見た目はネオレトロだが走りは正統派

レトロ感のある見た目を裏切る、正統派の走り|ヤマハ・XSR900試乗記|ズバリ、MT-09よりも扱いやすい!

2014年初出のヤマハ・MT-09。その派生モデルとして2016年に登場したスポーツヘリテイジモデルXSR900が、2022年に初のフルモデルチェンジを実施した。新型のコンセプトは"The Expert of Equestrian(伝統馬術のエキスパート)"で、排気量をアップした2021年型MT-09をベースにスタイリングを一新。6軸IMUによる先進のライダーエイド技術まで採用した。先代比で車両価格14万8500円アップの成果をじっくりとチェックした。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

ボアφ78.0mmのままストロークを59.0→62.0mmとし、排気量を845ccから888ccとした水冷並列3気筒エンジン。1-2速をハイギアード化した6段ミッション、新フリクションプレートを採用したアシスト&スリッパークラッチも含め、MT-09やトレーサー9 GTに準じる。
スピンフォージドホイールを新たに採用し、前後合わせて従来比で約700g軽量化。標準装着タイヤはBS・S20からS22に。φ41mm倒立式フロントフォークはフルアジャスタブルだ。
ショートボックスマフラーもMT-09やトレーサー9 GTと同一仕様で、1.5段膨張室や左右シンメトリーのテールパイプにより、低速コーナーからの立ち上がりなどでトルク感を演出。
スイングアームはトレーサー9 GTと同一仕様で、軸間距離は従来比で55mm長い。リヤショックはプリロード7段階(標準設定は最弱から5段目)と伸び側減衰力の調整が可能だ。
MT-09やトレーサー9 GTと同一仕様のクイックシフターを標準装備。シフトアップは2200rpm以上、シフトダウンは2000rpm以上(どちらも速度は20km/h以上)で作動する設定だ。
MT-09では上位グレードのSPにのみ装備されるクルーズコントロールを採用。4速以上かつ約50km/h以上でセット可能で、スイッチのワンプッシュ操作で2km/h毎の増減速が可能だ。
丸型ヘッドライトはフィラメント球からLEDへ。照射方向左右の広がりや明るさだけでなく、バンク時の配光特性にも配慮。さらにエイミング機構の効率化により薄型化も実現。
テールランプは従来からLEDで、タンデムシート下部に隠れるデザインに一新。前後のウインカーはフィラメント球からLEDへ進化したが、ナンバー灯はフィラメント球のまま。
量産車では世界初採用ということで話題となったYZF-R7のブレンボ製・純ラジアルポンプ式マスターシリンダー。これをXSR900も導入する。ちなみにMT-09も2021年モデルからラジアルポンプ式マスターシリンダーを採用しているが、STDモデル、SPともニッシン製だ。
3.5インチのフルカラーTFTメーターのデザインはMT-09を踏襲。D-MODEは3段階から4段階に増えたほか、6軸IMUの搭載によりバンク角を反映したトラクションコントロールやスライドコントロール、リフトコントロール、ブレーキコントロールを新たに追加。純正アクセサリーのグリップヒーターも含め、切り替えなどの操作はメーターを見ながら行える。
上半身を伏せやすくするためタンク上面はフラットに。バーエンドミラーを採用したことでコックピット全体が低く見えるのが特徴だ。メーター下部には「XSR」のドッグタグも。
1980年代のレーシングマシンを彷彿させるシングルシート風のリヤ周り。このシートを組み合わせるためシートレールは水平基調の専用品に。可倒式タンデムステップも個性的だ。

XSR900 ABS 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BL-RN80J/N718E
全長/全幅/全高 2,155mm/790mm/1,155mm
シート高 810mm
軸間距離 1,495mm
最低地上高 140mm
車両重量 193kg
燃料消費率 国土交通省届出値
定地燃費値 31.1km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 20.4km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列, 3気筒
総排気量 888cm3
内径×行程 78.0mm×62.0mm
圧縮比 11.5:1
最高出力 88kW(120PS)/10,000r/min
最大トルク 93N・m(9.5kgf・m)/7,000r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 3.50L
燃料タンク容量 14L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比/2次減速比 1.680/2.812 (79/47 X 45/16)
クラッチ形式 湿式, 多板
変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式
変速比 1速:2.571 2速:1.947 3速:1.619 4速:1.380 5速:1.190 6速:1.037
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 25°00′/108mm
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/ 180/55ZR17M/C (73W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED
乗車定員 2名

著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一