レブル以外の選択肢にアリかも!? CF MOTOの250CL-Cは高い完成度のクルーザーだった

世界基準のバイクを製造しているのが中国のCF MOTO。高品質高性能なマシンで高い評価を受けるようになってきた。今回はそんなCF MOTOの250ccクルーザー、250CL-Cに試乗してみることにした。

CF MOTO・250CL-C……615,000円

CF MOTO というメーカー

CF MOTOは1989年に中国の温州で設立された。正式な社名はZHEJIANG CFMOTO POWER CO., LTD.。KTMと協業してエンジン開発や製造を行うほか、ヤマハと技術提携。デザイン面ではKTMやハスクバーナのデザインを手掛けているオーストリアのKISKA Designと提携しするなどして高い品質と信頼性を持った製品を製造。バイクの他にもエンジンやATV、高級ヨットなどの製造、販売も行っている。今回試乗した250CL-Cは、250ccのクルーザータイプのマシンである。

CF MOTOのバイクを間近で見たのは今回がはじめてなのだが、細部までとても美しい仕上がりであることに驚かされた。使っているパーツの質感が高く、ボルトやステー類にいたるまで手が抜かれていない。

タンクの塗り分けたところもきれいに磨かれている。シートの作りも丁寧だしタンクからシート、テールに流れていくラインも美しい。

フロントブレーキはキャリパーをラジアルマウントしているし、ベルトドライブなのでメンテフリーかつチェーンノイズがなくオイル飛びによる汚れもない。このクラスのマシンとしは装備がとても充実している。

スムーズかつパワーのあるエンジン

セルボタンを押すと威勢のよい排気音とともにエンジンが回りだした。走り出す前に感じたのはクラッチが非常に軽くシフトフィーリングが素晴らしいこと。最近の国産車にはスリッパー&アシストクラッチを使っているものが多く、レバーがとても軽いのだが250CL-Cはそれと同等以上。シフトペダルに力を入れるとスコッという感じで実に気持ちよくギアが入る。

まずは回転をあまり上げずにクラッチをつないでみるとマシンが力強く押し出された。低中速のトルクがあってストリートではかなり扱いやすい性格だ。エンジンにもがさつな感じは微塵もなく、とても滑らかなフィーリングである。このときは低中速を重視した特性だと思い込んでいたのだが、驚かされたのは高回転まで引っ張ったとき。実に気持ちよくパワーが盛り上がっていく。ミッションもほどよくクロスしていて、全開加速しているときのフィーリングはスポーツバイクのよう。排気音が大きめということもあって非常に速く感じる。
単気筒エンジンではあるが、振動もかなり対策されている。回転が上ってくるとステップやハンドルに細かな振動は出てくるが、気になるレベルではない。全体的にとても完成されているエンジンであると感じた。気になったのは排気音がちょっと大きすぎることくらいだ。

全体的に完成度は高い

天気の関係もあってコーナーリング性能などの細かな点は評価できなかったがハンドリングは基本的に素直で乗りにくさはない。直進安定性が高くて250でありながらどっしりとした直進安定性も持っている。乗り心地も悪くないのだが、それは比較的路面状況が良い場所でのこと。リアショックのストローク量が少ないので段差があると吸収しきれないことがある。シートも若干硬めなので、お尻が突き上げられることもあるのだが、クルーザーのスタイルでリアショックを短めにしていることを考えれば、ある程度は仕方のないことだろう。

ブレーキは良く利くしコントロールもしやすい。フルブレーキングでABSを何度か作動させてみる比較的安定していて姿勢が崩れるようなことはなかった。Uターンの半径は大きめだった。ラジエーターキャップとフォークの干渉を防ぐためかハンドルの切れ角が少ないのである。しかしこれは通常の使用では特に問題になることはないだろう。

全体的に非常に良くできていて完成度の高さは日本製のマシンと比べても遜色のないレベルにある。我々ユーザーにとって選択肢が増えるのは喜ばしいことだが、反面急速に性能を高めてきている中国メーカーには脅威のようなものを感じてしまう。
2月にはCF MOTOから新しい250ccスポーツバイク、250SR-Sが発売される。いったいどのくらいの走りを見せてくれるのかが気になるところだ。

ポジション&足つき(身長178㎝体重75kg)

ステップは前方にあるので足を投げ出すような感じになる。ハンドルはフラットな形状。ライザーによって取り付け位置を持ち上げているので上体が起きた姿勢になる。クルーザーらしくリラックスしたポジションだ。

シート高が低いので足つき性は良好。車体もスリムなので両足をついても膝が大きく曲がる。

ディテール

フロントタイヤサイズは130/90-16。ブレーキはΦ300mmのディスクとラジアルマウントキャリパーの組み合わせ。
ラジエターは縦長でスリムなスタイルを損なわないようになっている。
排気量は249ccでボア×ストローク は72mm×61.2mm。最高出力 18.5kw(25.1ps)/9800rpm、最大トルク 20.5N·m/7000rpm。アシスト&スリッパークラッチを装備している。
ブラックのサイレンサー。排気音は大きめ。単気筒サウンドが響き渡る。
リアキャリパーはスライドピンタイプの片押し1ポット。リアのディスクはΦ220mm。
ベルトドライブなのでメンテナンスフリー。ノイズもない。
リアショックの全長は短めでストロークは多くない。荒れた路面ではショックを感じる。
シートはフロントとリアが別体式。
ウインカーやテールライトはLED。
左スイッチはライトのアップダウン、ホーン、ウインカーのみのシンプルな構成。
右スイッチにはキル、スターター、ライトの切り替え、ハザードを装備。
ハンドルはパイプのフラットなタイプ。ハンドル周辺はブラックでペイントされている。
スピードメーターはアナログ。TFT液晶が採用されていて見やすい。
ヘッドライトレンズにはロゴマークが刻まれている。

スペック・サイズ

エンジン

エンジン形式 水冷単気筒
排気量 249cc
内径 x 行程 72mm x 61.2mm
出力 18.5kw(25.1PS) / 9800rpm
トルク 20.5N·m / 7000rpm

サイズ

全長 2210mm
全幅 805mm
全高 1075mm
ホイールベース 1470mm
シート高 690mm
最低地上高 150mm
車両重量 165kg
燃料タンク容量 13.5L

シャシー

駆動方式 ベルト
フロントサスペンション Φ37mm テレスコピックフォーク
リアサスペンション スイングアーム / ツインショック
フロントブレーキ Φ300mm シングルディスク、対向4ピストンキャリパー
リアブレーキ Φ220mm シングルディスク、シングルピストンキャリパー
フロントタイヤ 130/90 R16
リアタイヤ 150/80 R16

※CFMOTOのモデルは、特定の地域のニーズや各地域の規制に準拠するため、仕様が異なる場合があります。

 

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後藤武