シェルパはセローの互換たりえるのか? キャンツー好きなセロー250元オーナーが感じた長所と短所

KLX230シリーズのバリエーションモデルとして「シェルパ」の名が18年ぶりに復活! ローダウン仕様のKLX230 Sをベースに外装と車体色をアウトドアテイストにしたもので、ヤマハ・セロー250のようなトレッキングバイクを欲していた層に俄然注目されている。ツーリングセローの元オーナーである筆者がじっくりと試乗してみた。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン

ディテール解説

KLX230/Sと共通の232cc(φ67.0×66.0mm)空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒。1軸バランサーや6段ミッションなどを採用する。最高出力は18ps/8000rpm。
障害物からエンジン下部を保護するアルミ製スキッドプレートを標準装備。この他に純正アクセサリーでABS樹脂製のスキッドプレート(2992円)も用意する。
φ265mmペタルディスク&ピンスライド片押し式2ピストンキャリパーのフロントブレーキセット、φ37mm正立式フロントフォーク、標準装着タイヤのIRC製のGP-21F/22Rなど、足周りはKLX230 Sと共通だ。ホイールトラベル量もKLX230 Sと同じフロント200mm、リヤ223mmとなっている。
アルミリムのサイズはフロントが21×1.60、リヤが18×1.85だ。ホイールにハブダンパーは組み込まれていない。スイングアームはKLX230 Sと同じアルミ製だが、塗色はシェルパ専用となる。リヤブレーキはφ220mmペタルディスクとシングルピストンキャリパーの組み合わせで、デュアルパーパスABSを組み合わせる。
リヤショックはプリロードの調整が可能だが、本体を外さないとアジャスティングナットが回せないため、取扱説明書には「カワサキ正規取扱店で調整を行ってください」と記載されている。
D.I.D.のロゴが正面に入ったアルミ製テーパードハンドルを採用。左側のスイッチボックスにはABSキャンセルボタンを設置する。
KLX230/Sと共通のシンプルな液晶メーター。速度計、バーグラフ式の燃料計、時計が常時表示され、下段は積算計と距離計A/Bを切り替え表示する。スマホ接続機能あり。
ボディカラーと同色のハンドガードを標準装備。芯材となる金属プレートは2ピース構成で、磁石を近付けて確認したところ、フロントがスチール、サイドはアルミ製のようだ。この他にシンプルなデザインのハンドカバー(9702円)を純正アクセサリーで用意。
シート表皮は車体色にかかわらずオールブラックだが、上面とサイドでテクスチャーの種類を変えて質感を高めている。純正アクセサリーで座面が13.5mmアップするハイシート(1万1440円)を用意する。リヤフェンダーの左側にはヘルメットロックあり。
キーロック式の左サイドカバーを取り外すとバッテリーにアクセスできるのはKLX230/Sと同様だ。バッテリーの上部には車載工具あり。
LEDヘッドライトのカバーはKLX230/Sとは異なり上下2ピース構成で、その下部にはフレームと同色のガードバーが装着される。なお、ハンドガードやガードバーの追加によって重くなったステアリングモーメントを相殺するため、フロントフォークを支持するアンダーブラケットは軽量なアルミ製とされる。
ヘッドライト以外の灯火類はナンバー灯も含めフィラメント球で、デザインはKLX230/Sと共通だ。
スタイリングにおけるKLX230/Sとの大きな違いはシュラウドで、シェルパは1→2ピース構成とした上でコンパクト化。これによりフロントタイヤの接地面付近が乗車位置から見やすくなっている。

カワサキ KLX230 シェルパ(2025年モデル) 主要諸元

最高出力 13kW(18PS)/8,000rpm
最大トルク 19N・m(1.9kgf・m)/6,400rpm
エンジン種類 空冷4ストローク単気筒
総排気量 232cm³
内径×行程 67.0×66.0mm
圧縮比 9.4:1
弁方式 SOHC2バルブ
燃料供給方式 フューエルインジェクション(φ32mm×1)
点火方式 バッテリー&コイル(フルトランジスタ点火)
始動方式 エレクトリックスターター
潤滑方式 強制潤滑方式/ウェットサンプ
エンジンオイル容量 1.3L
トランスミッション形式 常時噛合式6段リターン
一次減速比 2.870(89/31)
 ギア・レシオ 1速 3.000(39/13)
 ギア・レシオ 2速 2.066(31/15)
 ギア・レシオ 3速 1.555(28/18)
 ギア・レシオ 4速 1.260(29/23)
 ギア・レシオ 5速 1.040(26/25)
 ギア・レシオ 6速 0.851(23/27)
二次減速比 3.214(45/14)
クラッチ形式 湿式多板/マニュアルトランスミッション
動力伝達方式 チェーン

フレーム形式 セミダブルクレードル(高張力鋼ペリメター)
懸架方式(前) テレスコピック(インナーチューブ径37mm)
懸架方式(後) ニューユニトラック/プリロード調整可
ホイールトラベル(前) 200mm
ホイールトラベル(後) 223mm
キャスター 24.6°
トレール 96mm
ステアリングアングル(左/右) 45°/45°
タイヤサイズ(前) 2.75-21 45P
タイヤサイズ(後) 4.10-18 59P
ブレーキ形式(前) シングルペタルディスク(外径265mm)
キャリパー(前) デュアルピストン
ブレーキ形式(後) シングルペタルディスク (外径220mm)
キャリパー(後) シングルピストン

全長×全幅×全高 2,080×920×1,150mm
軸間距離 1,365mm
最低地上高 240mm
シート高 845mm
車両重量 134kg
燃料タンク容量 7.6L
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
燃料消費率(国土交通省届出値) 45.5km/L(60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
燃料消費率(WMTCモード値) 34.7km/L(クラス2-1、1名乗車時)
最小回転半径 2.1m
乗車定員 2名
生産国 インドネシア共和国
型式 8BK-LX232A
メーカー保証 2年

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…