ホンダ・モンキーを中心に同型の横型エンジン搭載車とオーナーが参加する「モンキーミーティングin多摩」。当初はホンダが運営する遊園地「多摩タック」で開催されたが、同園の閉園とともに会場を東京サマーランド駐車場へ移しての開催となった。そして2025年4月27日、17年目を迎えた「第17回モンキーミーティングin多摩」が開催された。

ご存知のようにホンダ・モンキーは多摩テックでの児童用遊具として開発された乗り物が始祖。スーパーカブのエンジンを用いた超小型バイクで、これをもとに市販化したのが1961年発売のモンキーZ100だ。前後ともリジッドサスペンションの簡素な機構だったが、海外では子供用としての需要が高く人気モデルとなり国内でも市販化が決まる。

その後モンキーは前後ともにサスペンションを備える本格的なバイクとして成長を続け、1970年代にはミニバイクレースでも活躍。するとカスタムマシンのベースとしても注目が集まり、4MINIと呼ばれるカスタム&チューニングマシンとして大人気を獲得する。こうしたモンキー事情を背景に、カスタムされたモンキーとそのオーナーが集まる場を提供しようと始まったのが「モンキーミーティングin多摩」なのだ。当初の会場が「多摩テック」だったのは、モンキー発祥の地でもあるからなのは言うまでもない。
2025年で17回目を迎えた当イベントはホンダモーターサイクルジャパンの協力のもと、カフェカブパーティを主催する中島好雄さんによる主催で続けられた。中島さんは常々「2輪文化」の定着と継承を訴え、手弁当によるミーティングを開催している。それは中島さんが中学生だった頃に多摩テックが開園され、電車を乗り継ぎ会場へ向かって初めて乗ったスーパーカブから受けたインパクトが原点。以来、スーパーカブを始めとするホンダ横型エンジン搭載車のミーティングをライフワークとされているのだ。

「モンキーミーティングin多摩」もその一環として開催を続けてきた。会場にはノーマル車から原型を留めないほどカスタムされたモンキーたちが大勢集まり、4MINI人気を牽引してきた。昨今ではスーパーカブ系が人気の中心になったような印象が強かったが、まだまだモンキー人気は健在。というのも17回目にして参加台数が550台を超えるほどの盛況ぶりだったのだ。

イベントの特徴としてはホンダモーターサイクルジャパンによる新型車試乗会やウエルカムコンサートを皮切りに、午後1時から開催されるトークショーの「バイクフォーラム」が続くこと。バイクフォーラムは2輪文化を啓蒙するための催しで、毎回続けられてきた。今回はホンダテクニカルカレッジ関東校の学生たちを招いて、参戦を続けるHondaエコマイレッジチャレンジへの取り組みについてがテーマとなった。2024年から植物由来であるカーボンニュートラル燃料を用いるクラスが設けられたHondaエコマイレッジチャレンジは、1Lの燃料でいかに長い距離を走行できるかを競う競技。燃費に優れるホンダ横型エンジンを用いることが定められ、すでに40年以上続く歴史ある大会。実に「本田宗一郎杯」を掲げる唯一の競技でもあるのだ。

ガソリンエンジンがいつまで続くのかは不透明ながら、将来の姿としてバッテリーによるEVだけでなくカーボンニュートラル燃料は注目すべき素材。この燃料であれば従来の内燃機関が存続できることから、これまで生産されたマシンを未来へ継承することができる。すでに2輪レース用の燃料としても定着しており、今後どれだけ市販車への対応が可能かがポイントになることだろう。

モンキーミーティングへ参加するには事前エントリーと参加費が必要。だが、参加者にはフリードリンクやランチサービス、さらには記念Tシャツ(上写真の左)が配布される。それでいて16歳以上が3000円、15歳以下2000円なのだから1日楽しめることを考えたら安いもの。当日参加も認められるが、ランチなどは数に限りがあるため事前エントリー優先になる。

会場の主催者ブースではモンキーやホンダにまつわる様々なグッズも販売されている。モンキーファンなら衝動買いしてしまうような品が数多く並んでいるので、財布の紐の緩み過ぎに注意が必要。また会場へは自走参加を推奨しているが、トランポによる参加も認められている。その場合、駐車料金として参加費とは別に1000円が必要になる。

バイクフォーラムに続いては恒例のじゃんけん大会が始まる。協賛企業や主催者が用意した素敵な景品を求めて参加者が大勢参加する。参加費以上の景品まで用意されているから、参加しない手はない。

じゃんけん大会に続いては、参加者が投票する人気コンテストが開催される。各賞が用意され、カスタム車だけでなく遠来賞や最年長賞、最年少賞まで幅広く表彰される。もちろん各賞に景品が用意されている。

小さなモンキーであれば自分のマシンをステージに上げて表彰してもらえるところも好評な理由。精魂込めてカスタムされた労が報われるというものだ。

それでは以後、コンテスト表彰者たちの写真を掲載しよう。


ここで上写真右の石渡和史さんのマシンを以下に紹介したい。ベースは2012年式のモンキー125(JB03)で、実は2024年のモンキーミーティングでも表彰された経歴の持ち主。前回からすでにSP武川製のボアアップキットにより145ccにまでエンジンをチューニングされていたが、表彰の副賞であったタイヤを生かすためさらにカスタムを進めたという。

にわかにJB03とは気付けないほどカスタムが施された石渡さんのモンキー125。ボアアップキットと合わせてマフラーもSP武川製を選んでいる。

145ccへのボアアップ以上に赤くアルマイト処理されたボルトやカバー類が存在感を引き上げているエンジン。エンジンの上にあるホーンには「さる」の文字と猿の絵が描かれたカバーまで装着され、遊び心満点なのだ。

景品だったタイヤを生かすため、今回は新たにOVERレーシングのホイールまで新調している。無料のタイヤなのに高価な買い物となってしまったわけだが、それも笑顔で済ませてしまう石渡さんにはモンキー愛が感じられた。

ホイールだけでなくリヤショックとスイングアームまで新調している。リヤショックはオーリンズ製で、スイングアームはOVERレーシング製。無料のタイヤを生かすために50万円以上も投資しているのだ!


最後に紹介するのは人気投票1位になったZ100のオーナー。実は77歳で最年長賞も同時に受賞された。10代から70代まで、幅広い年齢層にファンを持つモンキーの底力に改めて感心させられた1日となった。