狭山丘陵で絶景とダート路を楽しむ! ゆるカブツーリング第6弾多摩湖・狭山湖

東京、埼玉県境に多摩湖、狭山湖と2つの人造湖があります。正式には多摩湖が村山貯水池、狭山湖は山口貯水池です。なので水道局が管理しているため釣りやボート遊びなどはできません。しかし周辺には遊園地や野球場などがあり、昔から観光地としてにぎわっています。でもなぜかツーリングの目的地としてはポピュラーじゃありません。あまりにも身近だからかもしれません。そこで今回、いままで見過ごしてきた多摩湖、狭山湖界隈を
散歩気分でツーリングしてみました。
堰堤から眺める多摩湖の風景。取水塔がアクセントになっていて異国情緒漂う景観を作り出している。西武ライオンズの本拠地であるベルーナドームを遠望する

多摩湖、狭山湖周辺は二輪車通行禁止ワインディングと二輪車通行可のダートが混在

西武線に乗って狭山スキー場や西武園遊園地に遊びに行っていたのは小学生の頃でした。中学生のときには狭山湖一周13㎞マラソンという大迷惑な学校行事で行きました。それがトラウマになったのかは定かじゃないですが、以後、多摩湖、狭山湖へ行楽で行くことはほとんどありませんでした。ましてやツーリングの目的地にしたこともありませんでした。そんな狭山丘陵に毎年のように出かけるようになったのは、便利な足として原付2種に乗るようになってからです。高速道路が利用できないので、下道で気軽に行けるエリアとして再認識したという次第です。
春の陽気に包まれた日、狭山丘陵へとスーパーカブで向かうことにしました。まず最初に訪れたのは、東京都東大和市にある多摩湖。多摩湖通りという湖を周回する道路が通っているのですが、ほとんどの区間が二輪車通行禁止。ワインディングになっているので70~80年代に走り屋、いわゆるローリング族ってやつがバオバオ走り回って騒音をまき散らすは事故は起こすはで多大な迷惑をかけた結果、二輪車は通行できなくなってしまったのです。当時と今とでは様相が変わったのですが、時代錯誤の規制がいまも生きているということです。日中は狭山公園の駐車場までは行けます。一応駐輪できるスペースがあるのでそこにスーパーカブを止めて、堰堤上を歩いて行きました。堰堤の西側に湖が広がっていて、なかなか気分爽快な眺めです。円柱形の取水塔が風景にアクセントを付けています。またプロ野球西武ライオンズの本拠地ベルーナドームも遠望できます。
多摩湖を周回する道路は原付も含めて二輪車の通行が禁止されている。かつてのローリング族対策なのだが、時代錯誤の規制だと思う
多摩湖に隣接する狭山公園の駐車場には、二輪車の駐車スペースがある
駐車場の利用は無料だ
多摩湖は貯水池なので、釣りやボート遊びなどはできない
のんびりと景色を堪能した後、多摩湖通りで来た道を戻り、西武多摩湖線武蔵大和駅近くで赤坂道へと進みます。狭山公園の東側を通り、埼玉県所沢市に入り西武園遊園地に突き当たったところを左折して、堰堤の北側を北に山口城址通りを進みます。山口交差点で左に県道55号線をたどりしばらく行くと、狭山湖の堰堤下に突き当たります。狭山湖は所沢市に属しています。狭山湖駐輪場にスーパーカブを止め、遊歩道で堰堤を上ってみました。上り坂と階段でけっこう疲弊したところで堰堤上に到着。ベンチに腰かけて足腰の痛みが取れるまで湖を眺めたのでした。
狭山湖の堰堤周辺も公園になっている
多摩湖は東京だが狭山湖は埼玉にある
狭山湖もやはり貯水池なので水辺で遊ぶことはできない
再びスーパーカブに跨り、狭山湖通りから狭山湖北側を走る狭山湖外周道路に入る。しばらく走ると舗装は途切れ、ダート路となります。外周道路はここから5㎞弱、ずっとダートが続くのです。湖を眺めるポイントはなく、ずっと森の中を走ります。この森はスタジオジブリの「となりのトトロ」の舞台のひとつになったといわれていて、トトロのふるさと基金のトラスト取得地を「トトロの森」として保全しているのです。
