(気象庁発表):36℃の猛暑日 ・テスト環境:アスファルトの照り返しが物凄い。日なたの実測温度は42℃超(熱でヘルメット下部のモールが外れた) ・体感温度:雲一つない快晴。日差しが強くて蒸し暑い。日中は頻繁に水分を補給し、時々日陰で休憩しないと熱中症になりそう。テスターに「オレはドMか?」、「オレは一体何をやっているんだ?」と思わせるほど、身体に堪える厳しい暑さ ・テスト車両:ホンダ スーパーカブ50
冷却ベスト(2枚セット)……メーカー希望小売価格:4800円(税込)/購入価格:2280円(税込)/送料無料(東京都)
商品データ
メーカー・生産 | 中国製 |
素材 | PVA |
サイズ | フリー(男女兼用) |
水洗い | 〇 |
性能 | 温度35℃・湿度33%の場合、冷却ベストの表面温度は26.8℃ |
写真はバッテリー・保冷剤・薬品・氷などを一切使わず、水だけで冷却効果を発揮する、新素材の「PVA(ポリビニルアルコール)」を採用した画期的なクーリングベスト。PVA素材とは親水性が高く、しかも透湿性に優れている最新のスポンジ。吸水性が良く、湿気や熱気を放出しやすいのが特徴だ。
ベスト本体にPVA素材を使ったこの冷却ベストは、素肌に優しく汗の排出を促進し、身体の表面温度を素早く低下させるのがポイント。ベスト本体を約3~5分間水に浸すだけで、超時間に渡り心地良い冷却効果を発揮してくれる。
冷却ベストは屋外や建築現場での作業、レジャー、スポーツ、レストランの厨房などなど、熱中症になりやすい過酷なシーンで活躍中。作業服に電動ファンを設けた「空調服」が使用できない、溶接作業などの火気使用時にも安心して使用できる。
ここではバッテリー・保冷剤・薬品・氷を使わず、水のみで手軽に身体を冷やせる、「エコ仕様」な冷却ベストを着用してバイクに乗車してみた。
バイク(50ccのスーパーカブ50/原付一種)でテストを敢行
停止時も涼しさを獲得。走行風にて、さらなる冷却効果を発揮
まずは桶などに水を張り、冷却ベストを約3~5分間浸す。水を張るツールがない場合は、大きめの洗面所(コンビニにある小さな手洗い場での作業は困難)や、大きめの手洗い場でジャブジャブと洗えばOK。水は冷たいほど冷却効果を発揮する(極限までキンキンに冷やした氷水は、素材を収縮させて吸収性が低下する恐れあり)。
吸水後は吸水以上の余分な水がダラダラと垂れない程度に、全体をやや強めに絞る。ただし温度が高くて蒸し暑い工事現場などでは、水が滴る程度のほうがベターかもと感じた。
スポンジ状の冷却ベストの表面は水で濡れている。そのためベストの下には、速乾性の高い肌着の着用がベストだろう(今回は速乾性に優れたユニクロのAIR ismを着用)。乾きにくい昔ながらの綿製肌着(オジイサンに近い60代以上のオッサンがよく着ている)などは、冷却ベストの着心地が悪くなると予測。
この冷却ベストは脇下にあるマジックテープで胸幅を調整する、男女兼用のフリーサイズ。メーカー発表値では、温度35℃・湿度33%の場合、冷却ベストの表面温度は26.8℃に低下する。
リリースには「柔軟性に優れたPVA素材により、超低摩耗なので肌触りがふわふわ♪(編集部で一部言い回し変更)」と記載。試しに肌着を着用せず、素肌に直接冷却ベストを着てみると…。
冷却ベストの表面が濡れているせいか、何だかベタついた感じがしてやや不快。もっとも快適で涼しい着用方法は、「冷却ベストの下に速乾性の高い肌着の着用」だろう。今回は速乾性の高い肌着(ユニクロのAIR ism)を着用した(下記参照)。
冷却ベストは着用した瞬間、明確な涼しさが体感できた。これは水による冷却効果だけでなく、身体の湿気や熱気を放出する「透湿性の良さ」も大きな要因だと思われる。
「冷却ベスト」の快適指数
バイク走行時 ★★★★★
信号待ち ★★★★★
冷房の効いた室内 ★★★★★
利便性 ★★★★☆
バイクとの相性 ★★★★★
今回はバイク乗車時での使用という前提で、
1:速乾性の高い肌着(ユニクロのAIR ism)+メッシュのスポーツ用Tシャツ+冷却ベスト
を着用。メッシュのスポーツ用Tシャツがプラスされたためか、停止時は冷却効果が減少。ただし走行時は前方からの走行風により、涼しさは復活。前述の肌着着用のみよりも、涼しさと快適性は高いと感じた。
今度は上記3枚の着用順を変更し、
2:速乾性の高い肌着(ユニクロのAIR ism)+冷却ベスト+メッシュのスポーツ用Tシャツ
の順で着用。つまり肌着の上に冷却ベストを着用し、その上にメッシュのスポーツ用Tシャツを着て走行。すると…
これがメチャクチャ涼しい! メッシュから吸入された走行風が、水を含んだ冷却ベストを経由し、その冷たい風が身体を抜けていく。同時にメッシュや冷却ベストからは、身体の湿気や熱気を放出している、というイメージ。
冷却ベストは一度水に浸せば(濡らせば)、数時間使用OK(メーカー発表値は屋外で3~6時間時間)。しかも繰り返し使えるから、水場があればいつでもどこでも、何度でも冷却効果のアップが可能だ。
テスト時の最高気温(気象庁発表)は36℃で、実測温度は42℃超。時間が経つにつれ水分が抜けて蒸発し、水温も上昇するためか、バイク乗車時に「涼しい」と感じるのは30分程度。バイクに乗らずの使用では2時間ちょっとは効果が得られた。
ただし冷却ベストのポイントは、水場さえあれば、ジャブジャブと洗う要領で手軽に「再冷却」できること。コンビニにある狭いタイプの手洗い場は難しいだろうが(無理に作業すると床を汚してしまう可能性があるので要注意)、道の駅や高速道路のパーキング&サービスエリアにある大きめの手洗い場、また屋外にある水道などが利用できれば、継続的に冷却効果を発揮できる。
一見、安物のスポンジ素材でできたこのベスト(筆者は使用前、この商品をかなりナメていた。しかし使用後の今は完全に撤回する)は、意外や意外!? 予想外かつ驚きのポテンシャルを発揮。
メーカー希望小売価格は4800円(購入価格は2280円/ともに税込)とやや高めだが、その性能は価格に十分値するものだと感じた。
※注:上記はあくまでも筆者の感想です。個人の感覚・体質・健康状態、また気象状況等により感じ方は異なります。