BMW・R1250R試乗レポート|R1100RもR1150RもR1200Rも乗ったことはあるけれど!

BMWのスタンダードモデル、R(ロードスター)シリーズ。その中でもシンプルなネイキッドスタイルを擁するR1250Rは同社のベンチマーク的な存在だ。ストリートファイター的なプロポーションに最新の機能を盛り込んだこの一台をBMW大好きのライダーが徹底試乗! 先代モデルとの違いとともにじっくりとその戦闘力を測ってみた!

REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO・EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)

※2020年5月12日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
BMW・R1250R

BMW・R1250R……1,950,000 円〜

BMW・R1250R
試乗車は「ライト・ホワイト / レーシング・ブルー・メタリック / レーシング・レッド(+71,000円)」。白フレーム&外装に赤と青を刺し色としたトリコロールが爽やかな印象だ。他に「ブラック・ストーム・メタリック」、「ポルックス・メタリック・マット(+59,000円)」、「Option 719 スターダスト・メタリック(+151,000円)」も用意。
BMW・R1250R
BMW・R1250R
BMW・R1250R
BMW・R1250R
BMW・R1250R

“らしさ”そのまま! R259系ボクサーエンジンがさらなる高みに!

 BMWの現在のラインナップは、スポーツ、ツアラー、ロードスター、ヘリテイジ、アドベンチャー、アーバンモビリティとそのカテゴリーは多岐に渡る。これらの原点でもあるのが、1923年に初の量産車として登場したR32以来、水平対向2気筒エンジンを搭載したR(ロードスター)シリーズであり、常にBMWモーターサイクルのベーシックマシンであり続けてきた。

BMW・R1250R

 筆者はBMWのR(ロードスター)シリーズには、1995年に4バルブ化されたR259系エンジンを搭載したR1100Rから1150、1200と試乗してきた。歴代車両のエンジンは排気量が拡大されるとともにDOHC化が進められ、今では水冷を採用している。このパワーユニットと同様に車体も進化し続け、例えばフロントのテレレバーサスペンションが先代モデルで一般的なテレスコピックタイプの倒立フォークに変更された。しかし、基本レイアウトを変えることなく着実に進化してきたのだ。 

 これまでのモデルチェンジで特に変わったと思ったのが、エンジンがDOHCとなった先代R1200R。SOHCまでは、トルクはあってもスロットルワークに対して少し“ダルさ”が残っていたのだが、DOHCのフラットツインは中高回転域のパワーフィーリングは素晴らしく、ハイパワーなネイキッドの仲間入りを果たした。さらに、フロントフォークが倒立式になってからは、ますますスポーティさに磨きをかけている。

見た目(ほぼ)そのまま!? 中身ガッツリ!

 今回試乗したR1250Rはソリッドなストファイフォルムに、スポーツを前面に押し出した「スタイルHP」のカラーリングだからレーシーな雰囲気がムンムン! 思わずカッコいいと漏らしてしまった。しかし、よくよく見渡すと全体の雰囲気・デザインは先代R1200Rとさほど変わらない様に見える。カラーリング以外に、シリンダーヘッド形状やメーターが6.5インチTFTディスプレイになっている以外は見分けがつかないかも!?
 それでも排気量が拡大された水冷エンジンには新開発の可変バルブタイミング機構(BMW Shift Cam)が搭載され、最高出力は125ps→136psと11psアップ。最大トルクも125Nm→143Nmへと向上しているというから、そのパフォーマンスはかなり期待が持てる。
 ポジションは身長182cmの筆者にベストと思えるほどフィット! 以前試乗したR1200Rは日本仕様のローシート(高さ760mm)だったので足着き性は抜群だったが、スポーツバイクとしてはアップライトすぎるポジションが少し馴染めなかった。R1250Rは標準シート(高さ820mm)が装着されており、ハンドル、シート、ステップ位置を結んだポジションの三角形がR1200Rよりコンパクトに感じられて軽い前傾姿勢に。ナチュラルな姿勢で戦闘的なポジションがとれる。

時代に沿った作り込み&機能!

 キーレス仕様なのでスタートボタンを押してエンジンを始動。軽めにブリッピングすると、排気音は1200から比べて重低音が増した力強いサウンドになっていた。整音性が重視されていた以前のRシリーズはリッターバイクらしからぬ軽く乾いた音質だったからマフラーを換えたいと思うユーザーも多かったのだが、これなら純正でも満足できるはずだ。

 ふとメーターに目をやると、1万rpmまで刻まれた回転グラフのレッドゾーンが5000rpmからに!? これはエンジンが温まるとレッドゾーン域が上がっていく表示方式で、メーターがTFTディスプレイに変更されたことで追加された機能だ。いきなり高回転まで回してエンジンが痛むことを防止するだけでなく、ライダーに対しても「走り始めは徐々に目と身体をスピードに慣らしていきましょう」という心遣いなのだろう。ともあれ、TFTマルチディスプレイは高機能で液晶の視認性も良く、スポーツモードでは左右のバンク角やトラクションコントロールの作動情報が表示されるので、自然に気分が盛り上がってくるのは間違いない。

BMW・R1250R

トルクアップと新機構“シフトカム”の恩恵は大!

 発進から感じたのは極低速でのトルクアップだ。フラットツインエンジンの弱点とされていた極低速のトルクの薄さが完全に払拭されていた! スロットルやクラッチも軽く、先代モデルまでの発進時の気遣いが不要で、他のハイパワーなリッターバイクから乗り換えても違和感を覚えないだろう。
 また、スタート時からレブリミッターが効く9000rpmまでの加速の滑らかさは、新機構の可変バルブタイミング機構「BMW Shift Cam」の恩恵が大きい。5000rpm付近から切り替わるカムの動きが非常にスムーズで、こちらも初めて乗ったライダーなら機構そのものが付いていることに気が付く人はいないと思われるほどだ。

軽快かつシャープなハンドリング!

BMW・R1250R

 また、ハンドリングもいっそう切れ味鋭いものになっていた。BMW独自のテレレバー方式は、先代R1200Rからテレスコピックタイプの倒立フォークとなっているのだが、低回転域からトルクフルなエンジンとの相乗効果で、低速域の運動性が抜群に向上していた。コーナリングアプローチの倒し込みや複合コーナーでの切り返しの軽快さは、以前までの粘るようなハンドリングの手ごたえに親しんでいた筆者にとっては、全く新しいスポーツバイクに乗っている感覚だった!

電子制御も盛りだくさん! 使いこなせばより楽しい!

 電子制御はABSのほか、電子制御サスペンション「ダイナミックESA」、トラクションコントロール「DTC」、傾斜地自動ブレーキシステム「ライディングモードPro」、クラッチ不要で変速ができる「ギアシフトアシスタントpro」、クルーズコントロールなどを装備。さらにスマートフォンをBluetooth経由でTFTディスプレイに接続できる。これらの使い方をマスターするだけでも、一朝一夕にはいかない。使いこなすには、長い時間をかけて車両と向き合う必要がある。
 車両のポテンシャルを引きだし、様々な機能を使いこなす楽しさを知っていく毎に、離れられない相棒になる。R1250Rはそんなバイクである。

足つきチェック(ライダー身長182cm)

BMW・R1250R
BMW・R1250R
BMW・R1250R
BMW・R1250R

シート高は820mmだが、沈み込みも大きく数値以上に足着き性は良い。従来モデルよりコンパクトになった印象だ。ハンドルはワイドかつプルバック気味なので、上半身の自由度が高い。

著者プロフィール

川越 憲 近影

川越 憲

1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集者。現在…