バイクはオービスがピカッと光っても捕まらない? いいえ、逮捕されることもあります。

「最高速度違反」、いわゆるスピード違反の取締りに使われる「オービス」。幹線道路や高速道路などに設置され、ピカッと光り違反車両を自動で撮影する装置だが、よく「バイクはオービスで捕まらない」といわれることも多い。だが、実際は、バイクも十分に検挙の対象となる。ここでは、そもそもオービスとはどんなもので、実際にバイクが捕まるケースなどについて紹介する。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●写真AC
*写真はすべてイメージです

そもそもオービスとは?

オービスの正式名称は「速度違反自動取締装置」という。主な仕組みは、電磁ループコイル、レーダーやレーザーなどといったセンサー類とカメラを備えていること。

センサーで道路を走る車両の速度を計測、速度オーバーで通過した車両を前方から撮影する。その後、画像に映ったナンバープレートにより車両の所有者を割り出し、出頭通知書を送付。受け取った車両の所有者はオービスを光らせた(速度違反をした)運転者を警察へ出頭させねばならないといった流れとなる。

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オービスの正式名称は「速度違反自動取締装置」という

なお、オービスが光る速度は一般道で30km以上のオーバー、高速道路では40km以上のオーバーが目安といわれている。つまり、オービスを光らせたら一発免停となる可能性が高いといえる。

また、オービスは、高速道路や幹線道路などに固定されて設置されているイメージもあるが、近年は、移動の可能な「可搬式オービス」もある。こうしたタイプは、制限速度の低い生活道路に設置されることもあり、15km/hほどの速度オーバーでも光る場合もあるといわれている。

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可搬式オービスの例

つまり、オービスは、設置する道路状況などにより取締りの速度が変化するのだ。とくに、速度超過による交通事故が多い場所などに置かれることも多く、取締りだけでなく、装置を運転者などにみせることで、スピード出し過ぎへの抑止力とする意味合いも含んでいるといわれる。

なぜバイクはオービスで捕まらないといわれる?

では、なぜバイクはオービスで捕まらないといわれるのか。それは、例えば、一般的な固定式オービスの場合、光らせた車両を特定し、後日、車両の所有者へ出頭通知書を送るためには、撮影画像に以下のような要件が必要といわれるためだ。

「ナンバープレートの車両番号が判読できること」
「違反車両の運転者の顔が判別できること」

だが、オービスは、違反車両を前方から撮影するため、前方にナンバープレートが備わらないバイクは車両番号を判別できないといえる。また、ヘルメット、とくにフルフェイスのメルメットを被っていると運転者の顔は判別しづらい。

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オービスは違反車両を前方から撮影するため、前方にナンバープレートがないバイクは車両番号を判別できない

そして、それら理由により「証拠不十分」ということで、バイクは「処罰対処外になる=捕まらない」ということがいわれているのだ。

悪質な速度超過の違反で逮捕された事例もある

だが、実は、バイクもオービスの撮影画像から捕まったケースは多々ある。しかも、とくに悪質な場合などには逮捕にまで至ったケースさえある。例えば、過去には、以下のような事例が比較的大きく報道された。

・大阪でオービス撮影18回のオートバイ男が逮捕(2015年)
・北海道の国道を192km/hで走行したバイクが逮捕(2021年)
・オービスに記念のVサイン! 宮崎で速度違反の常習者を逮捕(2004年)

上記のうち、大阪と宮崎の事例は、いずれも常習的に速度違反を繰り返し、何度もオービスを光らせていたケースだ。

大阪の場合は、オービスの画像を解析して車種を割り出し、違反が集中していた時間帯に張り込んでナンバーを確認。尾行により違反者を特定したという。

また、宮崎でも、撮影画像により車種や着用ヘルメットなどを特定。150km/hで走行しながらカメラに向かってVサインをしている画像もあり、違反が故意であることも推測。大阪の事案と同様、撮影記録から違反を行いそうな時間帯に張り込み、違反を行った直後に追跡して逮捕したそうだ。

加えて、北海道の事例は、法定速度60km/hの一般国道を100km/h以上の速度オーバーで走行しオービスが撮影。その画像を元にバイクの形式や服装などを割り出し容疑者を絞り込んだという。

いずれにしろ、これら事例は、いずれもオービスではバイクのナンバープレートや運転者の顔が判別しづらいことで、「捕まらないだろう」と悪質な速度超過などを行ったものだ。だが、警察は、しっかりと容疑者を割り出し逮捕している。そう考えると、「バイクは逃げられる」という考えは甘いといえる。4輪車と比べると出頭通知書などは送付されにくいかもしれないが、やはり「絶対に捕まる」といって間違いないだろう。

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「オービスでバイクは捕まらないだろう」と悪質な速度超過などを行うと、逮捕にまで至るケースもある

移動式オービスを使ったネズミ捕りでも捕まる

また、前述の移動式オービスも、バイクが捕まるケースは多々あるといえる。

移動式オービスの正式名称は「可搬式速度違反自動取締装置」。固定式と違って、装置が比較的小型なため、持ち運ぶことが可能なものだ。そのため、設置場所を限定せず、高速道路や幹線道路はもちろん、狭い路地でも自動で速度を取り締まれるといった特徴がある。

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移動式オービスが、いわゆるネズミ捕りなど警察官が立ち会う取り締まりに使われることも多い

そして、この移動式オービスが、いわゆるネズミ捕りなど警察官が立ち会う取り締まりに使われることも多い。その場合は、警察官がバイクのナンバープレートを目視で確認。待機しているパトカーや白バイなどで追跡され、その場で違反切符を切られることがほとんどだ。

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移動式オービスでの取締りは、違反車両を待機しているパトカーや白バイなどで追跡し、その場で違反切符を切ることも多い

以上から、「バイクはオービスでは捕まらない」というのは、あくまで都市伝説で、実際は捕まるケースも多いといえる。もちろん、厳密にいえば、先に述べたように「4輪車のように、後日出頭通知書が送られるようにはなりにくい」とはいえる。だが、だからといって、常習的や悪質な速度違反に対して警察はだまっていないのだ。

そう考えると、バイクでも、やはり普段から公道での速度は十分に注意して安全な走りを心掛けたい。とくに、オービスが設置される場所は、これも先に述べたように、速度超過などによる交通事故も多い傾向にあるといわれる。そのため、オービスを見たら、他の場所より速度に注意するくらいでちょうどいい。くれぐれも、安全第一の運転を心掛けて頂きたい。

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オービスが設置される場所は、速度超過などによる交通事故も多い傾向にあるため、発見したら速度に十分注意したい

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…