目次
免許証の色によって区分や有効期間が分かる
まず、運転免許証にある帯の色には、それぞれ以下のような意味がある。
【グリーン免許】
・免許の区分:新規取得者
・有効期間:3年
・免許を受けてからの継続した期間:初めて
・違反や事故の有無:─

【ブルー免許・その1】
・免許の区分:初回更新者
・有効期間:3年
・免許を受けてからの継続した期間:5年未満
・違反や事故の有無:違反運転者講習の区分に該当しない
【ブルー免許・その2】
・免許の区分:違反運転者
・有効期間:3年
・免許を受けてからの継続した期間:─
・違反や事故の有無:違反が複数回またはケガのある事故
【ブルー免許 その3】
・免許の区分:一般運転者
・有効期間:5年
・免許を受けてからの継続した期間:5年以上
・違反や事故の有無:点数が3点以下の軽微な違反が1回のみ

【ゴールド免許】
・免許の区分:優良運転者
・有効期間:5年
・免許を受けてからの継続した期間:5年以上
・違反や事故の有無:無事故・無違反

上記のうち「有効期間」とは、免許を取得した日または前回の更新日から3回目もしくは5回目の誕生日を迎えるまでの年数のことを意味する。有効期間が3年の場合は、免許を取得した日もしくは前回の更新日から3回目の誕生日、有効期間が5年の場合は5回目の誕生日となる。
ただし、実際の有効期間は誕生日の1か月後までだ。たとえば、有効期間3年の運転免許を持つ人で、誕生日が6月20日の場合、免許を取得した日や前回の更新日から3回目の誕生日を迎える年の7月20日までが有効期間となる。
また、「免許を受けてからの継続した期間」とは、免許を取得した通算の経過年数ではないので注意しよう。たとえば、免許の有効期限が過ぎ、期限切れの手続きを行って免許を再取得した人は、再取得後の経過年数だけが対象となる。
さらに、免許証の帯の色と有効期限については、誕生日の40日前の日からさかのぼって5年間の交通違反やケガのある事故などの全ての点数が反映される。
そのため、たとえば、免許停止処分を終了した人が、1年以上無事故・無違反の場合は「前歴なし」とみなすなど、行政処分における一定の条件を満たせば、その後の点数を累積しない場合とは異なるので注意したい。

グリーンは初めて免許を取得した証
これら5つの区分のうち、グリーンの帯が付いた免許証は、初めて免許を取得した人が持つもので、3年間はこの免許証を使うことになる。
ただし、有効期間を迎える前に、ブルーの帯に変わる場合もある。たとえば、最初に4輪の普通自動車免許を取得し、1年経過しないうちにバイク免許を取得した場合などだ。
また、普通自動車免許を持っていない人でも、たとえば、初めての運転免許として原付免許を取得後、最初の更新手続きを迎える前に、普通二輪免許や大型二輪免許などの上位免許を取得した場合も同様。これらのケースでは、初めて免許を取得してから3年を経過していなくても、免許証の帯はグリーンからブルーに変わることになっている。

ブルー免許は違反や事故歴で3つの区分がある
一方、帯がブルーになっている免許証は、実は3つの区分に分かれていて、それぞれ有効期間や更新時に受ける講習の内容などが変わる。
上記【ブルー免許・その1】にある「初回更新者」とは、グリーン免許の新規取得者が、次に更新する際に違反や事故が違反運転者講習の区分に該当しない場合に与えられる区分のことだ。
ちなみに、違反運転者講習とは、免許証の有効期間満了日直前の誕生日の41日前から起算し、過去5年間に違反歴(3点以下の軽微な違反が1回のみを除く)、事故歴などがある人が受ける講習(70歳未満の人が対象)のことだ。つまり、グリーン免許の取得後3年間で無事故・無違反か、3点以下の軽微な違反1回のみの人が「初回更新者」となる。
【ブルー免許・その2】にある「違反運転者」は、違反が複数回あるか、またはケガのある事故を起こしてしまった人が対象。前述の通り、グリーン免許の新規取得者でも、免許取得後の3年間で、違反運転者講習の区分に入る場合は、違反運転者に区分される。
【ブルー免許 その3】にある「一般運転者」とは、継続して免許を受けている期間が5年以上、かつ3点以下の軽微な違反が1回のみの人が対象。免許証の帯は、初回更新者や違反運転者と同じブルーだが、有効期間は通常5年となる。

