『イーグルデイ』ってなんですか? V7スポルト日本初公開!雨の箱根で開催されたモト・グッツィのイベントに行ってみた。【モト・グッツィV11スポルト オーナーズレポートvol.2】

2025年5月17日(土)、風雨吹き荒ぶ箱根の山頂で『MOTO GUZZI EAGLE DAY JAPAN 2025』が開催された。例年ならモト・グッツィを中心に数百台のバイクが集まるこのイベントだが、今回は悪天候のためバイクの来場者はまばらだった。しかし、その分、集まったファンのひとり当たりの熱量は大きく、例年に負けない盛り上がりを見せていた。
REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

箱根で『MOTO GUZZI EAGLE DAY JAPAN 2025』が開催

2025年5月17日(土)、ピアッジオグループジャパンは、モト・グッツィのファンイベント『MOTO GUZZI EAGLE DAY JAPAN 2025』を箱根ターンパイクにある「アネスト岩田スカイラウンジ」にて開催した。

『MOTO GUZZI EAGLE DAY JAPAN』は、現存するイタリア最古のオートバイブランドとして知られるモト・グッツィの世界観を体感してもらうため、オーナーはもちろん、それ以外のライダーが気軽に集まれる場として年に1度開催しているイベントだ。例年のプログラムとしては、最新モデルの試乗会、グッズ販売、グッツィ・カフェ、スペシャルゲストを招いてのトークショーなど充実したコンテンツが用意される。

雨ニモマケズ風ニモマケズ集まった熱心なモト・グッツィファン

しかし、当日は地域によっては大雨注意報が発令されるというあいにくの天気。箱根の山頂は横殴りの雨と風で嵐のようだった。このような天候では試乗会などの屋外コンテンツが中止になることはやむを得ず、イベントはアネスト岩田スカイラウンジ2Fにて規模を縮小してインドアのみのイベントとして開催されることになった。

悪天候のため『MOTO GUZZI EAGLE DAY JAPAN 2025』は、アネスト岩田スカイラウンジ2Fのみを使用したインドアイベントとなった。

筆者も自慢の愛車であるV11スポルトでの参加は早々に見送り、クルマで参加することにした。同じようにバイクでの参加を諦めた人が多かったのか、クルマ用駐車場はそれなりに埋まっている。やはり、バイクもイタリアンならクルマもイタリアンというオーナーが多いのか、駐車場にはアルファロメオやフィアット、アバルトなどのイタリア車の姿が目立つ。

筆者のモト・グッツィV11スポルト。

いっぽう、例年なら数百台のバイクが並ぶバイク駐輪場だが、悪天候ということもあり、この日は閑散としていた。だが、雨ニモマケズ、風ニモマケズで来場した数台のバイクが駐輪していた。

イベント当日のアネスト岩田スカイラウンジ周辺は、嵐のような強風と強い雨だったが、それでもバイクで来場した猛者が……。

その中には1965年にデビューした貴重な初代V7の姿もあり、今回バイクで参加したモト・グッツィのオーナーは相当気合の入った猛者揃いのようだ。これにはモト・グッツィの個性となっている縦置きV型エンジンによる直進安定性の恩恵によるものかもしれないが……。

1965年に登場の初代V7。この悪天候の中を希少なビンテージバイクで来場したオーナーの心意気に感動を覚えた。まさしく漢である。
水冷Vツインを縦置きしたモト・グッツィの最新ツアラー、V100マンデッロ。写真の車両はイタリア海軍航空部隊の創立110周年を記念して生産された限定車のアヴィアツィオーネ・ナヴァーレ。空母カブール搭載のF-35Bをモチーフにしたペイントが特徴だ。
モト・グッツィのアドベンチャーバイク・V85TTは旅バイクとして人気のモデル。トップケースのほか、オプションでパニアケースも用意される。

なお、ピアッジオグループジャパン・マーケティングの河野僚太氏によると、この日バイクで来場したのは20人弱。V7のほかにもル・マンIIIなどの旧車で来場したライダーや、遠く九州から自走でやってきた参加者もいたのだとか。

「イタリアンバイクはガソリンを燃やして走るのではない。オーナーの熱い情熱を燃やして走るのだ」との言葉を地で行く人がモト・グッツィのオーナーには多いらしい。

少し離れた場所に駐車していたハーレー・ダビッドソン・スポーツスター。モト・グッツィ以外のバイクでの来場ももちろんウェルカムだ。
イベントにKTMデュークで参加したライダーもいた。

エンジン単体の展示に参加者は興味津々

展示車のV7ストーン・コルサの前で談笑するイベント参加者。

イベント会場となったアネスト岩田スカイラウンジ2Fには、最新型のV7スポーツ(日本初公開)とV7ストーン・コルサの2台が展示されたほか、V7やV85TTに搭載される伝統の空冷Vツインのほか、V100マンデッロなどに搭載される水冷Vツインがエンジン単体で展示されていた。

V7ストーン・コルサ
V7スポーツ
V7ストーン・コルサ

聞けば、このエンジンはピアッジオグループジャパンがメカニックの教育用に使用する教材とのことで、「普段なかなか見ることができないエンジンの排気側をみなさんに見て頂きたく展示した」という。希少なエンジン単体の展示に来場者は熱心に見学していた。

