けっこうデカい!ずっしり系。トライアンフ ・スクランブラー1200XCは、男のためのタフネスバイクだ。

スクランブラーと言うと年代によっては懐かしく、若い世代には新鮮に感じられる。ダートも走れる機能性を求めたそのスタイルはちょっとワイルドで、男のツールに相応しい雰囲気が漂ってくるのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)
取材協力●トライアンフ モーターサイクル ジャパン

※2020年8月13日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

スクランブラー1200XC
少し小ぶりな丸型ヘッドランプはガッチリと頑丈そうなアルミステーで支持されている。フォグランプ(いずれもLED式)やクリアのフライスクリーンは純正のオプション・パーツだ。
スクランブラー1200XC
ショーワ製倒立式フロントフォークのインナーチューブはカバーされて如何にもダート仕様のデザイン。チューブレスタイヤを組み合わせたスポークホイールは21インチサイズの本格派だ。ダブルディスクブレーキはφ320mmのフローティングローターにブレンボ製対向4ピストンモノブロック油圧キャリパーがラジアルマウントされている。
スクランブラー1200XC
トライアンフブランドを象徴するエンジンのひとつ。直立2気筒水冷1200ccエンジン。左側のエキゾーストパイプはシリンダーの前方をグルリと横に方向を変えて右側のアップマフラーへと導かれている。造形的には空冷に見えるが冷却方式は水冷である。
スクランブラー1200XC
スクランブラーのスタイリングを象徴する右出しのツイン・アップマフラー。エキゾーストパイプ部からマフラーまでしっかりしたヒートガードが装備されている。
スクランブラー1200XC
リヤサスペンションは、オーソドックスなツインショックタイプ。アルミスイングアームを採用。ダブルピッチスプリングのショックユニットはオーリンズ製のリザーバータンク付き、プリロードと伸び側、圧側ともに減衰調節ができる。
スクランブラー1200XC
リヤキャリアに専用の取り付けステーがボルトオンされて専用パニアケース(ソフトタイプ)が取り付けられる。
スクランブラー1200XC
リヤブレーキはブレンボ製2ピストンのピンスライド式油圧キャリパーを採用。シングルディスクローターはφ255mmだ。
スクランブラー1200XC
テーパードタイプの黒いパイプバーハンドル。クランプ部中央にはブランドロゴが誇らしげである。頑丈なハンドガードキットはセットオプション装備。
スクランブラー1200XC
8個のスイッチがレイアウトされたハンドル左側。グリップの右端にあるのがグリップヒータースイッチ。親指操作の赤いスイッチがホーンボタン。人差し指操作の赤いのはハイビームスイッチ。上のグレーボタンは左がフォグランプ、右がクルーズコントロール用。グレーの逆台形スイッチはモードボタン。そしてウインカーの下が様々な入力や切り替え、決定操作をするジョグスティック。
スクランブラー1200XC
右側スイッチは上から順にハザードスイッチ。中心がエンジンスタート/ストップスイッチ。下がホームボタンでメーターのメインメニューを開く時に使う。
スクランブラー1200XC
最新鋭のマルチインフォメーションメーターを装備。ディスプレイデザインが選択でき、速度計もエンジン回転計もアナログ風の表示。“クロノス”に切り替えるとアナログ風表示のタコメーターがメインになり、スピードは数字によるデジタル表記になる。
スクランブラー1200XC
ブラウンのダブルシートは後席部分がタックロール仕上げになっている。ステーがグラブバーとして使えるリヤキャリヤもなかなかシッカリしている。
スクランブラー1200XC
シート下左脇のキーロックを解錠すると一体式シートは簡単に脱着できる。ほぼフラットなシートレールは意外と細身、全体はカバーリングによってスッキリと仕上げられている。
スクランブラー1200XC
後席下部には、フラットなスマホ専用収納トレイが標準装備されている。ワンプッシュで蓋が開く操作性も優秀。中にはUSB電源ソケットが装備されているので、充電も容易だ。
スクランブラー1200XC
イグニッションはスマートキー方式。写真のキー穴は機械式のステアリングロック用だ。フロントフォークのトップエンドには圧側の減衰調節機構が装備されている。伸び側はフロントフォーク左側のトップエンドで調節できる。
スクランブラー1200XC
エスケープインスピレーションキットの中にはメインスタンドも含まれている。メンテナンスや長期保管には嬉しい装備だ。
スクランブラー1200XC
ショートカットされたリヤフェンダーは如何にもスクランブラーらしいデザイン。テールランプやクリアレンズのウインカー、ライセンスプレート照明も全てLED式。
スクランブラー1200XC
カウルを持たないスタイル。古くから見慣れたバイクの基本的フォルムが見て取れる。懐かしくもまた新鮮である。

主要諸元

エンジン形式:水冷並列2気筒 SOHC 8バルブ/270°クランク
排気量:1200cc
ボア・ストローク:97.6×80mm
圧縮比:11.0:1
最高出力:90PS(66.2kW)/7,400rpm
最大トルク:110Nm/3,950rpm
吸気システム:マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射
排気システム:2 INTO 2 エグゾーストシステム(ブラシ仕上げ)
始動方式:セルモーター
潤滑方式:ウェットサンプ
駆動方式:Xリングチェーン
クラッチ:湿式多板/アシスト付
トランスミッション:6速
一次減速比:1,257(93/74)
二次減速比:2,750(44/16)
ギヤ比:
 1速:3,500(49/14)
 2速:2,500(45/18)
 3速:1,850(37/20)
 4速:1,480(37/25)
 5速:1,296(35/27)
 6速:1,172(34/29)
フレーム:鋼管とアルミニウム製クレードル
スイングアーム:アルミニウム製両持ちタイプ
ホイール(前/後):36本ワイヤースポーク、アルミニウムリム、21x2.15インチ / 17×4.25インチ
タイヤ(前/後):チューブレス90/90-21 / 150/70 R17
サスペンション(前/後):ショウワ製φ45mm倒立式フォーク / オーリンズ製ピギーバックリザーバー付ツインショック、フルアジャスタブル、
トラベル量(前/後):200mm / 200mm
ブレーキ(前/後):Brembo製φ320mmツインディスク、Brembo製M50 4ピストンラジアルモノブロックキャリパー、ABS / 255mm径シングルディスク、Brembo製2ピストンフローティングキャリパー、ABS

全幅:840mm
全高:1200mm (除くミラー)
シート高:840mm
ホイールベース:1530mm
キャスター:25.8 º
トレール:121mm
車両重量:225kg
燃料タンク容量:16L
燃料消費率:4.9 L/100km(20,4km/L)

試乗後の一言!

スクランブラー1200XC
重厚で逞しい!スケールの大きな乗り味に魅力を覚えた。

キーワードで検索する

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…