150ccカテゴリーの中では重い、大きい部類。|ベスパGTSスーパー150のツーリング性能は?

世界的なスクーターブランドであるベスパは、1946年に登場と75年もの歴史を誇るイタリアンメーカーである。当時からスチールモノコックボディを採用するなど独自のコンセプトを持ち、スクーターの原型を創造した。そうした伝統はスポーツモデルであるGTSスーパー150にも受け継がれている。

PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

2021年6月3日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

Vespa GTS Super 150……561,000円

155㏄水冷パワーユニットは想像以上の俊足ぶりを見せる

 随分前のことになるけれど、イタリアの街をベスパに乗る女性が走る姿を見かけて、すごくオシャレでかっこいいな~と思いました。映画ローマの休日の印象があるので、それこそ映画の中の風景だと思っていたのですが、目の当たりにして「現実だったんだ」と感動しました。
 このようにベスパには、僕の中ではオシャレでファッショナブルなイメージがあります。現在は国産スクーターも数多くありますが、オシャレさという点においてはベスパに及びません。

 ひと口にベスパといっても多くのモデルがラインナップされています。そのどれもがオシャレなスタイルなのですが、単にファッション性だけじゃなくスポーツ性を持たせたモデルも存在します。その1台がGTSスーパー150です。
 スチールモノコック構造のボディスタイリングは曲面を生かした優しいデザイン。スポーツモデルらしい印象は、少なくとも外見からは想像できません。ボディサイズも比較的大きく、車重も140㎏あります。同じ150㏄クラスの国産スクーターと比較すると、大きくて重いという結果になります。

 パワーユニットは水冷SOHC4バルブ単気筒のi-getエンジンです。排気量は155㏄で最高出力、最大トルクともに同クラスの国産スクーターと大差ないスペックです。始動方式はクランクシャフトに直付けされたブラシレスモーターを使用しています。そのためスタータースイッチを押してもセルモーターのようなヒュルヒュル音はしません。アイドルストップ機構も採用しています。
 このように、スチールモノコックボディや片持ちリンクアーム油圧式フロントサスペンションなどベスパの伝統的な技術を継承しつつ、時代に合わせた高性能化も図っているのです。

 スポーツモデルとはいえベスパGTSスーパー150のフォルムはエレガントでオシャレです。このルックスは都会の風景に似合うと思いますが、軽二輪となるので高速走行が可能なのでやはりツーリングの相棒にもしたいとところです。そこで気になるのが居住性です。ボディはステップスルータイプなので乗降性はいいです。シートを跨ぐという作業がないので、実にスマートに乗車できます。シートはやや硬いクッション性ですが、座面に十分なスペースがあるので、お尻が痛くなる度合いは小さそうです。ハンドルグリップ位置もちょうどいい高さと幅なので上体は快適です。足置きの自由度の大きさも含めて、長距離走行も苦痛なくできると感じました。

 エンジン音というかエキゾーストノートは国産スクーターに比べてやや大きめです。しかし耳障りに感じるほど大きいわけじゃなく、早朝の出発も気を遣わずにできると思います。 加速に関しては鋭いダッシュを見せるタイプではなく、低速域からスムーズにレスポンスし、穏やかなパワーフィーリングでスピードを高めていきます。140㎏とやや重たいボディですが、そのボディをスムーズに加速させるのですからトルクはあります。強烈なパワーは感じさせませんが、扱いやすさと必要十分な加速性能を持っていると感じました。このパワー特性なら、ビギナーや女性にも親しみやすいはずです。

 ハンドリングは直進安定性が高く、スチールモノコックボディの剛性の高さを感じます。サスペンションの設定もあるでしょうが、コーナー進入時のバンク初期に、アンダーステアの傾向が見られました。まあ体が慣れてくれば大して気にならなくなるレベルですが、無茶な走り方はしないほうが賢明です。低速での取り回し性に関しては軽やかで、住宅地の路地の右左折も難なくクリアします。
 前後ともにABSを装備したブレーキは、とにかく良く効き、安心して走行が楽しめました。国産スクーターと比較すると、収納スペースが少ないなど気になるところもありましたが、優雅な気分で走ることができたのが印象的でした。


シート高は790㎜あり、同クラスのスクーターの中では足つき性が良い部類とはいえない
ステップスルーなので乗り降りしやすく、広いフロアボードが足置きの自由度を高めてくれる
179cmと長身の僕の場合、両足を地面にベッタリと着けることができるが、足つきが良いとはいえない
足を下ろしたときにフロアボードに当たることがあるので、注意が必要だ
ベスパ伝統の丸型ヘッドライトがクラシカルなイメージを表現。だがスラントデザインにLED照明と装備は現代的だ
パワーユニットは155㏄水冷SOHC4バルブ単気筒のi-getエンジン。スムーズなパワーフィーリングで扱いやすい
ステップスルーの広いフロアボードには滑り止めのラバーが装着してある
リアステップは収納タイプが採用されている
ベスパ伝統の片持ちリンクアーム油圧式サスペンションをフロントに装備。ブレーキはφ220㎜ローターのシングルディスクで、ABSが標準装備される
ユニットスイング方式のリアサスペンションは、4段階のプリロードアジャスターを装備するツインショック。ブレーキはフロント同様ABS付きΦ220㎜シングルディスクを採用
ダイヤモンド切削加工されたブラックのニューデザインホイール。タイヤは120/70-12を履く
マフラーからは静かながらも力強さを感じさせるサウンドを放つ。タイヤは130/70-12サイズだ
レッグシールド内側の中央には折り畳み式の荷掛けフックが装備。エコバッグなどが掛けられ、買い物に便利だ
収納力は少ないが、フロントトランクもある。内部にはUSB給電ポートがあるのでスマホの充電に活躍してくれる
フルカバードタイプのハンドルがエレガントで高級感ある外観を作る
メーターは140㎞/hスケールのアナログ式スピードメーターをメインに、多機能液晶パネルを下部に配置
左スイッチは上から順に、ヘッドライトロー/ハイ切り替え、ウインカー、ホーンが並ぶ
右スイッチはアイドリングストップON/OFF、スターター、モード切り替えが配置される
白のパイピングが施されたダブルシートは、長時間走行にも疲労が少ない
シート下の収納スペースはツーリングに必要な荷物を入れるのに重宝する。後部に燃料の給油口がある

主要諸元

全長 / 全幅 / 全高:1,950mm / 740mm / 1,190mm
ホイールベース:1,350mm
シート高:790mm
燃料タンク容量:7(±0.5)L
車両重量:140Kg

エンジン:i-get 4ストローク水冷単気筒 SOHC 4バルブ スタート&ストップシステム
総排気量:155cc
最高出力:14.4HP(10.8kW)/8,250rpm
最大トルク:13.5Nm/6,750rpm
燃料供給方式:電子制御式燃料噴射システム
冷却方式:水冷
トランスミッション:自動無段階変速(CVT)

サスペンション(前):片持ちリンクアーム油圧式サスペンション
サスペンション(後):プリロードアジャスタブル デュアルアクション ツインショックアブソーバー
ブレーキシステム:2チャンネル ABS
ブレーキ(前):油圧式 220mm ディスクブレーキ
ブレーキ(後):油圧式 220mm ディスクブレーキ
タイヤ(前):120/70-12"
タイヤ(後):130/70-12"

著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…