レースマシン「Z900RS MORIWAKI改」は世界GP500cc王者・ワイン・ガードナーを育てた“モリワキZ”の血統を継承【東京モーターサイクルショー2025】

ワイン・ガードナーを育てた名機「モリワキZ」の熱いスピリットを継承したZ900RS MORIWAKI改。同車はHSR九州で開催の鉄フレームバイクで争われるロードレース「鉄馬」の最高峰クラス『アイアンスポーツエキスパート』に参戦するために製作された生粋のレースマシン。
2025年3月28日(金)~30日(日)の3日間、東京ビッグサイトにて開催された国内最大級のモーターサイクルイベント「第52回 東京モーターサイクルショー」では、ロードレースでも活躍する「モリワキエンジニアリング(以下モリワキ)」が約20年ぶりに出展。写真のレースマシン「カワサキZ900RS MORIWAKI改」はバイクブーム真っ盛りの1980年後半、世界GP500ccクラスの王者に君臨したワイン・ガードナーを育てた“モリワキZ”の血統を継承。モリワキZと併せてご紹介しよう。
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
モリワキエンジニアリング https://www.moriwaki.co.jp/

モリワキZ(モリワキ スーパー1000) ベース車両:カワサキZ1000

東京モーターサイクルショー2025の「モリワキ」ブースの壇上に堂々と展示された、伝説のモリワキZ(モリワキ スーパー1000)。

1981年、モリワキは「モリワキZ(モリワキ スーパー1000)」で全英選手権(ドニントンパーク)に参戦。ライダーは当時まだ無名だった、のちにロードレースの最高峰・世界GP500ccクラスチャンピオンとなるワイン・ガードナー(オーストラリア)。このレースでは、ヤマハYZR500を駆る世界GP500ccチャンピオン(1976年/1977年)のバリー・シーン(イギリス)と最終ラップまで壮絶なトップ争いを展開。惜しくも2位となったモリワキZは、“モリワキ”の名を世界に知らしめるとともに、ワイン・ガードナーをスターダムにのし上げるきっかけをつくった。

同車はカワサキZ1000をベースに、モリワキが独自にチューニングした生粋のレースマシン。Z1000が持つ潜在能力を極限まで引き出し、メーカーのワークスマシンと互角に渡り合える速さと強さ発揮した。

エンジンはピストンやカムシャフトなどにモリワキ独自のチューニングを施し、最高出力150馬力オーバーを獲得。ハイパワー化に伴い、フレームは自社製のクロモリパイプを採用。超ハイグリップのスリックタイヤに合わせ、アルミキャストホイール、スイングアーム補強、リヤショックのレイダウンマウントなど、足周りも徹底強化済みだ。

月刊モトチャンプ誌より(1990年5月号)。写真左はモリワキ製モナカマフラーを装着したカワサキ・ゼファー400。

カワサキ Z900RS MORIWAKI改

バックステップ、アンダーカウル、クリアスクリーン、ステムキット、シングルシートキット、スタビライザー付きアルミスイングアームなど、市販のモリワキ製パーツも随所に導入。各パーツの詳細はモリワキの公式WEBサイトをチェック!
前後ホイール径はノーマルと同寸の17インチに設定し、軽量かつ強靭なOZレーシングのGASS RS-A ブラックアルマイトに変更。サイズはフロント3.50-17、リア5.50-17。
マフラー(プロトタイプ)はダウンタイプながら極限までバンク角を稼げる縦長&薄型サイレンサータイプを装着。
タイヤサイズはフロントが120/70-17(ノーマル同寸)、リアが180/60-17(ノーマルは180/55-17)。

伝説の名機・カワサキZ1の登場から45年後の2018年。Z1の血統を受け継いだZ900RSが誕生。カワサキZはモリワキのレース史を語る上で、欠かすことのできない1台だ。

写真のZ900RS MORIWAKI改は、HSR九州で開催の鉄フレームバイクで争われるロードレース「鉄馬」の最高峰クラス『アイアンスポーツエキスパート』参戦用に製作されたレースマシン。

モリワキ伝統の匠のワザと最先端のモノづくり技術の融合により、自社パーツ&他社パーツを組み合わせてエンジン、フレーム、足周りを大幅にチューニング。2021年には森脇尚護(現代表取締役会長)のライディングにより、「1’04.276」のコースレコードを記録(この記録は2025年3月現在、破られていない)。Z900RS MORIWAKI改には、モリワキZの熱いスピリットが脈々と息づいている。

主要スペック

商品名称メーカー備考
排気量1,043cc(ノーマルは948cc)
ラジエターKOYORADZ900RS/Cafe レーシングラジエター プロトタイプ
エンジンカバーGBレーシングオルタネーター2次カバー/クラッチ2次カバー/パルス2次カバー
フロントタイヤピレリDIABLO SUPERCORSA V4 (SC-1)120/70 ZR 17
リアタイヤピレリDIABLO SUPERCORSA V4 (SC-1)180/60 ZR 17
フロントサスペンションモリワキ×ナイトロンNTR TVT PROフロントフォークカートリッジキット
リアサスペンションモリワキ×ナイトロンRACE PRO(商品名未決定)
前後ホイールOZレーシングGASS RS-A ブラックアルマイト 3.50-17/5.50-17
前後ホイールベアリングSTMOZレーシングホイール用
エンジンオイルShellADVANCE4T ULTRA 10W-40
レバーガードFULLSIXドライカーボン製(繊維)
ハンドルグリップdominoA450 レーシングタイプ ブラック×ブルー
ハイスロットルdominoハイスロットルキット
前後ブレーキホースSPEEDBRAKES汎用
前後アクスルシャフトKOODZ900RS/Cafe用
ステムシャフトKOOD
チェーンDIDZVM-X(520) ※STDの525から520へコンバート
スパークプラグNGKCR9EDX-S
スプロケットISAOZホイール用
バッテリーSHORAIリチウムイオンバッテリー(LifePO4)
チームウェアBURTLE480 フーディージャケット/715 ボタンダウンポロシャツ/9503 ストレッチパンツ

戦績(リザルト)

鉄馬(アイアンスポーツエキスパートクラス) ※HSR九州にて開催の鉄フレームバイクで争われるレース

2020年鉄馬 with β TITANIUM 予選4位/セミファイナル DNF/ファイナル5位 ライダー:森脇尚護
2021年鉄馬 with β TITANIUM 予選1位/セミファイナル 1位/ファイナル1位 ライダー:森脇尚護
※鉄馬コースレコードでポールポジション
2022年鉄馬 with β TITANIUM 台風により開催中止
2023年鉄馬 Festival with β TITANIUM 予選1位/決勝1位 ライダー:森脇尚護
2024年鉄馬 Festival with β TITANIUM 予選1位/決勝1位 ライダー:渡辺一樹
鉄馬 with β TITANIUM 予選1位/セミファイナル1位/ファイナル1位 ライダー:森脇尚護
モリワキが造ったモンスター!魔改造! KAWASAKI Z900RS MORIWAKI改!#KW26

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