道路わきにある「自転車専用」レーン、 原付(原動機付自転車)は走ってもいい?

最近、市街地の道路などでよく見かけるのが、「自転車専用」という白い文字が入った左端の青いレーン(通行帯)。また、ほかにも、青いレーンこそないが、白色の自転車マークや矢印などが入っている道路や、交差点では青の矢印が入ったものもある。
いずれも、自転車に関するものだが、これらには一体どんな意味があるのだろうか? また、2輪車が通行した場合は違反になるのか? さらに、50ccなどの原付バイクは、正式名称が「原動機付自転車」だが、より排気量の大きい自動二輪車などと交通ルール上の違いはあるのだろうか?

REPORT●平塚直樹
PHOTO●平塚直樹、写真AC
*写真はすべてイメージです

青い「自転車レーン」はすべてのバイクが通行禁止

まず、青いレーンのなかに白で「自転車専用」という文字や自転車のマーク、矢印などを描いたタイプ。あれは「自転車レーン」などとも呼ばれるが、正式には「普通自転車専用通行帯」というものだ。

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「自転車専用」と書かれた青いレーンの例。正式には「普通自転車専用通行帯」という

これは、法規上で「自転車は必ずそこを走行しなければならない」と定められた車両通行帯のこと。そもそも自転車は、道路交通法上では「軽車両」に属するため、基本的には車道を走らなければならないのはご存じの通り。なかでも、このレーンがある道路では、自転車は基本的に通行帯に沿って左側通行をする必要がある(逆走はNG)。

では、普通自転車専用通行帯を二輪車、いわゆるバイクが走行できるのか? 答えはノーで、自動二輪車はもちろん、原付バイク(原動機付自転車)も走行すると「通行区分違反」となり、取締りの対象となる。

なお、もし違反して捕まると

・反則点数:2点
・反則金:二輪車7000円、原付車6000円

を科せられる。

レーンに入っても違反にならないケース

ただし、例外もある。たとえば

・道路外にある駐車場やコンビニなどの店舗に入るとき
・交差点で左折したいとき
・救急車など緊急自動車に一時進路を譲るとき
・道路の状況その他の事情でやむを得ない場合

といったケースでは、普通自転車専用通行帯に入ることが許される。

また、バイクやクルマは駐車も禁止。普通自転車専用通行帯に駐車すると「駐車禁止違反」で切符を切られる。

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普通自転車専用通行帯は、基本的にバイクやクルマは駐車も禁止

ただし、駐停車禁止区域でない限り、荷物の積み卸しや人の乗り降りなどの「一時的な停車」は可能だ。そのため、たとえば、デリバリーの原付スクーターが、荷物を届けるために短時間停車することなどは許される。だが、自転車側からみれば、停車しているバイクやクルマを避けるには、中央線よりに車線変更する必要があり、事故につながるケースもある。どうしても停車が必要な場合は、可能な限りすみやかに行う方がいいだろう。

白い「自転車マーク」は安全走行のための目印

一方、道路の左端にある白い自転車マークと矢印は「自転車ナビマーク」、交差点に入れられた青い矢印は「自転車ナビライン」という。

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自転車ナビマーク

前述の通り、自転車は公道を走る際、基本的にはバイクやクルマと同様に、車道を走る必要がある。そして、自転車ナビマークや自転車ナビラインは、自転車で道路を安全に走行するために通行すべき部分や進行すべき方向を示したものだ。

自転車ナビマークは主に直線路の道路左側に入っており、自転車は基本的にそこに沿って走行する。また、自転車ナビラインがある交差点では、たとえば2段階右折をする際には、青い矢印に沿って走行する。

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自転車ナビライン

ただし、これらは普通自転車専用通行帯と違い、法令の定めのない表示だ。そのため、必ず守らないといけないわけではない。安全に道路を走行するためのいわゆる「ガイドライン的な意味合い」なので、実際の通行に関して自転車は、法定または道路標識などの交通規制に従うことになる。

自転車ナビマークや自転車ナビラインをバイクで走るのは違反?

では、バイクやクルマが走行するのは違反になるのか? 答えはこれもノー。先に述べた通り、法律の定めがないマークであるため、基本的に違反にはならない。

特に、道幅が狭い道路に自転車ナビマークや自転車ナビラインがある場合、バスや大型トラックなど車幅が広いクルマは左側の前後タイヤをこれらレーンに入れないと走れないケースもある。だが、その場合、違反にはならない。また、一般の乗用車でも、左折する手前で道路の左端による際、これらマークやラインに入っても問題はない。

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バスや大型トラックなど、車幅の広いクルマは自転車ナビマークなどに入らないと走れない場合もある

一方、車体がよりコンパクトなバイクの場合。法規的にも通行は可能だし、たとえば、渋滞路では、クルマの橫を自転車ナビマークや自転車ナビラインに沿って走った方が早く進めると思う人もいるだろう。

だが、気をつけたいのは自転車と接触する危険性。自転車は、バイクと違い、ヘルメットの装着は努力義務だし、プロテクターなどを付けている人も少ない。もし、自転車がバイクと接触してしまうと、大けがをするなど重大な事故につながる可能性もある。そのため、バイクで自転車ナビマークや自転車ナビラインを走ることは、できるだけ避けた方がいいのではないだろうか。

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バイクで自転車ナビマークなどを走ることは違反ではないが、自転車の安全も考慮したい

なお、自転車ナビマークや自転車ナビラインへの駐停車も、駐停車禁止区域でない限りは可能だ。だが、普通自転車専用通行帯の場合と同様、駐車や停車しているバイクやクルマがあると、自転車はそれらを避けるために車線変更が必要となり、危険度が増す。あくまで私見だが、やむを得ない場合を除き、自転車ナビマークや自転車ナビラインがある道路で駐停車するのは、できるだけ避けた方がいいのではないだろうか。

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…