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ヤマハ創立70周年記念! 6年ぶりファクトリーチーム復活
ヤマハが2024年の鈴鹿8耐で6年ぶりにファクトリーチームを復活させる。創立70周年という記念すべき年に合わせ、同社のレーシングマシンのシンボルカラーであるホワイト&レッドを採用したYZF-R1を投入。チャレンジの象徴でもあるこのカラーリングで、再び鈴鹿の頂点を目指す。
このホワイト&レッドカラーは、1964年のロードレース世界選手権で初めて使用された歴史あるデザイン。1973年のWGP500初挑戦時に投入したYZR500(0W20)にも採用されるなど、ヤマハレーシングの象徴として長年愛され続けている。
今回のデザインは、1999年に発売された市販レーシングマシンYZF-R7のカラーリングをベースに制作。リデザインされたスピードブロックにより、1990年代後半の雰囲気と現代的なデザインワークを見事に融合させている。
豪華ライダー陣が伝統カラーをまとって参戦
今回の#21 YAMAHA RACING TEAMには、国内外のトップライダーが集結。日本のエース中須賀克行選手、MotoGPで活躍するジャック・ミラー選手、そして同じくMotoGPライダーのアンドレア・ロカテッリ選手という豪華3名が、伝統のホワイト&レッドカラーをまとって鈴鹿に挑む。
中須賀克行選手のコメント
「私のレース人生も長く、これまでヤマハにとっての節目に何度も立ち合い、伝統的なカラーをまとってレースに出場してきましたが、それは自分にとって大きな誇りでした」と語る中須賀選手。1999年のYZF-R7カラーでの参戦について「このカラーリングについては、好きだしカッコいいですよね! これまでにはない感じなので、このマシンで走ることを非常に楽しみにもしています」と興奮を隠せない様子だ。
一方で「このカラーに負けない結果を残していく必要があることから大きなプレッシャーも感じています」と、伝統の重みも十分に理解している。過去のファクトリー参戦時と同様に、結果にこだわる姿勢を強調した。
ジャック・ミラー選手のコメント
オーストラリア出身のミラー選手は「白と赤のカラーリングで鈴鹿8耐に参戦できるということで本当にワクワクしています」とコメント。ヤマハの創立70周年という節目でこのカラーで走れることを「本当に嬉しいこと」と表現している。
特に印象深いのは、1975年にアゴスチーニ氏がヤマハ初のWGP500チャンピオンを獲得した際のマシンが白と赤だったことへの言及。「こんなすばらしいカラーをまとって、鈴鹿8耐のようなレースに出られるのは、本当に大きな喜びです」と、伝統への敬意を示した。
吉川和多留監督が語るYZF-R7への思い入れ
チームを指揮する吉川和多留監督は、今回のデザインベースとなったYZF-R7について特別な思いを語っている。「YZF-R7は、それ以前のYZF750に続きレースで勝つためのベース車としてヤマハが開発してくれた特別な一台です」と振り返る。
吉川監督自身も開発に携わったYZF-R7は、初めてインジェクションを採用した車両でもあった。「全日本のシーズン前半は苦労しましたが、後半にはまとまってチャンピオンを獲れた思い入れのあるマシンです」と、当時の苦労と栄光を懐かしんでいる。
ファクトリーへの憧れが原動力
現在は監督として采配を振るう吉川氏だが、若い頃はライダーとしてファクトリーチームへの憧れを抱いていた。「白と赤のカラーリングとスピードブロックを使うファクトリーに大きな憧れがあり、いつかはファクトリーに入ってチャンピオンを獲るぞと、モチベーションを高めていた」と当時を振り返る。
その憧れのカラーで監督として鈴鹿8耐に挑む今年、「このヤマハ伝統のカラーに恥じないよう、しっかりとトップ争いに絡んで優勝を目指します」と力強く宣言した。
ピット全体をホワイト&レッドでトータルコーディネート
今回のファクトリー復活では、マシンだけでなくチーム全体でホワイト&レッドカラーを展開。3名のライダーのレザースーツ、全チームスタッフのピットシャツ、さらにはピットガレージまで含めて、トータルコーディネートを実施する。
このこだわりは、ヤマハがいかに今回のファクトリー復活に本気で取り組んでいるかを物語っている。視覚的にも圧倒的な存在感を示し、ライバルチームにプレッシャーをかける狙いもありそうだ。
1964年から続くヤマハレーシングの伝統
ヤマハのホワイト&レッドカラーの歴史は古く、1964年のロードレース世界選手権での初使用から60年の歴史を誇る。1973年のWGP500初挑戦、1975年のアゴスチーニによる初タイトル獲得など、数々の名場面でこのカラーリングが活躍してきた。
特に1990年代後半のYZF-R7時代は、全日本選手権やスーパーバイク世界選手権で多くの勝利を重ね、ヤマハのレーシングイメージを決定づけた重要な時期。その象徴的なカラーリングが現代のYZF-R1で蘇ることで、新旧ファンの注目を集めている。
2019年以来5年ぶりの鈴鹿8耐ファクトリー参戦
ヤマハは2019年を最後に鈴鹿8耐からファクトリーチームを撤退していたが、創立70周年という節目の年に満を持して復活。5年間のブランクを経て、より強化された体制で臨む。
過去のヤマハは鈴鹿8耐で1980年、1996年、2015年と3度の優勝を果たしており、今回の復活戦でも優勝候補の筆頭に挙げられている。特に中須賀選手は鈴鹿での豊富な経験を持ち、海外ライダー2名も世界最高峰での実績十分。まさに死角のないライダー構成といえる。
チームとしては2019年以来のブランクがあるものの、ヤマハの技術力とライダーの実力を考えれば、十分に優勝を狙える位置にいる。伝統のホワイト&レッドカラーが再び鈴鹿の頂点に立つ日は近いかもしれない。
