フレーム&エンジンをブランニュー、トータル性能を高めた新世代三輪

今さらだけど前2輪ってど〜なの? ヤマハ・TRICITY155 【スクーター試乗レポ】

トリシティ125(2014年発売)の155ccバージョンとして、2017年1月に発売。これにより高速道路の走行を可能とした。一見125ccモデルと同じような車体だが、こちらの用が少し大柄で、それに伴い車体剛性を高め、タンデム走行も難なくこなせるようになった。

※2018年01月10日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
ヤマハ・TRICITY155
PHOTO:渡辺昌彦/てつかたかし MAIN REPORT:佐川健太郎

ヤマハ・TRICITY155……45万3600円

ヤマハ・TRICITY155
■実力分析結果
・加速力……………………………6Point
・最高速……………………………7Point
・実用性……………………………8Point
・コストパフォーマンス……6Point

圧倒的な安心感と走破性三輪の新たな可能性を見た

先に発売された125㏄モデルに続くLMWの第二弾。前2輪、後1輪の独特な形状だが、サスペンションと車体を傾けるリンク機構を独立し、リーン(傾斜)して旋回することができるリーニング・マルチ・ホイール(LMW)を採用しているため、普通のスクーターのように扱うことができる。

弟分のトリシティ125より車格がひと回り大きく、とくにフロント周りにはクラスを超えた存在感がある。Uターン時などではどうしても大回りになってしまうが、その分どっしりとしていてポジションにも余裕が感じられる。

とくにヒザ周りが広くなったことはありがたい。エンジンはNMAX155と同型の水冷155㏄ブルーコアを搭載しており、このビッグな車体を物ともしないパワフルさを発揮。車重があるため加速力は同クラスの他車に比べれば劣るが、高速タンデムでも苦にならない程度にはキビキビ走ってくれる。

そして、なんといっても三輪による安心感は絶大で、そのメリットが際立つのが悪路でのコーナリング。道に砂粒が浮いていても横断歩道などの塗装があっても思い切って倒し込んでいける。しかも、限界に近い領域までバンクさせてもフロントが少し横にずれるだけですぐにグリップが回復する。

ブレーキもABS+前後連動のユニファイドブレーキのおかげで、コーナリング中でも相当強くかけられる。つまり、安全性がピカイチなのだ。(佐川健太郎)

佐川健太郎>>>
バイクジャーナリスト、「ライディングアカデミー東京」校長、日本交通心理学会員などいくつもの顔を持つ。愛称はケニー佐川。

ディテール解説

ヤマハ・TRICITY155
カバーリングされたハンドル周りは質感の高い印象。ハンドル幅は710㎜と標準的な広さ。
ヤマハ・TRICITY155
見やすいように角度が付けられた液晶メーター。中央に速度計、右に外気温や距離計、左に時計を配置。
ヤマハ・TRICITY155
左右サスが独立して機能するLMW機構。ディスク径はφ220㎜で、ABSや前後連動ブレーキを標準装備。
ヤマハ・TRICITY155
テールレンズ周辺をクリアレンズで覆われたスタイリッシュな外観。テールランプにはLEDを採用している。
ヤマハ・TRICITY155
坂道での停車などに便利なパーキングブレーキを採用。大きなトグルレバーでオン/オフがわかりやすい。
ヤマハ・TRICITY155
格納式のタンデムステップは大きめで滑りにくい。格納するとカウルと一体化する凝ったデザインだ。

後藤 武‘S IMPRESSION

排気量アップは良案雨の日も怖くない!
「155ccになってようやく普通に走る感じになった。ハンドリングはまったく違和感ないレベル。雨でも安心して走ることができる三輪ならではの安定感は相変わらず頼もしい。ただ路面のギャップを踏んだ時、フロントからの突き上げ感が強い傾向にある」

後藤 武>>>
オートバイ誌クラブマン元編集長。顔に似合わず繊細な感覚の持ち主で、各車の違いを読み取る。
Specifications
■全長×全幅×全高 1980×750×1210㎜ ■シート高 780㎜ ■車両重量 165㎏(装) ■総排気量 155㏄ ■エンジン種類 水冷4ストSOHC4バルブ ■最高出力 15ps(11kW)/8000rpm
■最大トルク 1.4㎏m(14N・m)/6000rpm ■燃費 41.7㎞/ℓ ■燃料タンク容量 7.2ℓ ■ブレーキ (前後)ディスク ■タイヤサイズ (前)90/80-14(後)130/70-13 SP
ヤマハ・TRICITY155

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ケニー佐川