ドゥカティ・ストリートファイター V4S|世界最強の遺伝子が自慢! だけど意外なほど街を意識した、過激派カジュアル系。

ストリートファイターV4Sは、パニガーレV4Sのネイキッドモデル。MotoGPマシンに最も近いと言われるドゥカティのフラッグシップモデルをベースにカウルを剥ぎ取りアップライトな姿勢で乗れるパイプバーハンドルを備えたプレミアム・ハイパースポーツモデルである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ドゥカティジャパン株式会社

※2020年11月10日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

スモークのミニスクリーンが装備されたフロントまわり。デュアルヘッドランプ下のチンスポイラーを始め、バイプレイン(左右2段翼・計4枚)ウイングデザインが目立つ。マスクデザインは、映画「ジョーカー」の主人公から閃き、描かれたと言う。
φ43mmの倒立式フロントフォークはオーリンズ製の電子制御式だ。ダブルディスクはφ330mm。ブレンボ製モノブロックの対向4ピストン油圧キャリパーがラジアルマウントされている。カーボンフェンダーはオプション。
200馬力を軽くオーバーする1.1Lの水冷90°V4エンジン。GP用ユニットと基本は共通。後傾42°でマウントされコンパクト設計とマスの集中化を果たしている。
デザインに新しさを覚えたミッドアンダーマウントの4-2-1-2マフラー。排気口は左右対称位置の両側にある。ちなみに試乗車はオプションのAKRAPOVIC製のチタンマフラーを装備、何とその価格は876,513円なり。
オーリンズ製の電子制御モノショック(ボトムリンク式)がマッチされた左片支持ロングスイングアーム・サスペンション。
片支持に合わせたオフセットデザインのリヤホイール。ハブセンターにはφ245mmのディスクブレーキを備え、ブレンボ製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーが採用されている。
ブラックのパイプバーハンドルはテーパードタイプ。ブレーキ/クラッチ共に油圧タイプだ。レバー間隔の調節範囲は9クリック。イグニッションキーはタンク前端部に位置している。
各スイッチの文字はバックライトで浮かび上がるイルミネーション付き。左側の下から順にホーン、ウインカー、モード切り替え、赤いのがハザード、そして向こう側に人差し指で扱うディマーがある。
ハンドル右側スイッチ。下から順にDPL(ドゥカティ・パワー・ローンチ)用スイッチ、セルスターター、赤いキルスイッチ、そして上に少し見えているのがグリップヒーター。
表示モードはTRACKとROADの二つが選択できる。タコメーターは200rpm毎に刻まれたアナログ式表示。写真はROADモードだ。情報表示は14項目に及ぶ。
ハンドルバーと並行にレイアウトされたステアリングダンパーはオーリンズ製の電子制御式。
基本は二人乗りだが、試乗車はオプションのパッセンジャーパッチカバーが装備され一人乗り仕様になっていた。
リヤシート下部の中央には小さな収納BOXがあり、僅かな車載工具とタンデム用ハンドグリップベルトが収納されている。
センスの良いイタリアンデザインを象徴するテールビュー。いかにもプレミアムな製品らしい美しさがある。
アグレッシブなタンクデザインと抜けのあるテールカウルが印象的。

主要諸元

全長×全幅(含むミラー)×全高:2112×833(888)×1040mm
シート高: 845 mm
ホイールベース: 1,488 mm
最低地上高:121mm
車両重量(乾燥):199kg(178kg)

エンジン形式:デスモセディチ・ストラダーレ、カウンター・ローテーティング・クランクシャフト、
エンジン種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ(4デスモドロミック・タイミング)
気筒数配列:90°V型4気筒
排気量:1,103 cc
ボア×ストローク:81 x 53.5 mm
圧縮比: 14.0:1
最高出力: 153 kW(208 hp)/12,750 rpm
最大トルク:123 Nm (12.6 kgm) /9,500 rpm
燃料供給装置: 電子制御燃料噴射システム、ツイン・インジェクター、フルライド・バイ・ワイヤ、φ52mm
        相当楕円スロットルボディ
エグゾースト:4-2-1-2レイアウト、O2センサーx2、触媒コンバーターx2
ギアボックス:6速、ドゥカティ・クイックシフト (DQS)アップ/ダウンEVO 2
1次減速比: ストレートカットギア、減速比 1.800
減速比:
 1速 2.714(38/14)
 2速 2.118(36/17)
 3速 1.737(33/19)
 4速 1.524(32/21)
 5速 1.364(30/22)
 6速 1.250(30/24)
最終減速:チェーン 2.800(15/42)
クラッチ: 湿式多板、油圧制御、セルフサーボ/スリッパー・クラッチ機構付
フレーム: アルミニウム合金フロント・フレーム/アルミニウム合金リアサブフレーム
ホイール(前/後):3.50-17 マルケジーニ製 鍛造アルミニウム 5本スポーク/ 6.00-17 合金鍛造 3本スポーク
タイヤ(前/後):120/70 ZR-17 ピレリ製、ディアブロ・ロッソ・コルサ2 / 200/60 ZR-17 ピレリ製、ディアブロ・ロッソ・コルサ2
サスペンション(前/後):
 オーリンズ製NIX3 TiNコーティング、φ43mm フルアジャスタブル倒立フォーク
 電子制御 / アルミ片支持スイングアーム、オーリンズ製TTX36 モノショック、フルアジャスタブル、電子制御
ホイールトラベル(前/後):120 mm / 138.5mm
ブレーキ(前/後):
 ブレンボ製4ピストン・ラジアルマウントStylema®(M4.30)モノブロックキャリパー、φ330mmセミフローティング・ダブルディスク、コーナリングABS EVO
 ブレンボ製2ピストン・キャリパー、 φ245mmディスクコーナリングABS EVO
メーターパネル:5インチTFTカラー液晶ディスプレイによる次世代デジタル・メーターパネル

キャスター: 24.5°
トレール: 100 mm
ステアリング切れ角(左/右):28° / 28°
燃料タンク容量: 16L(予備4.5L含む)
乗車定員数:2名
燃料消費率:13.2km/L

試乗後の一言!

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…