【うっかり800kmインプレ】カワサキVERSYS 1000 SEは電子制御&ハイテク機能が満載。これは実にいいツアラーだ。

2019年1月に国内発売されたアドベンチャースタイルのツーリングモデル。先進の電子制御技術が積極導入されたことでも注目された。SEには電子制御サスペンション(KECS)も搭載。LEDコーナリングライトや、傷を自己修復する特殊コーティング塗装が施されるなど、上質な仕上がりを誇っている。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年08月08日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

ライト類は全灯LED式。アドベンチャームードを盛り上げるフォグランプはオプション装備品。メーター部右下の押しボタンスイッチで点灯する。一式の価格は56,592円。カウル両脇にある縦3連灯はコーナリングライト。慣性計測装置(IMU)活用例のひとつで、例えば左旋回時に車体が傾くと左側が3段階に点灯し左側方を照射する。
フロントフォークはショーワ製φ43mmの倒立式、150mmのストロークを誇る。ダブルディスクブレーキは、φ310mmのペタルローターを装備。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはモノブロック異径対向4ピストン式だ。
Z1000やNinja1000と基本的に共通の水冷DOHC直(並)列4気筒1043ccエンジンを搭載。カワサキ車初の電子スロットルシステムが導入された。ケーブル式スロットルの操作感を残す事にもこだわっている。
152mmのホイールトラベルを稼ぎ出すホリゾンタルバックリンク式モノショックサスペンションはショーワ製。電子制御を追加したKECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)が装備されている。
右出しショートアップマフラーは個性的な造形、排出口は二つある。リヤブレーキのペタルディスクローターはφ250mm。シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーを組み合わせている。
傾斜が立ち気味のスクリーンやハンドガードは標準装備。ツアラーとしての基本装備が奢られている。温度が3段階に切り替えられるグリップヒーターも装備。クラッチレバーは5段階、ブレーキレバーは6段階の調節機構付きだ。
10種もの各種スイッチがひしめくハンドル左側。ディマー&パッシングスイッチは人差し指で操作。モード切り替えボタンやウインカー、右列にはクルーズコントロールスイッチやメーター表示のリセットボタンとハザードスイッチ。そして咄嗟の時に押しやすいベストポジションにホーンボタンがある。
ハンドル右側はグレーのスイッチが二つ。上のスライドスイッチはエンジンスタート&キルスイッチ。下の押しボタンはメーターの表示内容を切り替え、メニュー画面から各種設定変更ができるセレクトボタンだ。
アナログ式タコメーターとフルカラーTFT液晶ディスプレイを合体したメーターまわり。液晶スクリーンの表示デザインは2種類から選択可能。白黒反転表示もできる。Bluetoothによるスマートフォン接続表示機能も備わっている。
スクリーンはアジャスタブル式。左右にある黒いノブを回して締め付け固定を緩めると、上下55mmの範囲で無段階に高さ調節できる。
段付きのセパレートタイプに見えるが、前後一体式のダブルシートを採用。体格の大きな人にはオプションで20mmアップのハイシート(44,820円)が用意されている。
バッテリーを先頭に様々なデバイスが整然と納められている。後方に見えるETC機器は標準装備されている。
トップケース装着に必要となるベースプレート。オプション装備品で価格は19,440円。
トップケースは47Lという大容量タイプ。サイドパニアは片側28L容量で、いずれもヘルメット収納可能。イグニッションも含めてワンキーで操作できる。トップケースはシンプルなタイプで37,800円。前述のベースプレートは必須である。
クッション厚だけでなく、しっかりと幅のあるシートデザインが採用されている。

主要諸元

型式:2BL-LZT00D
 全長×全幅×全高:2,270mm×950mm×1,490(1,530mm) ※( )内はハイポジション
 軸間距離 :1,520mm
 最低地上高:150mm
 シート高 :820mm
 キャスター/トレール:27.0°/ 106mm
 エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ
 総排気量 :1,043cm³
 内径×行程/圧縮比:77.0mm×56.0mm/ 10.3:1
 最高出力 :88kW(120PS)/9,000rpm
 最大トルク:102N・m(10.4kgf・m)/7,500rpm
 始動方式 :セルフスターター
 点火方式 :バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
 潤滑方式 :ウェットサンプ
 エンジンオイル容量:4.0L
 燃料供給方式 :フューエルインジェクション
 トランスミッション形式:常噛6段リターン
 クラッチ形式:湿式多板
 ギヤ・レシオ:
  1速 2.692 (35/13)
  2速 1.950 (39/20)
  3速 1.529 (26/17)
  4速 1.304 (30/23)
  5速 1.136 (25/22)
  6速 0.958 (23/24)
 一次減速比/二次減速比:1.627 (83/51) / 2.866(43/15)
 フレーム形式:ダイヤモンド
 懸架方式 :
  前 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)
  後 スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
 ホイールトラベル:
  前 150mm
  後 152mm
 タイヤサイズ :
  前 120/70ZR17M/C (58W)
  後 180/55ZR17M/C (73W)
 ホイールサイズ:
  前 17M/C×MT3.50
  後 17M/C×MT5.50
 ブレーキ形式
  前 デュアルディスク 310mm (外径)
  後 シングルディスク 250mm (外径)
 ステアリングアングル(左/右):34° / 34°
 車両重量:257kg
 使用燃料 :無鉛プレミアムガソリン
 燃料タンク容量:21L
 乗車定員 :2名
 燃料消費率:(km/L)※1
  25.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)※2
  17.6㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)※3
 最小回転半径 :3.0m
 カラー・メーカー希望小売価格 :
 エメラルドブレイズドグリーン×パールストームグレー
  1,868,400 円 (本体価格1,730,000円、消費税138,400円)

ライダー・プロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファンJPのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…