
多摩湖、狭山湖周辺は二輪車通行禁止ワインディングと二輪車通行可のダートが混在
西武線に乗って狭山スキー場や西武園遊園地に遊びに行っていたのは小学生の頃でした。中学生のときには狭山湖一周13㎞マラソンという大迷惑な学校行事で行きました。それがトラウマになったのかは定かじゃないですが、以後、多摩湖、狭山湖へ行楽で行くことはほとんどありませんでした。ましてやツーリングの目的地にしたこともありませんでした。そんな狭山丘陵に毎年のように出かけるようになったのは、便利な足として原付2種に乗るようになってからです。高速道路が利用できないので、下道で気軽に行けるエリアとして再認識したという次第です。
春の陽気に包まれた日、狭山丘陵へとスーパーカブで向かうことにしました。まず最初に訪れたのは、東京都東大和市にある多摩湖。多摩湖通りという湖を周回する道路が通っているのですが、ほとんどの区間が二輪車通行禁止。ワインディングになっているので70~80年代に走り屋、いわゆるローリング族ってやつがバオバオ走り回って騒音をまき散らすは事故は起こすはで多大な迷惑をかけた結果、二輪車は通行できなくなってしまったのです。当時と今とでは様相が変わったのですが、時代錯誤の規制がいまも生きているということです。日中は狭山公園の駐車場までは行けます。一応駐輪できるスペースがあるのでそこにスーパーカブを止めて、堰堤上を歩いて行きました。堰堤の西側に湖が広がっていて、なかなか気分爽快な眺めです。円柱形の取水塔が風景にアクセントを付けています。またプロ野球西武ライオンズの本拠地ベルーナドームも遠望できます。
のんびりと景色を堪能した後、多摩湖通りで来た道を戻り、西武多摩湖線武蔵大和駅近くで赤坂道へと進みます。狭山公園の東側を通り、埼玉県所沢市に入り西武園遊園地に突き当たったところを左折して、堰堤の北側を北に山口城址通りを進みます。山口交差点で左に県道55号線をたどりしばらく行くと、狭山湖の堰堤下に突き当たります。狭山湖は所沢市に属しています。狭山湖駐輪場にスーパーカブを止め、遊歩道で堰堤を上ってみました。上り坂と階段でけっこう疲弊したところで堰堤上に到着。ベンチに腰かけて足腰の痛みが取れるまで湖を眺めたのでした。
再びスーパーカブに跨り、狭山湖通りから狭山湖北側を走る狭山湖外周道路に入る。しばらく走ると舗装は途切れ、ダート路となります。外周道路はここから5㎞弱、ずっとダートが続くのです。湖を眺めるポイントはなく、ずっと森の中を走ります。この森はスタジオジブリの「となりのトトロ」の舞台のひとつになったといわれていて、トトロのふるさと基金のトラスト取得地を「トトロの森」として保全しているのです。
途中から車のすれ違いが困難な狭さとなるので、一段とペースを落として走ります。車が入ってくることはほとんどないのですが、自転車やハイカーに会うことが多いので、無茶な走り方は禁物です。路面は轍もほとんどなくフラットなダートなので、スーパーカブでも気分よくオフロード走行が楽しめます。
2㎞ほど行ったところで右に分かれる舗装路に出くわします。その道をたどって行くとすぐに視界は開け、目の前にベンチが設えられた小高い丘が現れます。ここが所沢の最高所である比良の丘です。周囲は牧場と茶畑が広がっていて、所沢の市街地を見晴らします。比良の丘は地元では有名な絶景スポットで、夏にはひまわりが一帯を黄色に染め上げます。
そんな絶景を目当てに休日にはたくさんの人が来ますから、訪れるなら平日がおススメです。この日も数台の車が訪れていました。実は比良の丘へは市街から舗装路だけでアクセスできるのです。

狭山湖外周道路、通称狭山湖林道を再び西へ向かって走り、3㎞ほど行った石畑給水所でダートは終了。ここから南側は瑞穂町と武蔵村山市に跨る野山北・六道山公園となります。公園内の道を東に進むと、六道山公園展望塔があります。せっかくなので上ってみました。屋上からは東、南、西側の景色を眺めることができます。
石畑から学校通りを南に下り、青梅街道を経て里山民家へ行ってみました。ここは野山北・六道山公園内の施設のひとつで、江戸時代の家屋を再現した萱葺き屋根の里山民家があります。母屋をはじめ蔵、納屋、作業小屋などが再現されていて、文字どおり江戸時代にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。周囲には田んぼや畑などもあり、昔の里山風情を楽しめます。さらにうれしいことに、バイク置き場も完備していました。

青梅街道に戻って、最後に向かったのはうどん屋さん。界隈は古くからうどんが名物で、いわゆる武蔵野うどんを提供する店が多くある。そんな中から武蔵村山の『満月うどん』で地場産のうどんを食べることにしたのです。午後の遅い時間でしたが、人気店らしく、住宅地の中にある満月うどんの店先には何人かが列をなしていました。15分ほどで店内に案内され、さっそくつけ汁うどんを注文。具だくさんのつけ汁に、ちょっと黒っぽい太めでコシの強いうどんを付けて食べるのだが、歯ごたえがあるのでかなり満足感が高いと思いました。リピーターになるかも?
爽快な眺めが楽しめる2つの湖と、希少なダート道、そして江戸情緒あふれる里山風景と名物うどんが味わえた今回のゆるカブツーリングは、想像していたより満足感のあるツーリングでした。走行距離は65㎞。使用したガソリンは1.2L。食事を含めて約1200円のプチ旅行でした。