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青い海と深い緑が広がる、海と山が表裏一体となった秘境


鹿児島市から約380km離れた鹿児島県の離島・奄美大島。日本の離島の中では新潟県の佐渡島に次ぐ広さを持ち、島の大部分が山岳で平地が少ないのが特徴。島は奄美市、瀬戸内町、龍郷町、大和村、宇検村で構成。
奄美大島の総面積は約712km2(平方キロメートル)。奄美大島をよく知らない人は、地図で見ると小さな島をイメージしがちですが、東京23区は約620km2、琵琶湖は約670km2、兵庫県の瀬戸内海にある淡路島は約592km2。つまり奄美大島は結構大きな島です。
島一周の距離は約460km。バイク(50ccの原付を除く)の場合、北部から南部までの縦断時間は片道2時間くらい。 単純に往復するだけでも4~5時間かかります。一般道のみで高速道路はありません。
たとえば一切寄り道せずにバイクで島を1周するには、時速40km/hで走行した場合、単純計算で10時間弱。なので「有名な観光スポットは押さえておきたい」という場合は、最低でも2泊3日は滞在したいところです。
奄美大島は青い海とマングローブ等の深緑が広がる、一言でいえば、海と山が表裏一体となった場所。2021年7月26日、奄美大島を始め、徳之島、沖縄島北部及び西表島の大自然は世界自然遺産に登録されました。
奄美大島は江戸時代末期、薩摩藩の西郷隆盛が島流しにされ、龍郷地区に潜居を命じられて3年余りを過ごした場所。NHKの大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」で取り上げられたことでも有名です。当時彼の住んでいた木造家屋は現存されており、県指定文化財「西郷南洲流謫跡 (さいごうなんしゅうるたくあと)」として、勝海舟の揮毫(きごう)による石碑や縁の品と一緒に公開中(見学には入場料が必要)。



各ビーチの違いを体感! これも奄美大島ツーリングの醍醐味

観光の観点から奄美大島を大きく分けると、北部・中部・南部の3つ。北部には美しいビーチが点在し、中部に市街地や主要港、南部は主にリアス式海岸(北部ほど多くはないがビーチもあり)。そして島すべての中ほどに山があるイメージ。
島は太平洋と日本海に面するとともに、所々で入り組んだ湾になっており、ビーチや沿岸部の顔はそれぞれ大きく異なります。ビーチの場合、太平洋や日本海に直接面した海はけっこう波があり、引き潮に両足が持っていかれるほど。
一方、入り組んだ湾は波も穏やかで、波音もなく非常に静か。のんびり、まったり過ごしたい人は、湾沿いに投宿してみるのもおすすめ。
ただし共通しているのは、どの海も絶景といえる、奄美大島独特のエメラルドグリーンであること。筆者は4月に3日間訪れましたが、1日目は晴れ時々曇り、2日目は曇り時々晴れ、3日目は雨のち曇り。ただし3日間とも海の色は、どこもエメラルドグリーンで、雨の日もどんよりと濁ることはありませんでした。
奄美大島のビーチは場所によって砂の粒子の大きさ、石の大きさ、また岩肌の見え方が異なるのも面白いところ。各ビーチに出向き、その違いを体感してみるのも奄美大島の醍醐味でしょう。
真緑のカリフラワーを眼前に突き付けられたような、眼に迫る圧倒的な立体感

奄美大島の山々の緑と風景はとにかく深い。たとえるならば、巨大な真緑のカリフラワーを無数に並べ、眼前に突き付けられたような、眼に迫る圧倒的な立体感。本土の山々とは明らかに存在感の異なる、驚異的な深緑が特徴。この迫力を目の当たりにした瞬間、世界自然遺産に指定されたことが瞬時に納得できるはず。
マングローブを切り開いた道路の両脇には、成人男性の上半身(もしくはそれ以上)ほどの巨大なシダ類が生い茂り、南国ムードを演出。奄美大島でしか見ることのできない、生まれて初めて見る花にも遭遇しました。
島内一周等のロングツーリングならば125ccクラス以上がスムーズ