V7やV85TTに搭載される伝統の空冷Vツインエンジン。
V100マンデッロなどに搭載される水冷Vツインがエンジン。

また、会場のステージ前に展示されたV7スポーツは、今年ラインナップに追加されたばかりのニューモデルで、一般へは初めてのお披露目となる。

会場に展示された2台のモト・グッツィのうちの1台が今回初公開となるV7スポーツだ。倒立フォークの採用など走りの資質を高めたモデルで、同社のスポーツモデルの伝統に則ってヴェルデ・レニャーノでペイントされていた。この色はもともとマン島TTなどの海沿いのコースで行われるレースで、無塗装のマシンを保護するプライマーの色に由来する。

縦置き空冷VツインエンジンをEURO5+規制に対応させ、新たに採用したライド・バイ・ワイヤシステムにより、ライディングモード、クルーズコントロール、ABS、トラクションコントロールを含む電子制御パッケージを充実させたほか、ダブルディスクブレーキや倒立フォーク、そしてIMU(6軸慣性プラットフォーム)の採用やライディングモード「SPORT」の追加など、専用装備によりスポーツ性を高めたモデルだ。
V7の最新バージョンということで会場でも注目を集めていた。

V7スポーツ
V7スポーツ

イベントの目玉となった河野正士さんと平嶋夏海さんによるトークショー

イベントの目玉は、1991年型1000Sを愛車とするモーターサイクル・ジャーナリストの河野正士さんとV7IIIレーサーのオーナーであるタレントの平嶋夏海さんによるトークショーだ。

モーターサイクルジャーナリストの河野正士さんと平嶋夏海さんによるトークショー。

この日はあいにくの天気となったが、河野さんは「降ったり止んだりの天気はカッパを着るか着ないかで悩むのでイヤなものだけど、雨の中を走るのは嫌いじゃない。水しぶきを上げて走るトラックの脇を通過するときは、スモークの中からバイクに乗った自分が現れるという非現実感があって好き」と意外な答えが飛び出した。

河野正士(こうの・まさし)
バイク専門誌の編集部において編集スタッフとして従事した後、フリーランスに。ファッション誌や情報誌などでライターとして記事を執筆しながら、さまざまなバイク専門誌にもライター・編集スタッフとして携わる。海外モーターサイクルショーやカスタムバイク取材にも出掛け、世界のバイク市場もウオッチしている。

また、平嶋さんは「モト・グッツィを買ってからソロツーリングに行く機会が増えたが、最近一周回って友達同士のツーリングの良さを再確認しています。インカムで会話をしながらのツーリングは、あっという間に目的地に着く」とモト・グッツィでの近況を語る。

続いて彼女は「今年のお正月に初日の出を見に愛車で出掛けたところ、目的地にモト・グッツィの人がいて嬉しくなった」とのエピソードを披露。それに対して河野さんは「30年前に比べてモト・グッツィの仲間が増えた」と述べた。

平嶋夏海(ひらじま・なつみ)
1992年5月28日生まれ、東京都出身のO型。アイドルグループ・AKB48の元メンバー(2012年2月に卒業)。2009年に多田愛佳、仲川遥香、渡辺麻友と共に派生ユニット・渡り廊下走り隊を結成し、シングル「初恋ダッシュ/青い未来」でデビュー。父の影響で自身も運転するバイク好きで『週刊バイクTV』のアシスタントを務めるなど、バイク関連の仕事も多い。愛称は“なっちゃん”。

毎年、イタリア・ミラノで開催されるEICMA(ミラノモーターサイクルショー)を訪れる河野さんは、現地でのモト・グッツィについても触れ「新旧問わずいろいろなモデルが街を走っている。それもピカピカに磨き上げられているのではなく、ごく普通に日常使いされている車両が多い」と語り、ヨーロッパのファンについても「ドイツのチューニングショップ『ラジカルグッチ』の関係者はムキムキマッチョで刺青を入れている人が多いが、話してみるとすごくいい人ばかりで、日本でグッツィに乗っているというとビールを奢ってくれた」と語る。平嶋さんは日本のジェントルなファンのイメージとの違いに驚いていたようだった。

会場で販売されたモト・グッツィの公式グッズ。

また、ふたりは会場で販売されていたグッズについても紹介。実際に着用しているお気に入りのアパレルとして、河野さんは革ジャンを、平嶋さんはTシャツを挙げた。モト・グッツィはガチガチのバイクギアも良いが、カジュアルなファッションでおしゃれに乗るのがオススメと話していた。

革ジャンやTシャツなどのアパレルも充実。
キャップなどのグッズ以外にもモト・グッツィの歴史書や記念切手(ポステ・イタリアーネの切手。日本国内では使用できない)などの販売も行われた。

楽しい時間はあっという間に終わり、午後2時にイベントは終了。この日は雨に祟られてしまったが、それでも多くのモト・グッツィファンが来場し、イベントは終始なごやか雰囲気の中で幕を閉じた。来年は天候に恵まれることを心から祈りたい。

サックス:右近茂さん、ピアノ:余嶋研一さん、ベース:日下部史貴さんによるJAZZトリオによるミニライブ。迫力ある生演奏に来場者からは万雷の拍手が飛ぶ。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…