途中から車のすれ違いが困難な狭さとなるので、一段とペースを落として走ります。車が入ってくることはほとんどないのですが、自転車やハイカーに会うことが多いので、無茶な走り方は禁物です。路面は轍もほとんどなくフラットなダートなので、スーパーカブでも気分よくオフロード走行が楽しめます。
2㎞ほど行ったところで右に分かれる舗装路に出くわします。その道をたどって行くとすぐに視界は開け、目の前にベンチが設えられた小高い丘が現れます。ここが所沢の最高所である比良の丘です。周囲は牧場と茶畑が広がっていて、所沢の市街地を見晴らします。比良の丘は地元では有名な絶景スポットで、夏にはひまわりが一帯を黄色に染め上げます。
そんな絶景を目当てに休日にはたくさんの人が来ますから、訪れるなら平日がおススメです。この日も数台の車が訪れていました。実は比良の丘へは市街から舗装路だけでアクセスできるのです。
狭山湖外周道路のうち5㎞弱は森の中を行くダートになっている。しかもこのダートはバイクの通行が可能。路面もフラットなので走りやすい。ただし自転車やハイカーも多いので、ゆっくりと安全に走行することが大切。無茶な走り方をして迷惑をかけたら、多摩湖周回道路と同じようにバイクの通行が禁止されかねない。希少なダート林道をなくさないようにしたいものだ
所沢の最高所となる比良の丘からの眺め
夏には一面のひまわりで黄色く染め上げられる
ひまわり畑のほかにも、狭山茶の本場らしく茶畑も広がる。さらに牧場もあるなど盛りだくさんである
丘の頂上には一組のテーブルとベンチが設えられていて、景色を眺めながらランチを楽しむ人も多い
狭山湖外周道路、通称狭山湖林道を再び西へ向かって走り、3㎞ほど行った石畑給水所でダートは終了。ここから南側は瑞穂町と武蔵村山市に跨る野山北・六道山公園となります。公園内の道を東に進むと、六道山公園展望塔があります。せっかくなので上ってみました。屋上からは東、南、西側の景色を眺めることができます。
狭山湖に隣接して六道山公園がある
公園内にある展望台
展望台からは東、南、西方向の風景が眺望できる
石畑から学校通りを南に下り、青梅街道を経て里山民家へ行ってみました。ここは野山北・六道山公園内の施設のひとつで、江戸時代の家屋を再現した萱葺き屋根の里山民家があります。母屋をはじめ蔵、納屋、作業小屋などが再現されていて、文字どおり江戸時代にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。周囲には田んぼや畑などもあり、昔の里山風情を楽しめます。さらにうれしいことに、バイク置き場も完備していました。
野山北・六道山公園内にある里山民家
江戸時代の人々の暮らしぶりを垣間見ることができるかやぶき屋根の母屋
母屋の裏手には納屋がある
立派な蔵も再現
田んぼや畑なども管理されている
里山民家にはバイク置き場も完備
青梅街道に戻って、最後に向かったのはうどん屋さん。界隈は古くからうどんが名物で、いわゆる武蔵野うどんを提供する店が多くある。そんな中から武蔵村山の『満月うどん』で地場産のうどんを食べることにしたのです。午後の遅い時間でしたが、人気店らしく、住宅地の中にある満月うどんの店先には何人かが列をなしていました。15分ほどで店内に案内され、さっそくつけ汁うどんを注文。具だくさんのつけ汁に、ちょっと黒っぽい太めでコシの強いうどんを付けて食べるのだが、歯ごたえがあるのでかなり満足感が高いと思いました。リピーターになるかも?
武蔵村山の住宅地にある人気店『満月うどん』
注文したのはきのこつけうどん。太くてコシの強い武蔵野うどん
 爽快な眺めが楽しめる2つの湖と、希少なダート道、そして江戸情緒あふれる里山風景と名物うどんが味わえた今回のゆるカブツーリングは、想像していたより満足感のあるツーリングでした。走行距離は65㎞。使用したガソリンは1.2L。食事を含めて約1200円のプチ旅行でした。

キーワードで検索する

著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…