ゴールド免許は無事故・無違反の優良運転者
一方、ゴールド免許は優良運転者を意味しており、継続して免許を受けている期間が5年以上、かつ違反やケガのある事故を起こしていない人が対象となる。有効期間は通常5年だ。
ブルー免許の一般運転者と有効期間は同じだが、後述する免許更新時の講習について、時間がより短く手数料も安いのがゴールド免許。また、更新手続きは、運転免許試験場だけでなく、居住地にある最寄りの指定警察署などでもできるといったメリットもある。
ちなみに、ゴールド免許には、ほかにも、たとえば自動車保険の保険料が割り引きされるなど、お金の面で助かるさまざまな特典もある。
なお、ブルー免許の一般運転者とゴールド免許について、5年という有効期間は70歳未満が対象だ。70歳では有効期間4年、71歳以上では有効期間3年となる。近年、自動車のアクセル踏み間違いなどによる事故が社会問題となっている高齢者の場合は、たとえ無事故・無違反でも有効期間は短く設定されているのだ。

マイナ免許証の導入で変わった点
このように、免許証には主に5種類の区分があるが、2025年3月24日から導入された「マイナ免許証」により、なにか変更点はあるのだろうか?
運転免許証とマイナンバーカードを一体化したのが、いわゆるマイナ免許証。運転免許証のICチップに入っている免許固有の情報を、マイナンバーカードのICチップへ記録することで、一体化を図ったものだ。

マイナ免許証を取得するか否かは免許保有者の任意。マイナンバーカード自体の取得も任意なので、当然持っていない人もいるためだ。そして、運転免許証に関しては、以下3つの持ち方が可能となった。
1,「従来の免許証」だけの「1枚持ち」
2,「マイナ免許証」だけの「1枚持ち」
3,従来の免許証とマイナ免許証の「2枚持ち」
2を選んだ場合は、運転免許証とマイナンバーカードの2枚が1枚になるわけだから、ポイントカードやクレジットカードなど、持ち歩くカード類が多いことを面倒と感じている人にとってはメリットだといえる。ただし、この場合、外見はただのマイナンバーカードなので、従来の免許証のように帯の色で自分の免許区分はわからない。
そのため、自分の免許証について、種類や番号、交付年月日や有効期間などの情報を知るには、スマートフォンなどにインストールした「マイナ免許証読み取りアプリ」を使うか、「マイナポータル」のサイトにアクセスし、マイナ免許証と連携させるかのいずれかを行う必要がある。ちなみに、マイナポータルとは、マイナンバーカード取得者がアクセスできる行政手続のオンライン窓口のこと。運転免許証だけでなく、マイナ保険証、介護、税金など、様々な行政手続をオンラインで申請できるものだ。

ほかにも、マイナ免許証だけの「1枚持ち」で注意したいのが、もしマイナンバーカードを紛失した場合、再発行に手間や時間がかかり、ちょっと面倒になることだ。手続きは、まず市区町村役場でマイナンバーカードの再発行を受ける。その後、警察でマイナンバーカードのICチップに免許情報を記録するといった感じ。しかも、マイナンバーカードの再発行には原則として1週間程度はかかるといわれており、再発行されたマイナンバーカードに警察で免許情報を記録するまでは、バイクやクルマの運転はNG。もし、再発行前にバイクやクルマを運転すると「免許証不携帯」の違反となる。
一方、3の「2枚持ち」であれば、マイナ免許証の1枚持ちより不安は少ないといえる。どちらか1枚さえ持っていれば、再発行の手続き中も運転できることになるからだ(2枚とも紛失した場合はより面倒になるが)。ただし、たとえば運転免許証の更新時などに必要な手数料は、「1枚持ち」より「2枚持ち」の方が高くなる(具体的な価格などは後述する)。
そして、どの持ち方が自分にとってベストなのかは、これらを総合して判断する方がいいだろう。日常的にバイクやクルマを運転する必要があるのか、1枚にまとめて管理する方がいいのかなど、各個人の都合や状況、それに費用なども考慮して選びたい。
更新時のオンライン講習も開始
また、このマイナ免許証と同時に「オンライン更新時講習」も開始された。従来、運転免許試験場や指定警察署などで実施していた運転免許の更新時講習を、スマートフォンやパソコンを使い、自宅などで自分の都合のいい時間に受講できる制度だ。ただし、誰もが利用できるものではなかったり、更新手続きのすべてをオンラインではできないなど、注意点もいくつかある。
まず、このオンライン更新時講習を受講できる条件は以下の通りだ。
【オンライン更新時講習の受講条件】
・マイナ免許証の保有者(「1枚持ち」または「2枚持ち」の人)
・講習区分が「優良」または「一般」
・70歳未満(高齢者講習の対象外)