道路は市街地や登坂車線を除き、基本的に片側1車線。きちんと整備された内地の道路と変わりなく、舗装状況も良くて非常に走りやすい。
ただし市街地を除き、全般的に交通量は少なめなせいか、地元のクルマはゴキゲンな感じて結構飛ばします。筆者はカーブが続く山間地の峠道において、地元民が乗る軽のワンボックスカーに、登坂車線に差し掛かった瞬間、一瞬にしてスルーされました(その後はついていくのが怖く、ご安全に! と見送った)。
奄美大島には海に背を向けるようなシチュエーションで豊かな山々が屹立し、坂道の続く道路も多数。なのでたとえば島の一周などロングツーリングする場合、筆者のような50歳を超えた気力・体力の衰えたオジサンは、50ccの原付はキツイと感じるかも。
島内での近距離移動や、長距離をのんびり走りたい人。また気力・体力に自信のある人は50ccもアリでしょうが、「ストレスなくスムーズに走りたい」ならば、125ccクラスの原付二種以上は欲しいところ。このあたりは本土を走る感覚と変わらないかな?
奄美大島ツーリングにオススメの季節は?
過去3年間の天気をチェックしてみるべし!

亜熱帯の奄美大島は年間を通じて天候が変わりやすく、しかも雨の多いエリア。5月中旬頃に梅雨入りし、梅雨明けは6月下旬~7月上旬。この時期は雨が降る確率が極めて高いので、旅行は避けたほうがベターかも。また梅雨や夏季は本土よりも湿気が高いので、熱中症にはくれぐれも注意(山間部は毒蛇のハブにも注意)。
雨の多い奄美大島ですが、もしも学生さんなど旅行日の決定に自由度が高いならば、ネットで公開されている「奄美大島・過去の天気」で向こう3年間程度の天気をチェックしてみるべし。3年間晴マークが出ている日にちにターゲットを絞れば、統計学上、天候に恵まれる可能性が高まります。
奄美大島の年間/月の平均気温
月 | 奄美渡島 | 東京 |
年間平均気温 | 21.8℃ | 15.8℃ |
1月 | 15.0℃ | 5.4℃ |
2月 | 15.3℃ | 6.1℃ |
3月 | 17.1℃ | 9.4℃ |
4月 | 19.8℃ | 14.3℃ |
5月 | 22.8℃ | 18.8℃ |
6月 | 26.2℃ | 21.9℃ |
7月 | 28.8℃ | 25.7℃ |
8月 | 28.5℃ | 26.9℃ |
9月 | 27.0℃ | 23.3℃ |
10月 | 23.9℃ | 18.0℃ |
11月 | 20.4℃ | 12.5℃ |
12月 | 16.7℃ | 7.7℃ |
月別による奄美大島の気候の特徴
年間 | 奄美地方の気候は一般的に亜熱帯海洋性気候と呼ばれ、暖かい海に囲まれているため四季を通じて温暖多湿、年平均気温は20℃を超えます。 降水量は多く、奄美市名瀬の年間降水量の平年値は2800mmを超え、また、年日照時間の平年値は全国的に見ても少なく、1332.1hです。 |
1 月 2 月 | 奄美では朝晩でも10℃以下となる日は少なく、この時期には大陸からの寒気により東シナ海の海面上で次々と発生する対流雲が流れ込み、断続的に雨や曇りとなる日が多く日照が少なくなります。本土では珍しい緋寒桜(ひかんざくら)が咲くのもこの頃です。 |
3 月 4 月 | この頃から奄美の毒蛇ハブの活動に適した気温となってきます。奄美でも本土と同じく黄砂が観測されることがあります。 |
5 月 6 月 | 奄美地方の梅雨入りは、本土よりおよそ1ヶ月ほど早く、平年の梅雨入りは5月12日ごろ、梅雨明けは6月29日ごろです。6月の梅雨最盛期には、太平洋高気圧縁辺から暖かく湿った空気が流れ込み激しい雨となることがあります。 |
7 月 8 月 | 梅雨明け以後は晴天の日が多く、台風が来なければまとまった雨はありません。ただ、日射の影響で地面が熱せられ、その熱によって上昇流が発生し、その上昇流から作られる積乱雲が局地的で激しい雨をもたらすこともあるので注意が必要です。最高気温は連日30℃を超え真夏日となり、夜間も熱帯夜となります。 |
9 月 10 月 | 7、8月からこの頃までは台風が接近することがあり、動向には十分注意が必要です。9月は残暑が厳しく未だ真夏日となる日が多いですが、10月に入ると朝晩は20℃以下となる日もでてきます。 |
11 月 12 月 | 11月になると北風が卓越するようになり、ようやく最高気温が25℃以上の夏日となる日が少なくなってきます。12月になるとさらに気温も下がり、比較的乾燥する様になります。 |