手強さ一切なしのミスター通勤快速、アドレス125。発進がビューン!で頼もしい。

スズキのスクーターシリーズとして既に定着しているアドレス。アドレス50は87年にデビュー。さらに91年登場のV100は走りのスプリンターぶりが評判になり根強い人気があった。今回のモデルは05年に燃料噴射式エンジンの搭載でデビューしたV125の後継モデル、それがアドレス125である。
REPORT●近田 茂
PHOTO●山田俊輔

※2017年11月29日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
スズキ・新型アドレス125
スズキ・新型アドレス125
スズキ・新型アドレス125
スズキ・新型アドレス125
スズキ・新型アドレス125

V125から4万円安く!

2005年に登場したアドレスV125は、50ccクラスに匹敵するコンパクトなボディと、小回りに特化した10インチホイール、11.4psを誇るエンジン出力など、そのポテンシャルの高さから「通勤快速」の異名を持ったロングセラーモデルである。2010年には外観を一新し、アドレスV125Sへとモデルチェンジを果たしたがエンジンの基本構成は同一(最高出力は9.9ps)であった。

今回登場した新型アドレス125は、外装もエンジンも、車両名にも変更を加えたフルリニューアルモデルである。全体的に大人しい外観デザインで、斬新さや奇抜さこそ見あたらないが、ただ全体にわたって細々と熟成進化。それは価格にも表れていて、アドレスV125Sでは268,920円だった価格が、今回のアドレス125では221,400円。4万円ものプライスダウンとなる。

エンジンも特筆点の一つ。SEP(SUZUKI ECO PERFORMANCE)と呼ばれクリーンかつエコロジーな最新鋭エンジンは、平成28年排出ガス規制にも対応。燃費もWMTCモード値で51km/Lというなかなかの好データを誇る。

トルク重視のロングストローク設定

エンジン冷却は走行風を利用する強制空冷式、シリンダーヘッドもSOHC2 バルブ単気筒という、スクーターで多くみられる機構を採用している。52.5×57.4mmというボア・ストロークは、アドレスV125S(53.5×55.2mm )よりもさらにロングストローク型へとシフト。9.4ps という最高出力の発生回転数も旧型より500 rpm低い7000rpmで発生している。傾向としてエンジン回転を上げなくても十分なトルクを発揮してくれる。そんな出力特性は、実用上もアクセルの開度をセーブでき、燃費性能の向上と静かな走りに直結しているようだ。
動弁系にはフリクションの少ないローラーロッカーアームを採用。シリンダーやピストン及び同リングもフリクションロスの低減化を徹底。燃焼室も燃焼状況を効果的に促進するM-スキッシュを新開発。バルブ形状も独特の最適加工が施された。

フロントを12インチ化

スズキ・新型アドレス125
フロントには125ccスクーターで主流の12インチホイールを採用。

足周りにも大きな変更が加わっている。アドレスV125Sでは10インチだったフロントホイールを12インチに大径化したこと。これには走破性を高める狙いがある一方で、リヤは従来通り100/90-10 インチのまま。こちらは足着き性を確保するために据え置きとしている。なおシート高は745mm 。小柄な人でも両足はベッタリと地面を捉えることができるだろう。装備重量は109kg。アドレスV125S(101kg)よりもやや増加傾向にあるが、取りまわしや走り始めてからの軽快感は一級。その扱いに手ごわさは感じられない。

鋭い発進~中速域の加速が市街地用途向き

スロットルを開けると適正にセットアップされたCVT がスムーズかつ強かな加速性能をみせつける。特に出だしが俊敏な印象で、60km/h当たりにかけて徐々に穏やかになる。クイックかつ軽快な乗り味は混雑した都市部の道路をチョコマカと機敏に走る上では好都合かもしれない。ただ、ツーリング用途となると操縦性にもっと落ち着きを求めたい気分にもなってくるが、さすがにこんなイレギュラーな使い方をする人は少ないだろう。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…