このように、オンライン更新時講習はマイナ免許証の取得が大前提で、対象者は「優良運転者」か「一般運転者」に限られている。「違反運転者」「初回更新者」、70歳以上の「高齢者講習」の対象者などは対象外で、これらの人たちは従来と同じように運転免許試験場などで対面の講習を受ける必要がある。
また、免許の更新時にオンライン講習を受けた場合も、適正検査や写真撮影、免許証交付といった更新手続き自体は、従来と同じく運転免許試験場や指定警察署などに行く必要がある。また、当然だが、オンライン更新時講習を受講しない場合も、講習受講を含めたすべての更新手続きは運転免許試験場や指定警察署などで行うことになる。

免許更新時の講習料や手数料も変わった
また、マイナ免許証やオンライン更新時講習の導入により、免許を更新する場合の手数料なども以下のように変更になっている。
【免許区分別の更新・講習手数料】
<優良運転者講習(ゴールド免許/講習時間30分)>
●従来の免許証の場合
対面講習:3350円(更新手数料2850円、講習手数料500円)
オンライン講習:3050円(更新手数料2850円、講習手数料200円)
●マイナ免許証(1枚持ち)の場合
対面講習:2600円(更新手数料2100円、講習手数料500円)
オンライン講習:2300円(更新手数料2100円、講習手数料200円)
●従来の免許証+マイナ免許証(2枚持ち)の場合
対面講習:3450円(更新手数料2950円、講習手数料500円)
オンライン講習:3150円(更新手数料2950円、講習手数料200円)
<一般運転者講習(ブルー免許/講習時間1時間)>
●従来の免許証の場合
対面講習:3650円(更新手数料2850円、講習手数料800円)
オンライン講習:3050円(更新手数料2850円、講習手数料200円)
●マイナ免許証(1枚持ち)の場合
対面講習:2900円(更新手数料2100円、講習手数料800円)
オンライン講習:2300円(更新手数料2100円、講習手数料200円)
●従来の免許証+マイナ免許証(2枚持ち)の場合
対面講習:3750円(更新手数料2950円、講習手数料800円)
オンライン講習:3150円(更新手数料2950円、講習手数料200円)
<違反運転者講習・初回更新者講習(ブルー免許/講習時間2時間)>
●従来の免許証の場合
対面講習のみ:4250円(更新手数料2850円、講習手数料1400円)
●マイナ免許証(1枚持ち)の場合
対面講習のみ:3500円(更新手数料2100円、講習手数料1400円)
●従来の免許証+マイナ免許証(2枚持ち)の場合
対面講習のみ:4350円(更新手数料2950円、講習手数料1400円)

このように、従来の免許証またはマイナ免許証の1枚持ち、従来の免許証+マイナ免許証の2枚持ちでは、それぞれ金額が違ってくるので注意したい。
また、たとえば、優良運転者が更新を行う場合、マイナ免許証のみでオンライン更新講習を受ければ、費用は最安の2300円。一方、従来の免許証とマイナ免許証の2枚持ちで、対面講習を受ける場合は3450円となり、同じ優良運転者でも更新費用が1150円も違ってくる。
このように、免許証の区分や更新時の手続きなどについては、新制度の導入により、注意点も多くなったといえる。しっかりとルールや制度を理解し、自分に合った方法を選ぶようにしたいものだ。